PEST分析の基本とPEST分析を通じた「気づき」の醸成

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多くの企業で、マーケティングの際に、
PEST分析を活用していることと思います。

しかし、PEST分析は、マーケティングだけではなく、
新規事業やイノベーション創出の観点から、
「市場の未決の課題」を意識して、
日々続けていくと経年の変化が見えてきて、
気づきのヒントとなる切り口としても活用できます。

今回は、PEST分析の基本と、新規事業やイノベーション創出の観点から、
その活用方法について解説します。

PEST分析とは

PEST分析は、もともとは
マクロ環境分析をおこなうマーケティングフレームワークです。

「PEST」とは下記の頭文字をとったものです。

P:Politics/Political(政治面)
E:Economy/Economical(経済面)
S:Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
T:Technology/Technological(技術面)

マーケティングでは、PESTのそれぞれの状況について、
現状と、中長期的な変化を予測しながら、
マーケティング活動を展開するために活用されています。

新規事業やイノベーション創出において、気づきのポイントとして使う場合は、
自社や自分にとって、影響のありそうな項目、テーマもしくは、気になるものを
「P」「E」「S」「T」それぞれで30項目(合計120項目)ほど挙げておきます。

そして「自分がなぜこれを選んだのか」を100文字程度で書き留めておきます。

日々、ニュースや気づきなどを得たら、追加や入れ替えをしていく
「変化」があった場合に入れ替えていくという作業を行います。

意識の方向性を絞るという考え方

ポイントとなるのは、毎日この作業を意識して行うことで、
ニュースや気づきを取りに行く姿勢ができるところです。

「世の中の変化を気づくためにアンテナを高くしろ」と言われても、
「変化」の範囲は広いため、意識の深度が浅くなり、どこを探せば良いか分からず、
なにも気づかないという結果につながる可能性があります。

そこで、「P」「E」「S」「T」という見方の切り口を設定することで、
意識の方向性を絞っていくという考え方となります。

見方の切り口を設定するという方法は、お気づきの通り一長一短の手法となります。
切り口以外の変化を無意識に見落としてしまう可能性があるからです。

しかし、日々行うことによって、気づくことを意識的に行えるようになるため、
気づきのトレーニングとしては良い方法だと考えています。

具体的な項目やテーマについて

たとえば下記のようなイメージで項目、テーマを記録していきます。

ちなみに、2020年3月末段階で、
コロナウイルスの問題が大きくなっている状況での項目、テーマを列記しました。

P:Politics/Political(政治面)
・トランプ政権が継続した場合の影響、あるいは民主党政権になった場合の影響。
E:Economy/Economical(経済面)
・リーマンショッククラスの経済活動の停滞期に入った場合の影響。
S:Society/Social/Cultural(社会/文化/ライフスタイル面)
・外出が極端に避けられるようになった場合の影響と、商機。
T:Technology/Technological(技術面)
・5Gの活用により、外出しない方法での自社事業の在り方はどうするべきか。

こうした変化や影響を考えるなかで、
そこから生じる「市場の未決の課題」は何かということに思いを巡らせていきます。

お分かりのように、それぞれの項目やテーマ単独だけでは、
大きな気づきにつながることはありません。

日々続けていくことで、経年変化に注目できるという価値があるとともに、
それぞれの項目やテーマについて、組み合わせで考えることで、
新しい視点につなげていきます。

それから、もしご担当の方が複数名いるようであれば、
定期的に、それぞれの気づきを共有することを行うと
「どこが同じ視点か、異なる視点はどこか」といったことが見えてきます。

さらにそこでも新しい組み合わせを考えることで
全く新しい視点が得られる場合もあります。

まとめ

新規事業やイノベーション創出につながるアイデアというと、
天才的なひらめきが必要になるのではないかと考える方も多いと思います。

一方で、PEST分析を活用する方法は、
どちらかといえば、日々の積み重ねのなかから、
気づきにつげていくという地道な作業です。

こうした作業を続けていくと、オリジナルの「気づきの視点」とでもいうべきものが備わってきます。

ご関心いただけた方がおられましたら、
是非、一度一カ月程度でも試されることをお勧めします。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

補足

未来予測の観点では、下記の記事がご参考いただけるかと思います。
是非ご一読いただければ幸いです。

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