新型コロナウイルスによる景気影響とパラダイムシフト

ポストコロナ

疫病は、何につながるか

今回の新型コロナウイルスの影響について、
過去の大規模な疫病「ペスト」「スペイン風邪」と
よく比較されています。

現代の新型コロナウイルスとペストやスペイン風邪では
時代背景が異なるため単純な比較はできませんが、
共通点として、「社会構造に大きな変化を与える可能性がある」
ということが見えてきます。

14世紀に流行した「ペスト」の場合は、人口減によって
農奴に依存していた中世ヨーロッパの封建制度が根底から崩れました。

1918~20年に流行した「スペイン風邪」は、
第一次世界大戦の終結を早めたと言われていますが、
国家の境界意識が強くなり、ポピュリズム的政党が支持されナチス主義が台頭。
第二次世界大戦につながったとも言われています。

しかし、今回の新型コロナウイルスは
疫病→戦争といった流れにはならないというのが、大方の予想です。

現在は世界がつながっているため、
ブロック経済や他国を攻めて一時的な利益を得たとして
長期的にはマイナスとなることを多くの方々が認識しているからです。

そのため、戦争の発生によって生じる
パラダイムシフトは起こらないと期待しています。

一方で、グローバルで見た場合、国の立ち位置が
これまでとは変わってくるのではないかと考えています。

政治的な観点からの関係性への変化ということもありますが、
それ以上に、国と企業のあり方に変化が生じると推測しています。

その結果として、社会のあり方に変化が生じ、
後の歴史から見た場合にパラダイムシフトが生じたと
捉えれるのではないかと考えています。

次の章で詳しく見ていきます。

各国と企業の関係性の変化

今後大きな変化として考えられるのは、
各企業のサプライチェーンの再構築です。

たとえば、これまでは中国が「世界の工場」として、
大きな影響力を持っていました。

しかし、今回のコロナウイルスにおける
マスクや防護服への中国の対応などから、
中国への過度の依存の危険性が見えてきています。

そのため、国民の生命、財産に寄与する産業については、
自国内での生産活動にシフトしていくと考えられます。

これまで、人件費を中心とした「どこの国で作れば安いか」という視点で
生産工場の配置が行われてきました。

これについても、一部の地域で
生産体制あるいは物流がストップするという事態が起きたとしても、
異なる経路を活用することでサプライチェーンが止まることが
ないことが今後の方向性になると考えます。

ところで、話は少しそれますが、皆さんが日々お使いの
「インターネット」は、その思想として
特定の経路でデータを一度に送るのではなくて、
パケットという小さなデータに分けて、
様々な経路から送るという考え方を基本としています。

これによる大きなメリットは
データ網の一部がある段階で壊れたとしても、
別のルートから、データを送ることで
情報の流れを途切れさせないというものがあります。

日本において、大きな震災が何度かありましたが、
その際にも電話が通じないということがあった一方で、
ネットはつながり、助かったという話があります。

今後は、物流においても、
インターネット的な思想で、サプライチェーンが組み立てられていく
ことを予測しています。

サプライチェーンの再構築は企業に大きな負担としなりますが、
それができない企業は、大きなリスクを取っていると、社会から
認識される可能性が高く、注力をせざるを得ないと考えます。

希望的な側面から見えれば、
サプライチェーンの再構築は、各企業にとって
極めて大きなプロジェクトとなることから、
人員も必要となり、雇用拡大にもつながります。

サプライチェーンの再構築のために
国としても補助でサポートすることは、
今後の政策課題として考えるべきことだと思います。

また、単独の企業として、こうした動きをするのではなく、
サプライチェーンの一部を他の企業と共有するという動きも
必要となってくると考えています。

サプライチェーンが大きく変われば、
そこに付随する働き方の意識にも変化が生じ、
これまで以上にダイナミックな変化が生じると考えられます。

まとめ

コロナウイルスが、経済活動に与える影響の
規模感が見えてきました。

リーマン・ショック以上の不況が到来します。
過去の歴史を見ると、パンデミックから不況、戦争という
パターンがありますが、今回はそのパターンには
ならないと考えています。

しかし、グローバルで見たときには、
国と企業のあり方が異なってくる可能性が高く、
企業課題として、サプライチェーンの再構築が
実行されるでしょうか。

サプライチェーンの再構築は
企業にとっては、大きなプロジェクトとなりますが、
これを成功させないことには、
今後の事業継続性がおぼつかなくなると考えています。

これからサプライチェーンの再構築に取り組まれる
という方は、インターネットの思想をご参考にされてみてください。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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