インフレが本格化する今、企業そして個人は何をすべきか

経済動向

3月28日にドル円が一時1ドル125円となりました。

日銀が指値オペを実施を発表したことで、
世界各国で、日本が円安ドル高の方向性を打ち出した
と捉えられています。

日本は国全体としては
たとえば自動車などの輸出でお金を稼いでいるため、
円安は輸出企業にとってプラスとなります。

一方で、素材、原料は輸入に頼っています。
ほかに、エネルギー関係、食品、一般消費財についても
輸入によって成り立っている部分が大きいのです。

コロナ禍によって、
サプライチェーンに混乱が生じ、
原料、エネルギー価格の上昇が続いていましたが、
今回のロシア・ウクライナの問題で、
これらが一層深刻となっています。

イギリスやドイツをはじめとする欧州各国や
欧米でも、製品価格や電気、ガソリン、ガス価格などが
一気に上昇しており、世界的なインフレが現実となりました。

たとえばイギリスでは
電気代が9000円→5万6000円まで跳ね上がり、
ガソリン価格(レギュラー)も
前年の3月中旬に1リットル当たり
1.24ポンド(当時レートで186円)であったのが、
1.55ポンド(240円)にまで値上がりしています。

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日本では4月から
食料品をはじめ様々なものが値上がりします。

時事ドットコム

とはいうものの、日本では企業側も消費者側も値上げに対する忌避感が強く、
海外に比べるとまだ、値上がりのスピードは
緩やかであるため、
多くの方が「危機意識」を持つところまではいっていないのかもしれません。

しかし、現在反映されている値上がりの割合は、
ロシア・ウクライナの問題の前段階で
織り込まれたものとなります。

そのため、ロシア・ウクライナ問題の影響分として、
今後、夏頃までのタイミングで
幅広い商品において、複数回大きな値上げが実施されると考えています。

この上げ幅は、これまでの「値上げ」ということよりも
一段と深刻で、また値上がりのスピードもこれまでに
考えられていたものよりも早く、
社会生活に与える影響が極めて大きいものになると推測しています。

ところで、現在、米国では、
中央銀行が政策金利を引き上げる
「利上げ」を行っています。

米国が利上げを行う理由は
インフレが加速しているため、
それを抑えるためとなります。

利上げがインフレ抑制につながるとされるのは
次のようなプロセスからです。

利上げをすると、一般的な民間の銀行など金融機関が
貸出金利や預金金利を上昇することにつながります。

お金を借りるための、金利負担が増えるため
企業は設備投資などを控えるようになります。

また個人としても、預金金利が上がるので、
銀行にお金を預けたいと考えるようになり、消費を抑えることに
つながります。

こうしたことにより、市場に出回るお金の量を抑える
こととなり、インフレ抑制につながると考えられているのです。

一方で、
以前の記事で、トルコでのインフレをご紹介しました。

ttps://anaino.com/turkey-inflation/ 

こちらの記事では、
トルコのエルドアン大統領が、通貨政策について
リラ安を容認したことが、インフレの原因であることを
解説しています。

これが原因で、トルコではインフレが進んでおり、
トルコ名物のごまパンが3倍の値段になったり、
レストランでは料理の値段が日毎に上がるため、
ホワイトボードに書くようになったといったことが起きています。

なぜトルコをご紹介したかというと、
日銀が現在、進めている円安の施策と近いものがあるためです。

28日に日銀が「指値オペ」を発表したことを受けて、
為替市場では一時1ドル125円台まで円安が進みました。

指値オペというのは、
日銀が、あらかじめ決まった利回りで
金融機関から国債を無制限に買い入れる公開市場操作を意味します。

指値オペが実行されると、
長期金利の上昇を抑えることにつながります。

日銀の意図としては、
長期金利が抑えることで
景気の刺激策としたい考えからかと捉えています。

一般的な金融機関においては、
お金を借りるための、金利負担が少なくなるため、
企業は設備投資などを積極的に進めるようになります。

また個人としても、預金金利が低い状態となるので、
銀行にお金を預けるよりも、消費に回したほうが良いと
なると考えられています。

この流れで、市場に出回るお金の量を増える形となり、
景気が刺激されるわけです。

ところが、お分かりのように市場にお金が多くで回りますと、
インフレにつながるのです。

特に、現在
米国では「利上げ」でインフレ抑制策を打ち出し、
日本では「利下げ」の形で、円を市場に出しています。

このコントラストから、
円安ドル高が進んでおり、
円安から輸入品は今後高止まりすると考えられます。

さらに、ロシア・ウクライナの問題による
品不足が影響するので、
今後、巨大なインフレの波が日本を襲うのではないかと考えています。

企業としても、これまでの
単純なグローバリゼーションを背景にした
「安いところから買えばいい」では通用せず、
今まで以上にカントリーリスクや価格変動リスクを
考えなくてはいけない時代となっています。

個人の方は、もし直近で
購入予定の商品があれば、早めに対応するのが良さそうです。

特に輸入品ですが、
PC関係、スマホ、白物家電(特にこれからはエアコン)
自動車、電動自転車あたりに大きな影響が出そうです。

どのくらい値上がりするかについては、
予想が難しいのですが、
ご紹介したイギリスの電気代や
トルコの状況、

そして、現在起きている上海での食品価格高騰
(これは新型コロナウイルスによるロックダウンで
 物流が混乱したことが原因ですが、
 物流の影響の参考になるため)

米国の外食産業の値段などから推測していきます。

まず、イギリスの電気代は5倍ということになっており、
トルコのごまパンは3倍という状況。

上海では、キャベツ1500円、
白菜1500円~2000円の状況です。

たとえば、日本ではスーパーでキャベツは1玉200円くらい、
白菜は1玉300~500円くらいですので、5倍。

それから、米国では、
かけ蕎麦が1杯1900円、とのことで、
日本では400円程度のものですので5倍。

(米国と日本の外食産業の差もあるので、
 ごく浅い参考値になります)

といったところから、今後、食料品、日用品について
輸入物を中心に3~5倍といった値段となると推測しています。

給料がその分増えるか?ということが問題になりますが、
恐らく、3~5倍までの物価上昇をカバーできるほどの
給料上昇は難しいでしょう。

そうなりますと、まだ値上げが本格化していないうちに、
備蓄や備えをする必要があると考えています。

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