新規事業の創出に向けて「自分の棚卸」で強みを発見する方法:プロフィールシートの活用

コンセプトを考える男性 イノベーション

新規事業を起こしたり、イノベーションを創出する際に、
市場の課題について、自分なりの気付きや問題意識から
スタートするのは、有効は進め方です。

しかし、そもそも市場の課題について、
自分が気付きや、問題意識がすぐに思い当たらないという悩みもあると思います。

今回は、自分の経歴の棚卸しを行うなかで、自分自身の強みを発見する方法について
ご紹介します。

自分の強みが認識できると、
市場の課題の探索の方向性が見えてくる(自分の得意領域を改めて深堀りにつながる)ため、
気づきや問題意識につながりやすくなるためです。

今回の内容は、経歴の棚卸し(プロフィールシートの作成)を行い、
自分の強みを発見していくという方法のご紹介です。

領域が定まらない悩み

新規事業を行う際に、既存とは大きく異るものが期待されていて、
あえて経営陣が方向性が指し示さないことがあります。

その場合、担当者としては、どこから手を付ければいいのかと
悩むことになります。

そうした場合のひとつの方法として、市場の課題について自分の気づきや課題意識から、
スタートするという進め方があります。

一人ひとりのビジネスパーソンの
「これは問題だ」「面倒だ」「あったらいいな」という気づきから、
市場の未決の課題を探るという考え方です。

このアプローチが優れているのは、
自分の問題意識から端を発しているため、
課題解決に向けて、大きな熱意を持って進めることができる点です。

新規事業を開発し、事業化、黒字化を成功させるまでには、
紆余曲折の長い道のりがあります。

新規事業の性質として、失敗するなかで成功の道を探るプロセスが
多かれ少なかれ必要ですが、失敗は人の心を弱くしてしまいます。

その時に、課題解決に向けた熱意があれば、
次へと進むことができます。次に進められれば、成功の確率が高まります。

ところで、市場の課題への、気付きや問題意識を持つための
領域策定の第一歩として、
自分自身がこれまで何を行ってきたのか、
何に強みがあるのかを改めて認識するところからスタートするという方法があります。

自分の強みが改めて発見できると、
探索する市場の領域が見えてくる場合があります。

また、新規事業の案件について、
経営陣が自分をアサインした理由や期待、隠れた意図などが見えてくることもあります。

プロフィールシートの作成

自分の強みを再確認するためには、プロフィールシートの作成が効果的です。

就職活動の際に、履歴書を作成したことがあると思います。
履歴書の書式を基本に、自分の強みを改めて考えるために
下記の手順でプロフィールシートを作成します。

(1)経歴の作成
(2)プライベートで続けている趣味、社外での活動について箇条書きする
(3)企業で働くなかで、ステイクホルダーから
言われて、心に残っている言葉とエピソード
(4)経歴から「自分が考える強み」を箇条書きする
(5)箇条書きから400文字の文章を作成する

ここからは、各項目の具体的な手順について解説します。

(1)経歴の作成

職務経歴書に明記する形に準じて、経歴の作成を行います。

例:
経歴
・1989年入社 ●●部署に配属、●●を担当

・1995年■■部署に異動、■■を担当

経歴が完成したら、自分が異動した先の部署で、
成果についても書き添えていきます。経歴の年代ごとの配属先の後に
追記していく形です。
可能であれば、具体的な数値が明記します。

例:研究開発部においては、製品Aにおける素材開発を担当。
試作品の開発から、商業プラントでの試作を約1年で実現化。

:採用担当者として、○○○人を面接。○人を採用。
研究開発者育成のための教育プログラムを作成。

(2)プライベートで続けている趣味、社外での活動について箇条書きを作成

例:サッカーを20年継続。地元のサッカーチームでは
副幹事として、主に会計を担当。

:NPO法人○○で、子ども食堂の運営に参画。
参加者の申し込みプロセスと募集についてを担当。

プライベートでの活動を列挙することで、企業での経歴とは異なる
気づきや問題意識の発見につながります。

プライベートでの活動からの気付き、問題意識から、
市場の課題を発見し、企業の強み(コア技術など)と組み合わせることで、
新しい価値を生み出すことにつながる場合が多くあります。

(3)企業で働くなかで、ステイクホルダーから 言われて、心に残っている言葉とエピソードを書き出す。

この作業は、自分の価値観を改めて発見するプロセスになります。
箇条書きで構いません。

(4)「自分の考える強み」の作成

(1)~(3)を鑑みて、
「自分の考える強み」について、箇条書きで列挙します。

例:
・研究開発者として●●研究に強み
・製造プロセスの改善で、着任後不良品率を○%低減。
・海外赴任経験からスタートアップへの理解
・ボランティア経験から、弱い立場の方への共感性

(5)箇条書きから400文字の文章を作成

箇条書した「自分の考える強み」について、次は言葉で400文字程度で表現します。
箇条書きから文章にすることによって、
箇条書したポイントが、本当に強みなのかを再確認することができます。

まとめ

プロフィールシートを作成することで、
自分の強みがどこにあるのか、課題意識がどちらに向いているのかが
見えてきます。

「ここの領域の課題を解決したい」「自分には、この領域が縁がありそうだ」
といったことが感じられれば成功となります。

プロフィールシートの作成については、
たとえば一年に一度作り直すことをお勧めします。

自分のキャリアプランを見直しにもつながり、
現在行っていることが、どの方向に向かっているのかも認識ができます。

(あるいは、事情が出てきて転職する場合にも、プロフィールシートは
 活用できます)

一人ひとりのビジネスパーソンにとって、
プラスとなる方法ですので、是非一度お試しください。

本日も最期までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

「自社の強み」の発見については下記の記事でご紹介しています。
自分の強みと自社の強みをかけ合わせることで、新しい価値を生み出すことに
つなげていくことが重要だと捉えています。

新規事業、イノベーションにつなげる自社の強みの見つけ方
新規事業やイノベーションの創出をスタートさせる際には まず、自社の強みを把握することが必要です。 イノベーションは「新結合」です。 自社の強みと別の要素を組み合わせることで、 これまでにはない価値を生み出すということが王道的な対応となります...

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