新規事業における「魔の川」の罠を避けるには:市場の未決の課題からスタートする

川新規事業

MOT(技術経営)では、研究開発から事業化に至るまで
「魔の川」と「死の谷」という2つの大きな障害があると説明されています。

今回は「魔の川」について
説明をするとともに、その罠を避ける方法について説明します。

「魔の川」は「技術を製品化できない課題」、研究と開発の間の「考え方の違い」です。
そのため、「魔の川」の罠にかからないためには、
「市場の未決の課題」からスタートさせることが重要だということです。

「魔の川」に対する考え方は、
新規事業やイノベーション創出の際(技術をベースとしなくても)にも、
参考となるものですので、次の章から詳しく見ていきましょう。

「魔の川」とは

「魔の川」というのは、
コンサルタントの出川通氏が『技術経営の考え方』という書籍のなかで
最初に言及された概念です。

この書籍やMOTの研究では「魔の川」というのは
「研究」と「開発」の間にある「考え方の違い」となり、
その考え方の違いが原因で、「研究結果が製品に結びつない」ことを指しています。

ひと昔前までは研究によって技術シーズが開発されて、
それをもとに製品化すれば、ある程度、市場で受け入れられた時代がありました。

次のような流れです。

研究→技術シーズ→製品化→市場へ

しかし、現在、新しい価値を市場に提供しなければ市場で売れない状況でもあり、
「研究」で開発された技術シーズが
市場ニーズと合致する「開発」に結び付けられなくなる問題が生じています。
これが「魔の川」の正体となります。

魔の川の罠を避けるには

「魔の川」の罠にかからないようにするためには、
市場の未決の課題や気づき、問題点から、
スタートさせるという考え方が重要となります。

次のような流れで進めることが必要です。

市場の未決の課題への気づき→課題の抽出→技術シーズ→技術、サービスの開発

この流れを作っていくためには、
仮に、技術シーズから新製品を展開することを通常のプロセスとして進めている場合、
これまでのプロセスを見直していく必要があります。

この課題に気づき始めている企業では、
研究者を、営業担当者に同行させて市場に近いところを経験してもらう
といった施策が行われています。

ある企業では、大胆な施策として、
研究所員の30パーセントを営業部に異動させるということを行いました。

一年ほど経つと、
他社の技術者への営業活動は、
自社の技術者が行うほうが信頼性、理解度の観点から良いことが明確に見えてきました。
技術者同士が話をするほうが話の進み方が早く、結果につながるということも分かりました。

また、元・研究者が営業活動を行うなかで、
これまで分からなかった市場の課題も見えてきて、
研究を進めれば解決できるというタネの発見にもつながりました。

そうした頃に、営業部から研究所へ戻すの異動が行われました。
現在、この企業では、自社が強い技術を生かしながら、
全く別の領域での製品展開を実現化させて、大成功を収めています。

まとめ

「魔の川」の罠を避けるには、
市場の未決の課題や気づき、問題点から、
スタートさせるということが重要となります。

市場の未決の課題からはじめると、
具体的にどのような顧客がいるのかも見えてきます。

製品やサービスを作ったが売り先がないという
ありがちなリスクを回避することにもつながります。

これらを実現されるためには、紹介したような施策がありますが、
基本方針としては、研究者の方にも市場の課題に関心を持ってもらうという点が
ポイントとなります。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

「魔の川」と並ぶ壁である「死の谷」については下記で解説いたしましたので、
併せてご参考いただければ幸いです。

「死の谷」を越える方法:製品開発から事業化の収益タイムラグの克服
MOT(技術経営)では、研究開発から事業化に至るまで 「魔の川」と「死の谷」という2つの大きな障害があると説明されています。 「魔の川」の罠を避ける考え方については、 以下で説明していますので、ご関心のある方は是非お読みください。 ...

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