新型コロナウイルスの影響により
働き方に大きな変化が生じました。
多くの企業でテレワークが導入されたことがその一例ですが、
それ以外にも大きな変化が水面下で起こっています。
今回、ビジネスパーソンに求められる能力についての変化について、
注目してみました。
その背景には、今回のような新型コロナウイルスに伴う大きな社会変化のなかでは、
部署や部門といったカベを乗り越えて、
一つの企業で「横串」が通さなければ対応できない状況が
でてきているということがあります。
上手に横串を通す人材に必要な能力として、
各部署の専門性や状況について、ある程度の知見を持っていることが
重要であると指摘されています。
それが、今後活躍できるビジネスパーソンの条件となると考えています。
次の章から詳しく見ていきましょう。
不透明な時代のトップダウン型の限界
現在、新型コロナウイルスの影響もあり
経済全体に大きな変化が生じています。
この大きな変化に対して企業が対応できなければなりません。
しかも、ゆっくりと対応するのではなく、
これまで行ったことのないことでも、
すぐに体制を整えて対応する必要となるケースが増えています。
こうした状況下においては、企業が一丸となって
新しい状況へ対応することが必要となります。
しかし、ある一定以上の規模の企業においては
部署や部門のカベが大きな問題となってきます。
そこで考えがちなのがトップダウンで
部署、部門の協力体制を構築して進めていくということですが、
トップダウン方式だけでは
変化への対応はうまくいかないと考えています。
人間というものは、新しいことを行うことに大きなストレスを感じるため
現状維持の選択を無意識に選びます。
社員が腹落ちしていない状況下においては
経営陣がトップダウン型のリーダーシップを発揮しても、
面従腹背となってしまう可能性が高いと捉えています。
併せて現在、先行きが極めて不透明な時代です。
いくら有能な経営トップであっても、
これまでとは異なる新しい道を間違いなく指し示すことは
不可能だと考えています。
不透明な先行きで、トップダウン型でものごとを進めると、
現場は不透明ななかで進めることとなり、それが不安感、不信感となるため
守りの方向(つまり何もしない)となる危険性があります。
ボトムアップで横串を通す重要性
そこで必要となるのが、
トップの意向を背景としながら、ボトムアップ方式で
部署や部門の横串を通し、現場の意見、知恵を取り入れ、
試行錯誤して進むべき道を見つけていくこと、こととなります。
このような横串を通せる人材は、これまでも重要視されてきました。
「顔が広い」ということが第一に求められる能力であったかと思います。
もちろん「顔が広い」ことは重要なのですが、
現在の変化のスピードを勘案すると、それだけではなく、
広い領域の業務内容について、知っておくことが求められるようになっています。
たとえば、技術部門の方であっても人事、総務、法務を理解していることや、
新規事業担当の方が、webやシステム、マーケティングを理解している必要が
実際のケースとして出てきています。
以前であれば、別の部署の業務内容については表面的な理解で十分でしたが、
現在、実務的な理解も求められる場面も多くなってきています。
横串を通していくなかでは、関係する部署や部門の方とともに
「明日にでも!」ということで、実務的に動く必要が出てきているからです。
このように、企業の環境変化への対応をスピーディーに進めるためには
先述のような人材の存在が非常に重要になってくることは
ご理解いただけると思います。
個々のビジネスパーソンはどうしたらいいか
部署や部門を越えた幅広い知見が必要であることについては
逆T型人材(1つの専門性と広く複数の基本的な知見)といった
ことで、以前から提唱されてきていました。
今回の大きな環境変化により、
こうした複数の専門性が必要であることが、一気に加速した印象があります。
ところで、複数の部門にまたがる知見を
無理なく取り入れていくにはどうすれば良いでしょうか。
まず、ご自身が関心のある分野について、意識的に
書籍やオンラインなどを通じた学習がお勧めです。
特にオンライン関係では、無料のセミナーがあるほか、
これまでリアルで行われていた展示会やそれに付随した講演会なども
オンライン化しています。
少しでも関心がある異分野があれば、覗いてみるのが良いと思います。
社内に「技術交流会」などが開催されているようでしたら、
どの部署の方であっても積極的にご参加されてください。
特に横の知見を得る貴重な場となります。
これも、企業によっては本年度はオンライン化する試みが行われているので、
気軽に参加してみるのも良いと思います。
会社が認めているようであれば、
副業について「お金を稼ぐ」ことを第一とするのではなく
「新しい知見を得る」ことを目的として進めてみるのも良いと思います。
もし、企業が教育予算として認めてくれるのであれば、
クオリティの高い異分野・異業種交流会へ参加することを検討しても良いでしょう。
異分野や異業種の方からのお話を聞くことができると
セレンディピティも生じやすく、新たな自分の道が見えてくることもあります。
複数の分野の知見を得ることは、新規事業やイノベーションを創出するうえでも
非常に役立つと考えています。
イノベーションというのは、このブログでは何度かお伝えしているように
「新結合」ですから、組み合わせるもととなる知識や経験が多ければ
それだけ組み合わせの選択肢も増えるからです。
まとめ
経営環境の変化が激しい時代において、
企業を変化にスピーディーに対応させる必要があります。
そのためには、全社一丸となり、
現場の知恵を引き出しながら、試行錯誤しながら進めていくことが重要です。
そこで鍵を握るのがボトムアップで
部署や部門の横串が通せる人材ですが、そうした人材に今後求められるのは
広い分野の知見となると考えています。
広い分野の知見を得るのは一朝一夕では難しいのですが、
意識して、自分の部署や事業とは異なる世界を覗いてみることが
重要だと考えています。
最後に変化対応について、ボトムアップの重要性を強調してきましたが、
役職に関係なくビジネスパーソンの方がこうした対応ができるかどうかが
今後の企業の存続の大きな要素となると捉えています。
大げさな意味ではなく、
企業の命運を左右するのは、個々のビジネスパーソンの意識であると考えています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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