ポストコロナのイノベーション、新規事業:シリコンバレーの危機意識から考える

会議場 イノベーション

新型コロナウイルスの影響に端を発した
人々の価値観の変化が、表面化してきています。

特に「場所」に関する価値観は大きく変化したと言えます。

これまで何かをするにしても、基本的には「現地に行く」ことが
前提となってビジネスの進められていました。

たとえば、商談をするにしても、重要なものほど現地に赴き、
相手と直接対峙しながら、話を進めていました。

しかし、今回のコロナウイルスの問題で、
移動についての制限が、物質的にもかかったことから、
致し方なくオンライン会議で対応をしたところ、
実際に行ってみると、出張費をかけてまで現地にいかなくても、
一定程度の効果が出ることが見えてきました。

こうした影響が、実はイノベーションのメッカである
シリコンバレーにも出てきているようです。
今回は、価値観の変化に伴って
特に「イノベーション」に与える影響を考えてみたいと思います。

イノベーションの本質は「新しい組み合わせ」

イノベーションとは「技術革新」ではなく「新結合」を意味します。

イノベーションとは:イノベーションは「技術革新」ではなく「新結合」
「イノベーション」という言葉を聞くと、 多くの方が「新技術」「技術革新」と連想されないでしょうか。 しかし、本来のイノベーションという言葉は「新結合」を意味します。 実は、イノベーションは「技術である」という誤解が、 長年、日本企業にとって...

重要なポイントとしては、
イノベーションは必ずしも技術の観点からアプローチしなくては
いけないものではない点です。

日本企業の多くが、イノベーションというと、
「技術」の視点から考えてしまいがちです。

しかし、課題に対する解決策を技術の部分だけで考えてしまうと、
サービスやバリューチェーンなどでの視点に至ることができなくなる
可能性がでてきてしまいます。

これが日本企業のイノベーションや新規事業の大きな「ガラスの天井」と
であったと捉えています。

イノベーションの本質は、
新しい組み合わせによって、既存にはなかった新しい価値を作り出す
ということにあります。

こうした新しい組み合わせによる価値創出を行う際に、
重要となるのが、「多様性」の観点です。

組み合わせのベースとなるものが、多種多様であれば、
それだけ組み合わせも広がり、新しい価値につながる可能性が高くなります。

多様性を価値の源泉としたシリコンバレー

多様性を大きな存在価値の源泉としているのが
アメリカのシリコンバレーです。

色々なイノベーターがいて、背景の異なる人材を積極的に取り込むことで、
固定概念を打ち破れるようなイノベーションにつなげているのです。

シリコンバレーで活躍しているエンジェル投資家なども
多様な人脈をコネクトすることによって、
意識的に新しい価値を生み出すことに貢献しています。

良く知られているところですが、
エンジェル投資家たちは、資金提供が難しいビジネスであったとしても、
自分の人脈のなかから
「この人とつながってもらうと新しい展開があるかもしれない」
という意識で、人のコネクトを積極的に行って事業展開の次の応援をしています。

実際そうしたコネクトのなかから、新しい気づきや価値につながり、
イノベーションや新規事業を成功させている事例が多くあるようです。

コロナウイルスの問題で生じた、シリコンバレーの変化

シリコンバレーの大きな価値として、
色々なイノベーターが「一か所に集まっている」というものがありました。

また、多様なイノベーターが一か所に集まっているからこそ、
新しい価値に結びついたのだという意識があったと思います

しかし、今回のコロナウイルスの問題で、
世界中からシリコンバレーに集まっていたイノベーション人材が、
集まることができない、あるいは離れざるを得ない状況が生じました。

そのような状況で、世界各地からシリコンバレーのイノベーターに
オンラインを通じてつながるということが
日常的な対応として行われるようになりました。

そこから、「オンラインでもそこそこうまくいくのではないか?」という
考え方も少なからず出てきているようです。

シリコンバレーというリアルの「場所」に対しての
価値観が変化しつつあることが伺えます。

もしかするとバーチャルな場で、シリコンバレーのような役割をする
「仮想空間」が今後出てくるかもしれません。

こうしたことが本格化されると、必ずしもシリコンバレーというリアルの場ではなくとも、
イノベーターとつながることができるとして、
現実的な場所の価値が均質化してくる可能性もあります。

この現状に、シリコンバレーのイノベーターやエンジェル投資家たちは
少なからぬ危機意識を抱いているというのも本音のようでした。

偶然の出会いは意識して作り出すしかない

その一方で、
「ある程度のコミュニティができあがった状態」であったからこそ
オンラインでのつながりは可能であるという考え方もできます。

その意味では、今後もシリコンバレーという場は、
一定程度の影響力を保持し続けることになると推測しています。

ところで、オンラインがデフォルトとなった場合、
ビジネスパーソンの人脈の幅についても、
これまで以上に二極化が進むという印象があります。

特に、リアルの場では「偶然の出会い」という要素があり、
イノベーションや新規事業においては一定の役割を担っていたと思います。

たまたま出会ったことが次のビジネスにつながった
というセレンディピティ的なものがあったと考えています。

現段階のオンラインの会合では、偶然の要素は少ないという印象があります。
それをカバーするためには、オンライン、リアル問わず、
ビジネスパーソン一人ひとりがこれまで以上に積極的に求めていくほかないと
考えています。

現在、オンラインのビジネス会合がサービスとして
提供されつつあります。そうしたものにお試しでも良いので、
参加してみるということが必要となるのではないでしょうか。

まとめ

場所に関する価値観の変化が、
これまにないほど大きなうねりとなっていると考えています。

今後、オンラインでの経験から
場所に関する価値意識の変化が一層促されると推測しています。

価値観の変化は、既存のビジネスにとっては脅威となりますが、
新しいチャンスにつながる場合もあるかもしれません。

今後もこうした変化を冷静に見つめていき、
いかに対応すべきかを考えていきたいと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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