スリランカが2022年7月5日に「破産」を宣言しました。
ウィクラマシンハ首相が議会で国の破産を宣言した形です。
スリランカは、エネルギー資源を輸入に頼っていますが、
外貨不足により燃料を輸入できず、国内在庫も尽きている状況。
2022年2月からは計画停電も行われ電力事情も風前のともしびです。
燃料節約のため、全土の学校を休校、
公務員に在宅勤務を求めているということでした。
また、こうした状況に対して、
政府への抗議を続ける市民と警察との衝突も起きており、
7月9日には
ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の辞任を求める
反政府デモの参加者が大統領公邸を占拠。
辞任する意向を示しています。
このようにスリランカでは、
経済危機から、社会情勢不安にまで発展していますが、
市民生活も大きなマイナスの影響を受けています。
AFP通信によると、給油所で自動車に乗って
数日間列に並んでいた60歳の男性が車内で
死亡しているのが5日見つかったといったショッキングな
ニュースまで報道されていました。
首相は、金融支援獲得に向け国際通貨基金(IMF)と交渉していると
していますが、「破産国家」として協議しているため、
困難な交渉となっているということのようです。
燃料だけではなく、その多くを輸入に頼る食料価格も高騰。
とにかくインフレが進んでおり、
年末にインフレ率が60%に達するとの見通しがあり、
混乱は長期化するとされています。
実はスリランカは、以前から多額の対外債務を抱えており、
国としていつ破産状態となってもおかしくない状況だったそうです。
外貨不足は昨年から顕著となっており、
2021年12月末には、
石油の輸入代金としてイランへ支払う外貨がなく、
紅茶で毎月500万ドル相当を輸出することで、
支払いとしてもらうというニュースも流れました。
エネルギー危機、食糧・衣料品不足が起きていますが、
状況の深刻さを物語のが、
下記の「料理はまきで…経済危機のスリランカ」の記事です。
料理について、ガスではなくまきや炭で調理する人が増えているということでした。
レストランでもまきが使われるようになったそうですが、
そのまきすらも、価格が高騰して手に入れられなくなっているようです。
こうした状況が起きている背景について
下記の記事から3つに整理することができます。
1)対外債務の増大
最初に中国の計画である「一帯一路」について
説明をします。
「一帯一路」は
中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の
「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、
中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、
アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)
の2つの地域で、インフラ整備と交易、投資を行うというものです。
この「一帯一路」のなかで、
スリランカでは2013年頃から、
中国の融資を受ける形でインフラ整備が進められました。
2014年以降、スリランカには多数の中国企業が主体となって、
インフラ整備を行っています。
といいますのが、
巨額の資金(インフラ整備のため)を短期間に貸し付ける代わりに
中国企業への発注を行うことが条件となっていたためです。
しかし、スリランカが受けた融資は巨額でした。
スリランカは、紅茶、宝石、繊維製品、農作物が輸出が
大きな外獲得手段となっていましたが、
総輸出額に占める債務の返済額が約30%にものぼる形となります。
売上の30%が借金返済に使われている状況について、
一般家庭でイメージしていただくと
どれだけ大変な状況か想像ができるかもしれません。
こうしたことは長くは続けられず、
2017年頃から融資返済に行き詰まります。
この段になってスリランカ政府は、
中国側と返済について交渉をしましたが、
ハンバントタ港の運営権を2017年7月より「99年間引き渡す」
といったこととなっています。
ハンバントタ港は、スリランカのシーレンの要所なのですが、
「債務のわな」に陥り、いわゆる「租借地」となってしまったのです。
インフラ整備のための融資を中国から受けたものの、
インフラは十分な利益を生み出さず、借金ばかりが膨らみ、
土地を中国に明け渡すことにまでなっています。
2)スリランカの主力産業である観光業が壊滅的な打撃
スリランカは、豊かな自然に恵まれており、
「インド洋の真珠」と称されるほどの人気観光地でした。
アヌラーダプラやシギリヤといった世界遺産も人気でした。
アジアとヨーロッパの中間地点に位置していることから、
距離的にも両方の観光客が訪れる場所でした。
そうしたことからスリランカの
観光収入はGDPの約5%となる43億8100万ドル(2018年度)を占めており、
繊維・縫製、ロジスティクス・輸送サービスに
次ぐ3番目の貴重な外貨獲得源でした。
しかし、2019年4月21日のスリランカ同時爆破テロ事件が起こり、
観光業は打撃を受けます。
しばらくして回復基調となるのですが、
その後、新型コロナウイルスの世界的な影響があり、
観光業が壊滅的となってしまいました。
観光収入は、交通、宿泊、飲食など関連産業があり、
外貨獲得の手段が一気に途絶えた形となったのです。
3)ロシア・ウクライナ問題によるエネルギー価格と肥料価格の高騰
スリランカが、エネルギー資源を輸入に頼ってることを述べましたが、
1)、2)で外貨が不足しているところに、
エネルギー資源の高騰が国を直撃します。
そのため、冒頭で述べた
ガソリン不足、ガス不足が深刻化して、
社会に大きな影響を与えています。
さらに、スリランカは紅茶が同国を代表する農産品で、
世界第4位の輸出量を誇っていたのですが、
それを支える肥料価格も高騰しており、入ってこなくなりました。
農業も大きなダメージを受けた形となります。
その結果、
インフレが加速して、物価高く多くの市民が困窮する事態となっているのです。
ここで、日本の状況について、
エネルギー資源の観点から、「輸入国」であるため、
スリランカと近いものがあります。
ただ、先の述べたように、スリランカは
経済基盤が極めて脆弱です。
一方で、日本は、対外債務として、
ドル建て債務が「ない」ため、
スリランカのような社会情勢悪化に陥るような状況となる可能性は
「まだ」可能性が低いと考えられます。
資源を輸入しており、対外債務の多い国として、
スリランカの他に、インド、フィリピン
また、状況によっては韓国といった国が苦境に立たされる可能性があります。
グローバル的に社会情勢の不安定な国が増えことは、
サプライチェーンやエネルギー資源の観点から、
日本にもマイナスとなります。
いずれにしても、インフレは今後も進み、
資源、エネルギー価格については、
今後も高止まりすると思われます。
特に、食料関係の自給自足については、
国とての対応が必要となるとととも、
各個人としても一定程度の備えをすべきタイミングかと思われます。
現状では明るい兆しがあまりなく、
この先どうなるかの予測も立てにくい状況です。
大げさだというご指摘もありますが、
今一度、個人として備蓄などを考えられてみてください。
特に電力について、
2022年の冬については、計画停電の可能性があります。
下記では、非常用電源とソーラパネルをご紹介しておりますが、
この製品でなくてももちろん構いませんので、
一度家電量販店などでご覧になって、サイズや使用感などを
お確かめになることをお勧めします。
(下記はご参考として掲載しています)
また、2022年には新米が出る段階となりましたら、
お米の生産状況が見えてくると思いますが、
現段階から、備蓄用のお米の購入を検討するというのも良いかと思います。
大変申し訳ありませんが、下記は
5キロ×4の20キロの大量のものとなっていますので
ご注意ください。
他の通販のサイトなどでは5キロのものもあるかと思いますし、
あるいはお近くのお米屋さんとご相談をされてみてください。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
下記の記事も是非ご参考いただければ幸いです。