コロナウイルスの問題が、社会、経済に大きな影響を与えています。
個人的な見解となりますが、
これまでの生活、社会の仕組みといったものが変わり、
もとの状況には戻らない可能性が多分にあると考えています。
また、コロナウイルスの問題に伴い
今後、グローバル規模で2つ問題に発展する可能性が高いと考えています。
2つの課題とは、
「世界的な食糧危機」と「金融経済のほころび」です。
なぜこの2つの問題が起こると考えるかということと、
この問題への社会的な反応の考察、
さらに一人ひとりのビジネスパーソンが何をするべきかを考えます。
(1)世界的な食糧危機
今後起こる可能性がある問題の1つ目は、
「世界的な食糧危機が生じること」です。
すでにWHOと国連が「食糧危機の到来」を警告しています。
原因は、国境封鎖や移動制限のため、
農業の生産から流通に大きな制約が生じていることに端を発しています。
主要国では、農業労働力を外国人労働者に頼っている部分があります。
(日本を含む)。
国同士の行き来がなくなったため、労働力確保の目途が立たず、
農業がうまく行えないという問題が起きています。
現在、多くの国では外国との往来をストップしています。
これはサプライチェーンに影響を与えることは、
生産工場が中国にある企業製品(たとえば、マスクや自動車関係)に
すでに大きな影響が出ています。
こうした影響が今後、食料品でも起こる可能性があるということです。
2007年のリーマンショックの際に、
ベトナムがお米の輸出に制限をかけました。これは予測された自国内での
価格上昇を防ぐためのベトナムとしての対応でした。
しかし、その結果、これまでお米を輸入していた国で、
お米の価格が急上昇し、暴動にまで発展しています。
自国内での価格を守るために、他国へ食糧を輸出しないという行動が、
いくつかの国で起きた場合、食糧危機が起こる可能性が高いといえます。
こうした輸出規制の傾向に加えて、
東アフリカからバッタが大発生しており、インドを過ぎて、
中国に影響を与えようとしています。
一説には200兆匹のバッタ(!)が発生したということですが、
原因は、地球温暖化の影響により、昨年バッタが発生しやすい状況が
生まれたからだといわれています。
バッタの大群は、ひとつの都市を覆いつくすほどで、
わずか数時間ほどの間に、農業戦産物はもちろん牧草地までも
食い荒らしてしまうということでした。
このバッタは、一日で150キロメート移動するそうです。
国境を越えて、バッタが食糧生産に与える影響が深刻化しています。
(2)金融経済のほころび
2つ目は、「金融経済にほころびが生じる」ということです。
今後、大きな不況が到来する可能性が高いことは、皆さん感じておられることだと思います。
各国で、行動制限がなされた影響により、観光業、飲食店で経済の循環が止まりました。
こうした状況がもうしばらく続けば(個人的には長く続くと推測)、
廃業という選択肢が現実のものとなります。
一度、廃業してしまうと立て直すことは、極めて難しいため、
実体経済に、大きな影響が長期的にあると考えられます。
その段になると、
資本主義や貨幣価値への信頼が大きく揺らいでくる事態となると考えています。
多くの国では、中央銀行が緊急対応をして、市場に資金を投入していますが、
今回のコロナウイルスの問題が経済に与える影響は甚大で、
支えきれない可能性が高いと考えています。
貨幣は信頼をベースに成り立っていますので、信頼が損なわれると一気に価値を失います。
ここから、それまでの経済状態に立て直しを行うというのは、数年単位での時間が必要となります。
貨幣に対する信頼感が失われると同時に、
新しい価値観が生じ、これまでの貨幣経済とは異なる仕組みが導入される可能性も推察しています。
現段階では、仮説の域に過ぎませんが、
ベーシンクインカムを導入を検討する国が増えてくるかもしれません。
ベーシックインカムとも異なる
仕組みや制度が、試行錯誤のなかから生まれてくる可能性もあります。
資本主義の次の段階に移行する可能性が高いと捉えています。
2つの問題への社会的な動きの推測
今後起こる可能性がある2つの問題について述べましたが、
その問題に対して、社会的な動きなどのようなものが考えられるでしょうか。
まず、(1)世界的な食糧危機については、今後2つの社会的な動きが考えられます。
「地方への回帰」、「農業への回帰」の2つです。
地方への回帰について
テレワークが本格的に社会実装されると、
働く場所に縛られることがなくなっていきます。
都心で物流網が途切れると、生活に大きな影響があることは、
すでに多くの方がご経験であると思います。
そのため、食糧危機が生じた場合、
地方など生産地に近い環境を志向する可能性があります。
農業への回帰について
今後、経済停滞に伴い多くの失業者が世の中に出た場合、
食糧危機という背景から、農業従事を希望する方が増えてくると考えています。
外国人の農業従事者の数が大幅に減ることを、
補うような動きになるかもしれません。
異分野から、農業への参入ということになると、
AI、IoTといったもののをこれまで以上に活用していくことになるとも考えます。
企業として、農業分野への進出を検討してた会社などでは、
今後、そうした動きを後押しする状況となるかもしれません。
一人ひとりのビジネスパーソンが何をすべきか
一人ひとりのビジネスパーソンが、どのような対応をすべきかについては、
個別の状況、事情がありますので一概には言えませんが、
共通して考えられることは
「事業、製品の価値、意味合いがこれまでと大きく変わる可能性ががある」ことを
念頭に置く必要があると考えています。
どのように変わっていくかについては、
短期的な変化としては「実生活に影響があるもの」が重視されると捉えます。
この変化は、服飾メーカーがマスク生産に取り組んでいるといったことからも
推察できると思います。
もし、現在の自社事業が、実生活に必要のないものが
メインである場合、業態変化への準備をする必要があると考えます。
こうした業態変化は、通常はなかなか難しいものですが、
現在の危機的な状況では、変化への対応に理解が得られやすいことに
つながるかもしれません。
以前の記事で「社会的な痛み」について述べています。
こうした点に着目して、自社で何ができるかを考え、
すぐに準備、対応をしていかなくてはいけないと考えています。
まとめ
今後起こる可能性が高い
「世界的な食糧危機」と「金融経済のほころび」について述べました。
本ブログのテーマでもあるイノベーションの観点で申し上げると、
こうした危機的な状況では、イノベーション(新結合)が起こるということです。
「これまでのような状況にいつもどるか」ということよりも、
「これからどうすべきか」を考えて、
行動していく必要があります。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
追記
今後の変化に対して、ビジネスパーソンの方お一人おひとりが、
どのように考えていくべきかを考察していますので、是非ご一読ください。