「企業コンテスト」はイノベーション人材の発掘に使う

?がたくさん集まるイノベーション

新規事業やイノベーション創出のため、
多くの企業で「社内のアイデアコンテスト」が行われています。

しかし、社内のアイデアコンテストを、
新規事業創出目的のために行った場合、
次の章でご紹介する事例のケースをたどることが多く、
成功の確率は低いというのが実情です。

一方で、「企業コンテストは人材発掘を目的に使う」ことで、
イノベーション人材を見つけることができ、
彼らを会社としてサポートすることによって、
結果的に新規事業・イノベーション創出につながります。

今回は、企業コンテストの活用方法について解説していきます。

新規事業創出のために社内コンテンストを設定するとどうなるか

新規事業やイノベーションを目的に、
社内コンテストを開催した際に、どのようなことが
起こるかについて、3年のスパンで見ていきます。

一年目は、突飛だが現実感のないアイデアが出る

素材系企業Y社では、テーマ創出や新規事業のために
アイデアコンテストをスタートしました。

社内アイデアコンテストのプロジェクトは
社長の指示によるもので、
「既存事業の枠から離れた斬新なアイデアを募集します」と、
メッセージが添えられました。

コンテスト開催初年度、社内からは300件近いアイデアが寄せられ、
コンテスト事務局も、応募内容の精査に追われました。

しかし、寄せられたアイデアのほとんどが

「宇宙ビジネスへの進出」
「新しいエネルギーの開発」
「空飛ぶ自動車の開発」

といったもので、実際に事業化を考えた場合、
自社の強みが発揮できる領域からはかけ離れており、
「現実感がない」ものばかりでした。

応募されたアイデアのなかから表彰を行いましたが、
社長は、期待していた成果につながっておらず、
半分がっかり、半分怒った様子だったそうです。

しかし、今年の反省も踏まえれば翌年は期待したアイデアが
出るのではないかと、引き続きコンテストを開催することにしました。

二年目は、現実的なアイデアしか応募されなくなる

翌年もコンテストが開催されることになりましたが、
社長が前年の結果に満足していないことも、社内の雰囲気から伝わります。

優秀な社員が多い企業ですから、社長が言わずとも、
「現実的なアイデアが求められている」ことを察知して、
それに合わせたアイデアを提出してきます。

この段階で、評価者の顔色を見るコンテストになってしまいました。

社内から応募されたアイデアは150程度と半減。

寄せられたアイデアは、既存事業の延長線にあるもので、
日頃の会議のなかで話をしていることに毛が生えた程度でした。

二年目は大賞なしの結果となり、
社長はこの結果に、非常に落胆していました。

三年目は応募そのものが激減する

この企業では三年目も「社内コンテスト」を続けました。

結果は応募数が30前後と激減し、
どちらかといえば、一年目の焼き直しのようなアイデアが多かったそうですが、
「自社の強みを活かしながら」+「斬新なアイデア」という
社長が提示した条件をクリアするものは出てきませんでした。

結局、コンテストは三年目で一旦終了となったそうです。

社内コンテストに新規事業のアイデアを求めることは
難しいことが見えてきます。

この事例では、社内コンテストを行った場合の経過が特徴的にでていますが、
程度の差はあれ、こうした経過をたどるケースを多く見てきました。

三年目に提案数が激減する事象は、ほとんどのケースで起こります。

そのため、四年目以降も「新規事業」を目的として続けるという場合は、
新しいテーマ設定や、社内での広報活動、経営陣からのメッセージといった
追加対策が必要となります。

社内の「人材の発掘」を目的にコンテストを行う

前章で見てきたように、新規事業やイノベーション創出のための施策として、
社内コンテストを活用することは難しいと捉えています。

一方で、社内コンテストは、社内の「人材の発掘」を目的に行うと、
大きな効果につながります。

公募内容や進め方については、前章一年目で行ったものと同様な内容で行います。
(人材発掘を目的とした社内コンテストであることを、公募内容に
 記載する必要はありません)

事務局や担当責任者(部長クラス)の認識として、
コンテストが、新規事業のためのものではなく、
真の目的は人材発掘だということを持っておくことが必要となります。

そして、コンテストを継続的に行うと、
「尖ったアイデアを提案する人材」や「継続的に提案を行う人材」が見えてきます。

こうした提案人材は、社内の「エース級」と認識されている人材
とは限らないことが多いのも特筆点となります。

「提案人材」の社内評価は、どちらかといえば低く、
また周囲からは「付き合いにくい人物」と思われている場合が多々あります。

ところが、この人達がイノベーションの側面から見ると、
「お宝人材(=イノベーション人材)」の可能性が高いのです。

「提案人材」が見えてきたら、この人材を企業として
どのようにサポートすれば、新規事業やイノベーションに
つなげられるかと考えていきます。

ここで注意しなくてはいけない点としては
「イノベーション人材」は、一人で放っておいても新規事業につながることはあまりありません。
(コンテストの結果が散々なことからもそれが分かります)
そのため、この段階で予算を与えるても効果は限定的です。

尖ったアイデアを、現実の事業に落とし込んでいくためには、
バランス感覚や、周囲との協力、マネジメント能力が求められます。

多くの成功事例では次の段階として、
この「イノベーション人材」と、
マネジメントスキルの高い「メンター」となる人物を組み合わせることで
力を発揮させていくことを進めています。

メンターを担う人物は、研究所長やCTOが担うのが理想的ですが、
技術とマネジメントに詳しい部長経験者が担う場合もあります。

人の話を根気強く聞ける方であれば、役職年齢を問わずメンターの素質があります。

「イノベーション人材」と「メンター」を組み合わせることで、
具体的な事業化を進めていくことができるようになります。

まとめ

よく「うちの会社にはイノベーションが起こせるような人材がいない」
という声を聞きます。

しかし、少なく見積もっても社員の1%程度にイノベーションを起こせる人材がいる
という研究結果があり、多くのビジネスパーソンの方も肌感覚として、
この結果は正しいとお感じになるのではないでしょうか。

(社員数100名程度の会社でも1人は存在するということです)

しかし、いるのですが「埋もれている」あるいは「隠れている」のです。

こうした人材を活用できないことは、企業にとって大きな損失です。

まずは、自社にもそうした人材いることを認識して、
うまく生かしていくことを考えてみると、新しい価値創出につながるかと思います。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

人材育成としてセミナー、勉強会を活用する際には、
他社の企業事例が参考になりますが、その折の展開方法については、下記を
ご参照ください。

外部のセミナー、勉強会を活用する際のポイント:二種類に分けて考え、事例を取り込む
多くの企業で外部の勉強会やセミナーに、社員を派遣したり、 あるいはオンラインで受講してもらっていることかと思います。 しかし、思ったほどの効果が出なかったり、 どのようなセミナーを受講すればよいのか、 当事者あるいは派遣元(研修部門...

参考になる書籍のご紹介

尖った人材の発掘については、下記の
「創発(はぐれ)人材をさがせ」が非常に参考になります。
著者の村井氏は、キヤノンで長年、材料技術研究所長を務められ、
イノベーション人材の発掘やマネジメント、知財について、
日本でトップクラスの経験、知見をお持ちです。
その村井氏の考え方をまとめた一冊で、普遍的な内容となっています。
是非ご一読をオススメします。

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