新型コロナウイルスの影響により、「非接触」のニーズが高まっています。
非接触を実現するための有力な方法としてあげられるのが、
ロボットの活用です。
以前の記事では、非接触ニーズへの対応として、
ZMPのキャリロの事例をご紹介しました。
今回は、公共交通機関などで使われている
消毒作業におけるロボット活用をご紹介し、
また、自社の強みを棚卸しすることで
大きな価値につながることも説明します。
非接触ニーズの高まり
新型コロナウイルスの影響により、
人と人が直接的、間接的を問わず接触することに対して、
「なるべくであれば避けたい」と多くの方が考えています。
それを実現するのがロボットですが、
これまでロボットは、主に工場などの現場において
効率化やコストカットを目的として、
無人化・省力化を実現するものと捉えられてきていました。
「無人化」ということのメリットについて、
効率化だけではなく、遠距離での作業を可能にすることや
人が関わらなくても作業ができることに大きな注目が集まっています。
消毒を行うロボット:香港の地下鉄での事例
日本ではまだあまり見かけないという印象ですが、
海外では消毒用ロボットの活用が2020年夏頃から本格化しています。
たとえば、香港では地下鉄である香港鉄路(MTR)では、
電車内に、電車内の椅子よりもやや高い程度で、
中型のキャリーバック程度の大きさの除菌ロボットを配備しています。
これは、過酸化水素水を蒸気状態で放出することで
社内を消毒するロボットです。
開発したのは香港鉄路(MTR)と
Avalon Biomedical社が共同開発したものです。
過酸化水素蒸気は殺菌効果が高いことと、
幅広い材質適合性があり、蒸気で噴霧することで
人の手の清掃では行き届かないところまで消毒が行える
ということでした。
消毒ロボットは、自動モードで運転をし、8両編成の電車を
4時間かけて消毒します。
サイバーダインの消毒ロボット
ロボット開発で知られるサイバーダインでは、
駅や空港といった多くの方が利用する場の消毒用として、
「CLINABO CL02」を開発、販売しています。
これは、消毒剤噴霧器を取り付けた
自動走行型ロボットです。
2020年4月からは羽田空港でも消毒用に使われ、
2020年7月には、高輪ゲートウェイ駅でも
実証実験が行われており、大きな注目を集めています。
消毒用ロボットのベースは農業用ロボットや清掃ロボット
こうしたロボットについて
注目すべきポイントは、
新型コロナウイルスの影響による非接触化を
実現するために「一から作られた」ものではなく、
もともと別用途で作られていたものを
うまく転用して、非接触実現のために使われている、
というところです。
サイバーダインの「CL02」は、
路上清掃用の自動走行ロボットに、噴霧器を取り付けたというものです。
また、噴霧ということでは
農業用で農薬噴霧を目的としたロボットの技術が
ベースにあるということでした。
現在、動きの早い企業で行われていることは
「自社の強みが、新型コロナウイルス対応にどう展開できるか」
を突き詰めるという作業です。
自社の強みの棚卸しを改めて行い、
そこから、非接触や消毒、見える化といったコロナ対策への
展開を考えています。
以前の記事でも自社で何ができるか
を考えていくことの重要性をお伝えしています。
こうした動きが本格化してきています。
本ブログでは何度もお伝えしていますが、
イノベーションの本質は「新結合」にあります。
新しい組み合わせによって、価値を創出するという取り組みが
イノベーションとなります。
自社の強みを棚卸しをするなかで、
何らかのプラスアルファの要素かもしくは展開の切り口を
考えることで、これまでにはなかった新しいコロナ対策の
ニーズを満たす製品やサービスへと展開ができれば、
大きな価値となっていきます。
まとめ
人と人との接触をせずに、
業務を行うことができるロボットは、
今回の新型コロナウイルスの影響により、
社会実装が一気に広がると考えられます。
ロボットの活用分野については、
たとえば、飲食店などでも、食事を運ぶロボットが
実装されているニュースなども目にしますが、
今後小売店などでもさらに広がる可能性を感じています。
こうした新しい価値が、新型コロナウイルスの影響により
求められる時代となりました。
また、自社の強みが、ロボットの事例のように
「実は潜在的ニーズの解決に使うことができる」可能性があります。
今後「新常態」により、これまで潜在的であり見えなかったニーズが
浮かび上がることだと思いますので、
社会的ニーズをいかに解決できるか、企業のあり方が問われる形となると考えています。
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