新型コロナウイルスが加速させる「脱工業化」:三井不動産のRFID活用事例とオープンプラットフォーム

イノベーション

前回ペストは14世紀ヨーロッパの
ペストが社会に大きな影響を与え、
農奴制・荘園制を崩壊させ、教会の権威が失墜し化学が
それに代わっていったことを説明しました。

14世紀のペストから考える疾病が社会に与える影響
新型コロナウイルスの影響により、 我々の社会生活や企業のあり方は大きく変わりました。 疫病が社会に与えるインパクトの大きさを 多くの方が肌身で実感しているのではないでしょうか。 ところで、今回の新型コロナウイルスとよく 比較される...

今回は、新型コロナウイルスが、
今後のビジネスのあり方に
どのような影響と変化を与えていくか考えていきます。

コロナ禍は、変化のスピードを加速させた

新型コロナウイルスの影響による変化の特徴としては、
「これまでも必要性が言及されていたが、なかなか導入が進まなかったもの」
がコロナ禍によって、一気に社会実装されたという印象があります。

たとえば、テレワークについては
以前から、「働き方改革」や「災害時の事業継続性」の観点から、
企業への導入の必要性がたびたび指摘されてきましたが、
なかなか導入が進んでいませんでした。

あるいは「行政手続きのオンライン化」や、
「企業のDX化」についても、実装すれば効率的な社会が実現することが
見えていましたが、対応スピードは早くありませんでした。

しかし、コロナ禍によって、
これらが半ば強制的に導入されることになりました。

この変化について考えますと、
コロナ禍によって、
急にアイデアが浮上して導入されたという性質ではなく、
これまでも必要性が指摘されており、少しずつ変化していったものが
その「変化のスピードを急加速させた」
というのが実際のところのように見えます。

新型コロナウイルスによる社会変化は脱工業化社会

変化のスピードについて加速していることを述べましたが、
変化の方向性はどういったものでしょうか。

変化の方向性としては
先に述べたように、テレワークやDXといった
デジタルが支える社会へと向かっています。

もう少し俯瞰して見てみますと、コロナ禍により、
「工業化社会」が一区切りとなり、
次の社会構造へ変化していくことが
方向性として見えてきます。

工業化社会については、社会の行動のベースには、
大量生産、大量消費がありました。

これは産業革命以降の流れの一部と見ることができます。

大量生産大量消費がベースとなっている社会においては、
環境への負荷が課題となっており、
エネルギーの観点や、資源の観点などから
色々なアプローチがなされていました。

しかし、環境負荷への対策の方向に
社会が一気に舵を切るというわけにはなかなか
いかなった現実もあります。

変化の必要性が指摘されていたものの、
社会に大きな影響のない範囲で、
少しずつ変化していっていたことになります。

ところが、コロナ禍をきっかけに
特に消費行動という側面で、人々の意識が大きく変わりました。

生活を維持するための消費活動は、実はそれほど大きくなく、
大量生産、大量消費をせずとも暮らしていけるのではないかと
考える方も増えたようです。

これまでベースになっていた
大量生産、大量消費の方向性に変化が生じているということが
肌感覚としてあるのではないでしょうか。

マスク騒動が端的な例ですが、
むやみに大量にマスクを購入する行動は、眉をひそめられることになり、
必要なものが必要な分だけ、必要な人の手元に行き渡ることの
重要性が改めて認識されたのではないかと思います。

必要なものを必要なぶんだけ、必要なところに
届けるためには、消費者が社会全体を考えた行動をとる
ことの重要性が指摘されていますが、それだけではなく、
今後は、AIやIoTなどを活用することで、
誰かが我慢をするということではなく、
スマートな需給の調整ができる技術を実装する社会が
形成されていくと考えられています。

