14世紀のペストから考える疾病が社会に与える影響

ポストコロナ

新型コロナウイルスの影響により、
我々の社会生活や企業のあり方は大きく変わりました。

疫病が社会に与えるインパクトの大きさを
多くの方が肌身で実感しているのではないでしょうか。

ところで、今回の新型コロナウイルスとよく
比較されるのが
14世紀ヨーロッパのペストです。

流行速度や、終息までの期間を推測するための考察が
多くの研究者により行われていますが、
今回は、疫病が社会に与える影響という観点から、
考えていきます。

14世紀のヨーロッパでのペスト流行

ペストは、ペスト菌の感染により起こる感染症で、
別名「黒死病」と呼ばれています。

ペスト菌はネズミや猫、犬を宿主としており、
人間にはノミを媒介して感染します。

現在では、抗生物質による治療法が確立されていますが、
治療が行われなかった場合は死亡率が60~90%と極めて高い
という特徴があります。

14世紀から19世紀まで世界中で猛威をふるい
特に14世紀で起きた大流行では、
世界人口が4億5000万人のうち、
1億人が亡くなったと推測されています。

死者が最も多かったのがヨーロッパで、
2000万~5000万人が亡くなったとされており、
人口比率でいうと、30~60%の方が亡くなったということになるそうです。

数字やパーセンテージの上下に大きな開きがありますが、
地域によっての差異や、正確な統計データがないことによります。
それにしても、凄まじい感染症であったことは理解できます。

ちなみに、現在最も危険な感染症として知られる「エボラ出血熱」
がありますが、その致死率は20~90%ということですので、
当時のペストの恐ろしさをイメージできるかと思います。

大幅な人口減によって何が起こるか

ヨーロッパでは人口比率で1/3~2/3の方が亡くなりましたが、
これによって労働力が圧倒的に不足する事態が生じました。

当時は農奴制・荘園制が社会のベースとなっていましたが、
ペストによって、
農民という働き手の人数が不足してしまいます。

そのため、領主は地代を安くしたり、農民保有地の売買が許可されるなど
農民の待遇改善が行われました。

領主は地主的な存在となり、
農民は身分的にも、農奴ではなくほぼ自由な立場となりました。

また、ペストはそれまで絶対的な権力であった教会に対しても
影響を与えています。
神はペストから人を救えないことが見えてしまったからです。
これに代わっていったのが化学となります。

ある意味ではペストが「中世」の社会構造を終焉させたと言えます。

今回の新型コロナウイルスにおいては、
大幅な人口減少につながりはしないというのが大方の推測です。

しかし、一定の確率で人が亡くなってしまう状況のなかで、
当然のことながら、グローバル規模で多くの方の
行動に変化が生じる結果となっているのは、ご存知の通りです。

また流行を抑えるために、各国が移動制限を行ったことは、
大きな影響がありました。

その一方で、移動制限によって、
今後のグローバル社会の課題として、たとえば
サプライチェーンの再構築や、合理性一本槍では
難しい経営判断が必要となる時代となったことが見えてきています。

BC(ビフォアーコロナ)とAC(アフターコロナ)
という言葉があるように、
社会構造が大きく切り替わるという意味では
新型コロナウイルスは、ペストと同じくらいの影響力があると
考えられます。

まとめ

14世紀のペストの事例から
疾病によって、社会構造が大きく変化する可能性があることが
分かります。

ペストにおいては、人口減少が大きな要因となって、
社会構造の変化が起こりました。

今回の新型コロナウイルスもそれに類して
社会に大きな影響を与える疫病だと考えられます。

新型コロナウイルスによる社会構造の変化は、
工業化社会から脱工業化社会への変化となる可能性が高いのですが、
この点については次回述べていきたいと思います。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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