「他流試合」でイノベーション・新規事業への気づきを得る方法

ディスカッション アイデア・発想

イノベーションや新規事業を起こしたいと考えても、
思考や発想がワンパターンとなりがちだという悩みの声が多く聞かれます。

これまでとは切り口の異なる気づきを得て、次の事業展開につなげたいという場合に、
有効な方法として、「他流試合」があります。

他流試合は他社との意見交流のなかで、
自分自身や同じチームの方々に気づきを与える仕掛けです。

実際の開催の調整や準備が必要ですが、得られる効果も大きく、お勧めの方法です。

次の章から詳しく見ていきましょう。

他流試合のメリット

他流試合とは、自社の特定の部署やメンバーと、
他社の特定の部署やメンバーの方とのディスカッションを通じて、
気づきを得る取り組みです。

他流試合のメリットは大きく分けて3つあります。

1)自社だけでは気づけなかった気づきが得られます。

他社で、特に異業種の方とディスカッションをすると、
同じ課題でも、自社のそれとは全く異なる視点から
課題を捉えている場合があり、その違いが非常に参考になります。

そこでの違いから得た、気づきや驚きを、自社の事業展開に活かしたり、
時には相手とのコラボレーションで事業を進めることで、
新しい取り組みにつながる可能性があります。

2)参加者が自社について深く考えるきっかけとなります。

異業種の方とのディスカッションをする際には、
自社の業務や業態の特徴、
課題や困りごとについてのプレゼンを、参加企業双方が行い、
その後に、課題についてのもう一段深いディスカッションを進める
というのがオーソドックスな進め方となります。

他社の方に自社の特徴を説明をする際に、
自社の業務や事業領域について、これまで以上に深く考えるきっかけに
つながります。

自社や自社業界については、
もちろん頭では理解しているものですが、
他社に説明するために、より明確な言語化、PPT化が重要となるため、
一歩深いところを考えることにつながります。

3)異業種の人材との深いネットワークができます。

お互いの企業についてのプレゼンや、ディスカッションを行うことによって、
濃い時間を共有することができます。

そうした体験は、一種の仲間意識を生み出し、
困りごとがある時には率直に相談しあえるような、深いネットワークにつながります。

次の展開に向けた、コラボレーションや、
コラボーレーションにつながらない場合でも、
さらなる「他流試合」につながる可能性が高くなります。

このように他流試合を行うことによって、
自社単独では見えなかった気づきや、次なる展開が見えてることも多いため、
新規事業やイノベーション、あるいは人材育成の面でも、有効な施策となります。

他流試合の設定方法

具体的に他流試合を行う際の設定の流れは次のようになります。

(1)対象会社の選定

自社が他流試合を行いたいと考える企業の選定を行います。
選び方のポイントとしては、
自社の領域と隣接している業界の企業との他流試合を設定すると高い効果につながります。

同じ業界ですと、自社と他社との違いの要素が少なくなるため、
大きな気付きにつながる可能性が低くなります。
逆にあまり遠い業界ですと、業界特性を理解するだけで終わってしまい
違いすぎる認識は抽象化が難しいため、気付きにまでつなげられないというケースが出てきます。
そのため、隣接している業界の企業の方との他流試合が効果が高くなります。

たとえば、メーカーであれば素材系、
食品業界であれば製薬系といった具合に、他の業界と比べると
共通点が多い企業との他流試合を設定します。

(2)打診、開催日時、場所などの設定

他流試合の相談については、相手先の企業が決まっている場合、
直接コンタクトし、相談をします。
HPのお問い合わせから相談しても、多くの企業では誠実に対応していただけます。

また、たとえば社外の勉強会やパーティなどで知り合った
他社の方を通じて、他流試合の相談を進めるという方法もあります。

時間についてはオンラインであれば2時間程度、
リアルでの会議であれば3~4時間を基本にアレンジしていきます。
それ以上長くなりそうな場合は、別の日程で「第二回目」を設定します。