「脱工業化社会」における「マスカスタマイゼーション」

ところで、工業化社会の次に来る時代は
「脱工業化社会」とされており、
いろいろな方がそのあり方を予測しています。

なかでも、現在の変化に最も近い「脱工業化社会」のあり方を示しているのが
アルビン・トフラーの『第三の波』(1980年刊)です。

この本の中ではいくつかの社会構造の変化の述べられていますが、
「マスカスタマイゼーション」という概念が、
先述の消費行動と、その行動に対して企業がどうサービス提供を
するべきかを端的に示しています。

「マスカスタマイゼーション」というのは
「特定の人々に対して柔軟かつ効率的に製品を提供する」
ということを示します。

必要なものが必要な分だけ、必要な人の手元に行き渡るということです。

これまでの工業化社会においては、
まず大量生産があり、マスに宣伝をして、
購買意欲をあおり、大規模に販売をし、
そして消費されていくことが行われてきました。

廃棄されることを前提とした生産体制、
無駄に購買意欲をあおること、
必要以上に顧客に買ってもらうことなどは、
ないほうが良いものでしたが、
これまでの社会構造上は、致し方ない部分があったわけです。

しかし、コロナ禍によって、
人々の意識のなかに「脱工業化時代」的なあり方が
強くインプットされ、
また技術的にも対応ができることが実現可能となっているため、
脱工業化時代の到来は近いと考えられます。

これを踏まえた企業の方向性としては、
「マスカスタマイゼーション」をいち早く実現することが
競争優位性の観点からも重要となってきます。

「マスカスタマイゼーション」を実現する技術

工業化社会における「無駄」がこれまで省けなかったのは、
サプライチェーンや顧客への販売提供のなかで、
技術的に、届けるべき先とその量を把握するシステムが
なかったためです。

しかし、スマートフォンの普及と、RFID(電子タグ)を活用により、
かなりの精度で届けるべき先とその量を把握することが可能となっていました。

たとえば、三井不動産のMFLP船橋(三井不動産ロジスティクスパーク)では
RFIDとベルトコンベアや無人フォークリフトを
1つのシステムにつなぎあわせて
「フルオートメーション物流モデル」を可能としています。

三井不動産の下記HPもご参照ください。
完全予約制ですが、見学をすることもできます。
https://mflp.mitsuifudosan.co.jp/labo/index.html

RFIDの活用により、1つひとつの製品などを個別に管理することが
できるようになりました。

製造の現場からRFIDが付けられ、物流でも活用されて、
また販売先の追跡や在庫管理にも使うことも可能となっています。

現段階では、企業や業界を横断して、一括管理をするところまでは
いっていませんが、今後、そうした取り組みが実現すると考えられます。

たとえば、生産から小売の現場までRFIDによる識別管理が実現すれば、
異なるメーカーや物流を横断して、オープンプラットフォーム化が可能となります。

そうなりますと、生産状況、在庫、店舗での販売状況の動きが
リアルタイムで見ることができるようになります。

これにより、生産、在庫、管理の最適化が高い精度で可能となるのです。

顧客側としても、自分の欲しい商品が、
どこにどれだけあるのかをすぐに調べられるようになります。

たとえば、消費期限が短い食品などで活用されることが考えられますが、
フードロスの問題の解決にもつながり、
社会的な価値の大きな取り組みと言えるでしょう。

まとめ

疫病により、社会構造が大きく変化することが、
過去の歴史にもあり、
また、今回の新型コロナウイルスもそれに類する大きな疫病だと
考えられます。

新型コロナウイルスによる社会構造の変化は、
工業化社会から脱工業化社会への変化となる可能性が高く、
脱工業化社会の1つの特徴ともいえる
「マスカスタマイゼーション」が、
次の企業のあり方の目指す方向性であると考えられます。

RFIDを活用したオープンプラットフォームは、
この先、多くの企業が参加する形で構築されていく可能性が高いと言えます。

社会のオープンプラットフォームの動きを見ながら、
自社として、今後、オープンプラットフォームの
どの部分を担っていくべきか、世の中に提供するべき価値はなにかを
考えていく必要が出てくると考えています。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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