「死の谷」を越える方法:製品開発から事業化の収益タイムラグの克服

谷間 新規事業

MOT(技術経営)では、研究開発から事業化に至るまで
「魔の川」と「死の谷」という2つの大きな障害があると説明されています。

「魔の川」の罠を避ける考え方については、
以下で説明していますので、ご関心のある方は是非お読みください。

新規事業における「魔の川」の罠を避けるには:市場の未決の課題からスタートする
MOT(技術経営)では、研究開発から事業化に至るまで 「魔の川」と「死の谷」という2つの大きな障害があると説明されています。 今回は「魔の川」について 説明をするとともに、その罠を避ける方法について説明します。 「魔の川」は「技術を製品化で...

今回は「死の谷」について説明をするとともに、
いかに乗り越えるかについても解説していきます。

「死の谷」は、経費削減、資金調達、早期に収益を上げるで対応できること。
また、なかでも「早期収益化」が大切で、そのためには
新製品や新サービスの完成度ばかりを追い求めずに
早い段階で市場に投入する意識が必要です。次の章から詳しく見ていきましょう。

「死の谷」とは

死の谷とは、製品が開発されから、
収益が得られるまでのタイムラグのことです。

この概念は、「米国標準技術局」が
アメリカ財務省からベンチャー立ち上げ予算を確保する際に、
活用、説明されたものです。

製品やサービスを市場に出した後のフェイズとして、
具体的な顧客対応、方向修正、アフターサービスなどが必要となりますが、
これらを進めている間に、初期予算が目減りしていき、
売上がある程度上がってくるまでには時間がかかるため、
資金的に行き詰ってしまうという問題となります。

特にベンチャー企業では、「死の谷」は文字通り死活問題で
越えなくてはならないけれども、高いハードルとされています。
もちろん一般企業でも、新規事業の創出には当初の予算案がありますので、
生じる問題でもあります。

「死の谷」を越える3つの方策

「死の谷」の問題は、煎じ詰めれば「資金」の問題とも言えます。

これを解決するには次の3つの方策しかありません。

(1)経費削減
(2)追加の資金調達
(3)早期に収益を上げる

それぞれを見ていきます。

(1)経費削減

まず(1)経費削減については、改めて支出の見直しを行うことです。
しかし、現在日本では、マネジメントスタイルがすでにスリム化されており、
削れる部分はそれほど多くはないという印象があります。
そのため効果はあるものの、やや限定的となります。
他の施策との組み合わせが必要となります。

(2)追加の資金調達

(2)追加の資金調達については、
一般企業においては、黒字化の目途が立っている場合、
いかに経営陣を説得するか、ということになります。

進捗状況や経営環境によっても異なるため一概には言えませんが、
新規事業を進めるなかで予想外に必要な資金が急増してしまった場合、
事情を説明し、理解してもらい、追加の資金調達を実現する対応が必要となります。

また、黒字化の長期的な目処が立たない場合は、プロジェクトを
一旦中止するということも視野に入れる必要が出てきます。

(3)早期に収益を上げる

(3)早期に収益を上げることについては、
通常の対応のなかで最も注力したいものです。

早期の収益化が実現しない際にありがちなケースとしては、
完成度の高い製品やサービスを求めてしまったことで、
リリースが遅れ、収益化が後ろ倒しになってしまうことです。

これに関しては、製品やサービスの完成は、リリース段階から完璧を目指さず、
まず、市場に出すことを、プロジェクトの初期段階から
意識することが大切になります。

「こんな製品は当社のブランドで売り出せない」という意見が
様々なところから出て、リリースが遅れるケースがあります。
しかし、顧客がどの製品レベルを求めているのか、
イノベーティブな商品であればあるほど、読めないというのが現実です。

リリースしたの製品やサービスが市場で本当に売れるかは、
実際に販売をしてみないと分かりません。

現在は、不確実性が高く、先行きが不透明なVUCAの時代です。
市場に出してみて、反応を探りながら、そこで新たに見えてきた
改善点に対応しながら、完成(市場の求める価値)を目指していくことが
有効な進め方となります。

まとめ

「死の谷」は、資金の問題と言い換えることができます。
その対応としては、(1)経費削減、(2)追加の資金調達、(3)早期に収益を上げる
の3つがありますが、(3)を意識することが重要となります。

収益化も見据えて、新製品や新サービスについて
完成度ばかりを追い求めずにとにかく市場に投入してみることが大切です。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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