人事評価をテレワークではどう対応するか:定性評価の扱い

ポストコロナ

テレワークで業務を行う企業が急増していますが、
人事評価、特に定性評価について
どのように行うかが大きな課題となっています。

これまで、定性的な面については、
会社で顔を会わせる状況であることを前提に
評価が行われてきましたが、
テレワークが行われている状況では
言語外のコミュニケーションが制限されるため、
以前と同様の情報を得ることが非常に難しいのが実態です。

以前にご紹介した記事では、
定性評価のために「接点を増やす」ということを強調しました。

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しかし、評価者の方は、自分自身の仕事を行いながら、
対応をしていることがほんとどであり、
評価をする方との接点を増やして、定性面の評価を行うことは
時間的にも、難しいという場面もあるかと思います。

今回はこのテレワーク状況での人事評価について
現場に大きな負担のない形でどのように進めるかの工夫について取り上げます。

テレワークで難しくなる定性評価

テレワークのなかで定性的な評価を行う場合、
評価する側にしても、
評価の根拠となるものが見い出しにくく、苦労しています。

こうした状況が今後1.5年~3年ほど続くと考えています。
その根拠としては、新しい評価手法が考えられたとしても
その実効性については、
試行→検証→本格実装といった3段階を経ていく必要があるため
どうしてもそのくらいの時間がかかってしまうと考えるからです。

1.5~3年すると、テレワークのなかで、
定量分析に加えて、定性分析を加味できる手法が
確立されると考えていますが、それまでは現場対応でまわすことが
求められてしまうと考えています。

定性評価は行うが、現場に負担はかけない方法

この対応に答えはありませんが、
ひとつの方法として、しばらくの間は、定性的な評価については企業方針として、
「その精度を一切問わない」とした企業があります。

定性的な評価は行うけれども、ある程度割り切る形で、
評価する現場には負担を与えないという方針です。

ここで大きなポイントとなるのは、
「定性評価は行う」というところです。

定性評価を行わない場合、日本企業においては
今後の業務内容に長期的にみると
マイナスの影響をおよぼす可能性があります。

マイナス影響として想定されるのは、
企業において、人と人との関わりのなかで
新しい価値を生み出す場合、
たとえば、人と人をつなぐ役割を果たすなど
間接的に貢献した社員の方の評価がばっさりと切られてしまう
というようなものです。

これまで日ごろの雑談のなかで
「彼はいろいろと工夫して提案してくれるんだよな」といった
ことが、会話としてなされ、間接的な貢献が完全ではないにしても、
機能していたと考えています。

たとえば「アウトプットのみで評価する」などと会社の方針を急に転換してしまうと、
「縁の下の力持ち」的な活動が弱まってしまう可能性があります。

こうしたことを考えると、
定性的な評価は、これまでのようには機能しないかもしれないが、
現段階で、アウトプットのみの評価に移行することは
危険性が高いと考えられます。

現状の評価制度に、定性評価が盛り込まれているようであれば、
そのまま続けて、様子を見ながら、
必要であれば変えていくという対応が良いと考えています。

接点を増やすことの重要性

先ほどご紹介した
定性的な評価については会社の方針として、
「その精度を一切問わない」とした企業の判断は
非常に正しいと考えています。

問題は、経営陣に相応の覚悟が求められる対応だということです。

経営陣が、定性評価をリモートワークのなかで
行うことが大変だけれども、必要であり、
現段階の判断として思い切って「精度を問わない」と
決断を下せない可能性があります。

公式にはそうした発言を引き出せなくても、
暗黙のうちに、経営陣がそうした理解を示せるようにして、
人事の方も巻き込む形で、
現場の方が対応していくというのが、現実的な対応と考えています。

一方で、可能な限り会議システムなどを使って、
部下やほかの社員の方との接点を増やしていく対応は、
評価の問題とは少し切り離して考えてみても、
本質的に大切なことだと考えています。

以前、人事評価が非常にうまくいっている工場の
インタビューを行った際の事例をご紹介します。

人事評価成功の要因は、工場長の行動にありました。
毎日工場を歩き回り、
社員一人ひとりと言葉を交わすということに
業務時間の大部分を費やしていました。

はたから見ると、歩いて社員と雑談をしているに過ぎないのですが、
そうした役割(評価専任者と言っていいかもしれません)の方が
いることで、工場全体が活気づき、うまく回っている
ということが見えてきました。

今後、もしかするとオンラインで
社員と話をすることをメインの業務とする
経営的役割が設置されるかもしれません。

まとめ

テレワークが進むなかでの、
人事の定性評価の在り方について述べました。

今回のコロナウイルスの問題で
多くの方が感じておられることだと思いますが、
様々な変化の過渡期がまさに現在だと言えるでしょう。

未来がどうあるのかについて分からない面が多々あります。

しかし、逆に言えば、
「会社はこうあって欲しい」という、
個人の願いから、企業の仕組みや文化、風土を
良い方向に変化させることのできる
極めてまれな時代と言えるかもしれません。

人事の定性評価の件から派生して、
このブログをお読みになっている皆さまが、
今後、どのような企業で働きたいのか
一度考えてみるというのはいかがでしょうか。

本日も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました。

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