ポストコロナ時代の製造業の対応:DX推進の取り組み

ポストコロナ

新型コロナウイルスの影響は、
企業経営における課題への取り組みの優先順位も
大きく変化させました。

なかでも急速にスピードが上がったのが
DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みです。

DXはその必要性が指摘されながらも、
社内の環境や仕事の進め方を変えたくない
内部の反対から、進んでいませんでした。

それが、一気に加速したというのは、
多くのビジネスパーソンの皆さんが実感しているところかと思います。

DX推進は様々な業界、分野で行われていますが、
「製造業」で導入を進めた場合、
生産性の面から、大きな効果を発揮します。

近年見られる特徴的な動きとして次の2つがあります。

(1)VR、ARなどの活用
(2)ソリューションビジネスへの展開

この2つの動きは、コロナ以前にもありましたが、
導入のスピードが増しています。

今回は(1)VR、ARなどの活用について、説明し、
次回で(2)ソリューションビジネスへの展開について、説明します。

また、VR、ARなどの活用の先にある
人間への依存度を減少させる方向性についても解説します。

DXの定義

DXの定義についておさらいします。
経済産業省の定義によれば、下記となっています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、
 データとデジタル技術を活用して、
 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを
 変革するとともに、
 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、
 競争上の優位性を確立すること。」

ここでポイントとなるのは、
業務プロセスや、組織、人事、風土文化といった
バックグラウンド的な部分
もDXを進めるべき重要な部門だ
ということです。

たとえば、働き方のDX化の例として、
テレワーク、オンライン会議システムがあります。

この2つについても、コロナ禍によって、
急速に広まった感があります。

必要に迫られて対応せざるを得なかったというのが
企業で働く方々の本音かもしれません。

しかし、実際にこの2つは経験してみると、
考えていたほど、業務に支障が出ることなく、
スムーズに仕事が進められている
と多くの方がお考えだと思います。

一方で、製造の現場に近いところでは、
作業、仕事に深く関わる
DX推進が進められています。

VR、ARなどの活用

VRやARの活用については、
以前は
工場における作業手順の習熟や、危険作業の注意点を体験する
といったような教育な面が中心となって活用されていました。

たとえば、高所作業の疑似体験を行い
安全な平地で、作業手順を確認するといったものです。

VRやARが、生産の現場に「間接的」に
活用されていたと見ることができます。

しかし、コロナ禍の影響により、
今後も含めて感染症のリスクの観点から、
より「直接的」に活用されるようになっています。

工場における非接触や自動化を進めることが
至急対応すべき課題となったためです。

たとえば、日本企業の海外工場において、
製造ラインの変更や、新製品の生産体制を構築する際に、
専門の技術者を各地に派遣して対応するのではなく、
VRやARを活用して、
専門の技術者が、日本にいながらにして、
現地の通常のスタッフに詳細な指示、説明を
行うことで対応する取り組みが行われています。

また、カメラやセンサーデバイスを持ったスタッフが
要所を巡回し、そのデータを専門家と共有することで
設備が正常に動いているかの診断に使われたり、
装置の故障の修理やメンテナンス、
ライン作業の合理化指導やカイゼン活動なども
行われています。

この仕組みは「サイバーフィジカルシステム(CPS)」や
「デジタルツイン」と呼ばれており、
多くの工場で導入がスタートされています。

実際にサイバーフィジカルシステムや
デジタルツインが導入された工場では、
現地に人を派遣しなくとも、以前とは大きく変わらない
効果につながっています。

現地に人を派遣するというコストが
大きく低減できる点も経営的なメリットとなっています。

DX化にそれほど積極的ではなかった企業においても
今回のコロナ問題をきっかけに、実験的導入の結果、
想像以上にメリットが見えてきたことで、
一気に導入が進んでいます。

製造業におけるDX化の次の課題は人間への依存部分を減少させること

上記のように現段階では、
専門技術を持った人材が、VR、ARを通じて、現地での対応を行う
といったところまで実現しています。

ではこの先のDX推進の展開はどうなっていくでしょうか。

ここまでのDX推進の状況では
VR、ARを通じてはいるものの、
なんらかの形で必ず「人」が関わってきました。

この「人間への依存」部分を減少させていく
ことを、急速に実現していくことが
今後のDX推進の方向性となります。

たとえば、保全活動、予知、予防の観点では
AIやIoT、ロボットを活用が今後本格化していきます。

併せて、これまで以上に工場の自動化が進み、
人間がほとんど介入することなく
24時間365日の連続運転を目指した動きが活発と
なっていくでしょう。

現在、非接触をテーマとした
ロボット開発やセンシング、タッチレスパネルなどの
開発が急速に進んでいます。

非接触という社会要請から
主に工場などにおいて、自動運転を目的に使われていた技術が、
実際の社会での活用に転用される形ですが、
非接触の課題解決方法として社会で展開されたものが、
工場に入ってくるといったスパイラルが回り、
開発と実装のスピードが急速に早くなると考えられます。

こうしたスピードにキャッチアップを
していく必要がでてきます。

非接触をテーマとした製品、技術については、
自社の業界だけでなく、
広く情報を収集しておくべきだと考えています。

まとめ

製造業におけるDA推進の潮流の1つ目として、
「VR、ARなどの活用」があることを述べました。

また、今後については、
人間への依存を減少させる方向性で、
DX推進が進んでいくことも述べました。

これらの動きは、
コロナ禍で、一気にスピードが上がっています。

今回は、製造業について特に述べましたが、
お気づきのように、あらゆる業界、領域で
DXが進んでおり、業界の垣根がより低くなっています。

そのため、これまで自社にとって
異業種と想定していた企業が、自社の分野に
急に参入してくるという可能性も高くなっています。

このことは、同時に
自社がこれまで参入してこなかった分野に、
一気に進出する可能性が出てきたということです。

自社一社だけでは難しい場合でも、
他社とのコラボレーションのなかで、
間をDXでつなぐというケースが、今後増えてくるでしょう。

産業構造が大きく変化する可能性もありますので、
非接触をテーマとした技術動向には
今後も注意していく必要があります。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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