世界的な肥料不足による農業危機が、日本にも迫っている

経済動向

現在、グローバル規模で食糧不足が発生する可能性が
高くなっています。

付随して日本の食料自給率が低い点などについてもこれまで
本ブログでは述べてきました。
https://anaino.com/food-crisis2/

2022年5月19日段階において、
国連のグテーレス事務総長が、
ロシアのウクライナ侵攻で小麦などの穀物の輸出が減り、
世界的な食料不足に陥るおそれがあるとして、
滞っている穀物などの輸出の再開に向けて対応を急ぐよう訴えています。

国連総長 “ウクライナ侵攻で世界的食料不足のおそれ 対応を” | NHK
【NHK】国連のグテーレス事務総長は、ロシアのウクライナ侵攻で小麦などの穀物の輸出が減り、このままでは世界的な食料不足に陥るおそれ…

ロシア・ウクライナ問題で、
小麦およびヒマワリ油が不足し、それが発端となり、
他の穀物類、食用油をはじめ、
飼料の高騰により肉や卵などの価格も値上がりしています。

この問題とは別に、
現在、世界的に肥料不足が起きており、
農業生産に今後大きな影響を及ぼすことが懸念されています。

現在、耕作地1ヘクタールで扶養できる人間の数は、
「4.3人」という試算があります。
一方、1908年の段階では「1.9人」の扶養
に留まっていました。

扶養できる人数が約2倍と飛躍的に増えた背景には、
窒素から生成した肥料が活用できるようになったためとされています。

窒素からの肥料生成を可能にしたのは
「ハーバー・ボッシュ法」という発明で、
1910年にフリッツ・ハーバー博士とカール・ボッシュ博士が実現した
空気中にある「窒素」と「水素」を反応させ、
アンモニアを作り出す仕組みです。

そのアンモニアが化学肥料の原料となり、
現在の農作物の高収量化を実現しているのです。

農作物を育てるには、
「窒素」「リン」「カリウム」の
肥料の三要素が必要となりますが、
ハーバー・ボッシュ法のお陰で、
窒素を供給する化学肥料の大量生産が可能となりました。

ハーバー・ボッシュ法は、
「水と石炭と空気からパンを作る方法」
「空気からパンを作る」などと称されています。

仮にですが、何らかの理由でハーバー・ボッシュ法が
全く使えなくなったとすると、地球の全人口の4割が維持できない
ということが見えてきます。

No.347 世界人口の約半分は化学肥料窒素で養われている | 西尾道徳の環境保全型農業レポート

ところでハーバー・ボッシュ法で窒素肥料を作るために
「窒素」と「水素」が必要なことは前に述べた通りです。

「窒素」は空気中に大量に含まれていますが、
「水素」を作るためには通常、石油、天然ガス、石炭などが使用されます。
現在は、特に天然ガスが主な原料となっているようです。

ご存知の通り、現在天然ガスは
アジア、ヨーロッパでの需要高まりを受けて価格が高騰しています。

需要の高まりの背景には、脱炭素の流れがあり、
二酸化炭素を排出する石油の代わりに
排出量の少ない天然ガスの利用が各国で進められています。

こうした背景もあり、天然ガスの価格推移は2021年7月頃から上昇し、
高止まりの傾向が続いているのです。

天然ガス価格の推移 - 世界経済のネタ帳
天然ガス価格の推移をグラフ及び時系列表にて掲載しています。

窒素肥料は世界各地で天然ガスを使って作られていますが、
天然ガスの価格高騰から値上がりが続いている状況となっています。

また、農作物を育てるには、
「窒素」「リン」「カリウム」のうち
「リン」については、日本は約9割を中国から輸入しています。

https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/index-7.pdf

ところが、中国は自国の肥料確保を目的に、
2021年10月から肥料の輸出制限をしています。

代替国としてモロッコなどからの調達を進めていますが、
中国と比べると、遠距離で輸送コストがかかることから、
リンについては、2021年と比べ2022年は約3倍となるなど
価格高騰が続いています。

最後に、「カリウム」についてですが、
カリウムは、ロシア、ベラルーシの2カ国で
世界全体の輸出量の約4割を締めています。

しかし、2022年4月21日には、
日本が輸入するロシア産の肥料原料がゼロとなっています。

ロシア産肥料原料、輸入ゼロ ベラルーシ産も代替先探る(共同通信) - Yahoo!ニュース
 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本が輸入するロシア産の肥料原料がゼロになったことが21日、分かった。主要な肥料原料である塩化カリウムの調達先を、全国農業協同組合連合会(JA全農)や商社が他の

ベラルーシはロシアとの関係が深いため、
今後、ロシアと歩調を併せて肥料輸出を制限するかもしれません。

このように、「窒素」「リン」「カリウム」の
いずれの肥料についても、これまでのような入手が難しくなっており、
価格が高騰している状況です。

今年の秋の収穫については、
肥料の要因だけみても、同じ収量でも値段が高止まりする
可能性が見えてきます。

秋以降についても、
肥料価格が安定するという見込みは立ちづらい状況です。
ロシア・ウクライナ問題が一定程度の終息を見せるまでは
世界的な混乱が続くと思われますが、いずれにしても
現段階ではそれがいつなのが分からない状況です。

肥料代の高騰に加えて、
農機具を動かすガソリン代も高騰しており、
ビニールハウスなどの資材も石油製品のため値上がりが続いています。

穀物を含めた野菜類の安定供給が、今後1年以上続くかもしれません。

こうした状況に対しては、
以前から備蓄の必要性をお伝えしていますが、
ローリングストックを意識した備蓄の仕組みを
各ご家庭でお試しになってみるのが良いと考えています。

夏頃には、秋の農産物の収穫量が概ね見えてくるかと思いますが、
早めはやめのご対応をお薦めいたします。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

(追記)
肥料の値上げにより、日本の農産物の流通量が減少することを次の記事でまとめました。
よろしければご参照ください。

肥料価格の値上がりの影響による農作物の流通量減少は2022年秋から本格化する
世界的な肥料不足の問題が深刻になっています。 世界の肥料の状況については以前の記事でまとめました。 日本では2021年5月31日の報道で、 JAが地方組織に6~10月に販売する肥料について、 値上げすると発表しています。 ...

(ご参考)

下記でご紹介しているのは真空パックになっており長期保存ができるお米です。
まず、備蓄のためというよりは、
これらのお米が、皆さんお口に合うかを試してみることが
現段階では重要かと思っています。

大変申し訳ありませんが、下記は
5キロ×4の20キロの大量のものとなっていますので
ご注意ください。
他の通販のサイトなどでは5キロのものもあるかと思いますし、
あるいはお近くのお米屋さんとご相談をされてみてください。

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