ディスカッションを行う場所は、相手方の会議室、あるいは自社の会議室で行います。
オンラインでの開催も視野に入れて検討します。

(3)議論するテーマの設定

テーマ設定については、共通して話せる程度に抽象的なものを設定します。

たとえば、「テーマ探索」や「存在しないマーケットについて」
といったように、議論によって展開の幅があるテーマ設定を行うのがポイントとなります。

テーマの設定が具体的になってしまうと、議論の方向が無難な形で固まってしまうため、
できれば、参加者の受け止め方によって、
定義が異なる言葉を設定することが望ましいと考えます。

「テーマ探索」という設定であれば、たとえば、
方法なのか、領域なのか、あるいは自社技術を活かすのか、そうではないのか
といったように、議論の進め方によって幅が広がります。
議論のスタート段階で、話す方向性についても話すことができる余地を
作っておくことで、これまで見えてこなかった気づきにつながるためポイントとなります。

(4)参加者の選定

自社3名、相手方3名前後で、6名程度が議論が盛り上がります。
6名以上の人数の場合は、発言が少なくなる方が出てきてしまいます。
また、6名以下の場合は、沈黙の時間が長くなってしまったり、
議論の広がりにつながらなくなってしまうためです。

また、年齢層や職位について、課長と係長、新入社員の3名構成といったように、
双方ある程度合わせておくと、スムーズに進みます。
年齢や職位があまりに異なると、議論のベースとなる認識が大きく違ってしまい
対等なディスカッションにつながらない危険性があるためです。

(5)自社の説明資料の準備

議論の冒頭で、双方が15分程度で、自社の基本情報をプレゼンします。
この資料について、準備を行います。
基本的にはHPの公開資料をベースとして、相手企業にとって価値がありそうな情報があれば、
可能な限り組み込んでいくことで、実りのある議論につながります。

その他の注意点

(1)ファシリテーター

自社と相手会社それぞれに1名ファシリテーター役を設定すると、スムーズに進みます。
ファシリテーターの方は、参加者の方はに話をしていたくのを促すことを中心に、
お話いただく順番の指名をしたり、
議論がテーマから大きくそれてしまった場合に、もとの議論に戻すといったことを
意識します。

(2)NDAは不要

他社の方とディスカッションをするために、
秘密保持契約が必要だと思われる方もいるかもしれませんが、
こうした他流試合の場合は、紳士協定を前提に進めたほうが、
堅苦しくならずに、議論に広がりが出てきます。

他流試合では、それぞれの最新の取り組みを相互に理解するというよりは、
それぞれの「違い」のなかから気づきを得ることが重要となります。
紳士協定が前提になっていることを参加者に事前に理解してもらい、
しかし、ざっくばらんにディスカッションを行うというのがポイントとなります。

(3)小物類の用意

参加者のリストや、テーマを明記した簡単なメモ、
胸名札や立名札を用意しておくと、自己紹介などもスムーズに進みます。

オンラインでは、会社名・お名前が分かるようにし、
できれば、背景にSansanなどの、QRコード付きのオンライン名刺のサービスを
利用しておくと便利です。

(4)飲み会の設定

終了後の飲み会の設定は必ず行ってください
実はここからが本番で、議論のなかで気になったが聞けなかった点が
明確になります。

オンラインの場合は、オンライン飲み会を行います。
その後の交流にもつながりますので、
ひと手間かかりますが、飲み会までが「他流試合」とお考えいただき、
設定をしていくことがポイントとなります。

まとめ

他社の方他流試合を通じて話をすると、
普段はなかなか気づけないことに気がつくことができる可能性が高くなります。

イノベーションは新結合による新しい価値の創出を意味します。
自社の事業と他社の視点を組み合わせからの気づきを見出すというのが、
他流試合の真価となりますので、イノベーションの取り組みとして、
価値ある施策となっていきます。

また、部下や同僚の新しい一面を発見できる場合もあります。
これも、自社だけではない異なる環境によっての気づきの一種となります。

他流試合の効果を生かして、自社のイノベーションにつなげていきましょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

異業種の製品やサービスを参考とした新規事業、気づきを得る取り組みについて
是非、ご一読いただければ幸いです。

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