「逆タイムマシン経営」の視点で見る「知財番付2020」はいい味出してます

アイデア・発想

下記の「知財番付2020」は約1年前の公開された記事です。

一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻教授の
楠木建先生の著書「逆・タイムマシン経営論」では、
「新聞雑誌は寝かせて読め」とありまして、
一年前に知財で注目された案件を「今」振り返ると、
色々と気づきがあり、「いい味が出ています」。

優れたテクノロジーやサービスを称える「知財番付2020」受賞知財

2020.12.16「知財図鑑」より

優れたテクノロジーやサービスを称える「知財番付2020」受賞知財 | 知財図鑑
「世界を進化させる知財」を多くの新規事業担当者に広めることを目的として初開催された「知財番付2020」の受賞知財を発表します。

■転載■

受賞結果〈東〉

横綱:「avatarin」avatarin株式会社
   “瞬間移動”を可能にする次世代の社会インフラ
⼤関:「Empath」株式会社Empath
   音声から気分・感情を判定するAI
関脇:「ファインファイバー技術」花王株式会社
   化粧の常識を塗り替える、一本の糸で紡がれた「人工皮膚」形成技術
⼩結:「リズミル」株式会社シーエーシー
   映像から脈波を測る技術で体調管理を手軽に
前頭:「LIMEX」株式会社TBM
   石から生まれた、紙やプラスチックに代わる新素材

評価ポイント:
横綱となった「avatarin」は、次世代の社会インフラを目指す知財として、
数あるアバター知財の中でも“誰もが使える”手軽さを目指した展開性が
高く評価され最高得点での受賞となった。

「Empath」は非対面コミュニケーションが活性化していく
世の中において重視されていくであろう、
音声からの感情分析の応用性に期待が寄せられた。

「ファインファイバー技術」は化粧=塗るものという常識を変える知財として
注目を集め、他分野への展開アイディア次第では
さらなるパラダイムシフトが考えられる。

映像から体調がわかる「リズミル」もまた、
ニューノーマル時代の生体データ取得技術として
人々の健康管理のあり方自体を変える知財だろう。

「LIMEX」は石灰石を原料にした紙やプラスチックなどの
代替素材として既に活用が進んでおり、
SDGs文脈での社会課題解決へのチャレンジに期待したい。

受賞結果〈西〉

横綱:「Tellus」経済産業省、さくらインターネット株式会社
   未来を明るくする、衛星データプラットフォーム
大関:「Ultra-fine Stainless Steel Wire Mesh」アサダメッシュ株式会社
   ウェディングドレスにも使える、世界一細いステンレス繊維の織物
関脇:「物品位置検出」パナソニック株式会社
   モノのGPS化技術
小結:「エアジェスチャ」京セラ株式会社
   直接触れずにデバイスを操作する技術
前頭:「Josyu」株式会社サカワ
   授業中の声を保存・活用するAI

評価ポイント:
西の横綱は衛星データプラットフォームの「Tellus」。
宇宙データへのアクセシビリティが高まったことによる
ビジネスへの貢献は広範囲に渡るとして、評価が集まった。

クリエイターの創作意欲をくすぐる
金属織物「Ultra-fine Stainless Steel Wire Mesh」は
テクノロジーとの相性の良さから、応用性の項目で特に高評価だった。

「物品位置検出」は物の場所がわからなくなるという
生活における身近な課題解決でありつつ、
高い専門性を有するライフハック技術としての活用法に期待したい。

「エアジェスチャ」は、
コロナ渦でニーズの高まる非接触操作技術に早くから着目しており、
今後は衛生・安全分野以外への拡張も考えられるはずだ。

教育分野の知財からは先生の声をテキストとして活用するAI「Josyu」が受賞。
教育現場の業務効率化に手軽なテクノロジーを用いる発想は、
言葉を扱う多様な業界で活用の可能性を秘めている。

注目した点

考察の切り口は色々とあるかと思いますが、
コロナの影響から、本当に社会展開された知財は?
が見どころの1つとなるかと思います。

現在はこれらの製品が
世の中にどのような影響を与えたかの「答え」を
すでに持っています。

一年前の記事ではどのような点が注目されていたのか、
改めて見てみると、
当時想定してたものと、現在の結果で
いろいろなギャップが見えてきます。

非接触関連の製品、サービスは、
その他の日常用途への転用ができるかどうかが
結果的に生き残りにつながっているように見えます。

日常用とへの転用などは、一年前は全く考慮されていなかったものでした。

逆に言えば、日常への転用用途まで考えていたら、
当時のコロナ禍への対応に求められていたスピードの面で、
マイナスとなってたため、あえて無視した側面があったかもしれません。

新製品や新サービス、新規事業は、
おなじ性能でもタイミングにより、評価が大きく分かれる
というケースがあります。

その「機運」を選ぶ眼が必要ですが、
結果的に、成功したということもあるため再現性が低く、
難しい課題でもあります。

そうなりますと、
仮に、今後コロナの影響が急速に収まり、、
非接触関係のの製品、サービスは、
次のパンデミックで、改めて注目を集める可能性もあります。
今捨てないで、「寝かせる」という戦略が今後有効になりそうです。

未来洞察の手法としての「スキャニング」の基本(1)
多くの企業では、将来的な変化を推測したり、 確からしい事実に基づいて、 自社の戦略や、新規事業のテーマ策定を行っています。 こうした将来的な変化の予測については、 メディアや専門家が「こうなるであろう」と 解説したものを活用することも多いか...
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