新規事業における「目利き」の力とポイント

虫眼鏡 新規事業

新規事業やイノベーション創出を行う際に議論のなかで
「目利き」の力が重要ということが言われます。

目利きの力とは、
自社のシーズを見極めて、
さらに市場の課題を探索しながら、
うまくマッチングさせることができる能力を指します。

自社のシーズの強みの本質を理解しながら、
それに合った市場の潜在的な課題を見つけ出すことができれば、
新製品、サービスは、市場で受け入れられる可能性が高くなるため、
事業化を前進させるにつながります。

今回は、目利きの力を考えながら、
そのポイントはどこにあるのかを解説していきます。

目利き」の力とは何か

目利きの力とは
自社のシーズの見極めと、
市場の課題の理解のそれぞれが高いレベルで行えることで、
どのシーズをどの市場に提供すれば反響があるのか察知し、
マッチングができる能力のことを言います。

たとえば、企業として基礎研究の結果、
面白い素材の開発に成功したけれども、
どのように展開すれば良いのか、
何に使えばよいか見えてこない場合があります。

そこで、次の展開としては
市場調査を行い、実際の用途について探りながら、
事業化を検討します。

しかし、明確な市場のニーズが見つからず(売り先が見つからない)、
事業化に頓挫してしまったというケースが多々あります。

こうした場合に、大きな意味を持ってくるのが「目利き」の力です。

目利きの力のある担当者が、
市場(顧客を含む)のニーズ(見えざる課題)をうまく吸い上げて、
開発した新素材を活用した解決策へと結びつけ、
事業化をしていくということにつなげていきます。

目利きの力は次の2つで構成されています。

1)自社のシーズから、市場課題に合った有望なものを見極める力
2)市場の課題そのものを見る力

このなかで特にポイントとなるのが
2)市場の課題そのものを見る力
となります。

この場合の市場の課題とは、
課題が明らかになっていないもの、認識されていないもの、
未決の市場の課題を指します。

「市場の課題を見る力」は顧客の観察から

市場の課題を見る力は、
顧客を観察し、理解に努めることが原点となります。

顧客を観察し、理解する際の視点としては
下記のようなものがあります。

・何を課題として考えているのか
・不便に感じていることはなにか
・あったらいいなと思っていることはなにか
・環境の変化はあったか、その変化で困りごとはないか

ここでポイントとなるのはたとえば、
顧客に「どのような製品、サービスが欲しいですか?」と
聞いても、明確な答えは出てこないという点です。

顧客自身も課題を見つけられていないところが、
「市場未決の課題」が今なお(隠れて)存在している背景にあります。

シュンペーターは、
「車のない時代に、顧客に『何がほしい?』と聞いても、
『速い馬車』と答える」

と指摘しています。

ここでは、市場の課題は
「速い馬車」に解決策(欲しいもの)に本質があるのではなく、
「もっと早い何か」とでもいうのが、本当に欲しいもの(ニーズ)
となります。

目利きの力においては、
顧客の観察から、「市場の課題」として、
本質的に何が求められているのかを見つけ出し、
自社であればどのような解決策(シーズ)に結び付けられるかが
重要な要素になります。

「市場の課題」は発見段階では仮説となります。

次のステップとしては、
この仮設について、顧客のさらなる観察、あるいは
インタビューを行い、仮説を検証を進めます。

まとめ

自社のシーズを、市場のニーズにマッチさせて
新規事業を成功させるためには
「目利き」の力がポイントとなります。

目利きの力で重要な点は
「市場の課題を見る力」です。

これは顧客を観察し、そこで得られた気づきから
課題の本質となる部分を見つけていくというものです。

目利きの力の原点は、
顧客の観察、理解からとなり、
なかなか大変なのですが、日々取り組んでいきたいものです。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

市場の未決の課題については、下記の記事もご参考いただけるかと思います。
是非一度ご一読くださいますようお願いいたします。

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