戦略国際問題研究所(CSIS)が2022年を振り返ったレポートから2023年の展望

経済動向

米国のシンクタンク
戦略国際問題研究所(CSIS)が2022年を振り返った
レポートを発表しています。

Five Things We Watched in 2022 | New Perspectives on Asia | CSIS
CSIS research interns Stephen Garrett, Maxwell Bessler, Lona Girardin, and Joseph Vaughan review what CSIS experts wrote in last year’s “Five Things to Watch in...

CSISは、
防衛、国家安全保障の分野では世界第一位の
シンクタンクとして知られており、
外交政策、国際関係論、革新的政策提言といった分野でも
世界トップクラスの組織です。

このなかでCSISが
2022年に注目した以下の5つがまとめられています。

1)Covid-19 経済
2)米国のインド太平洋戦略
3)米中競争
4)デジタル通貨
5)軌道インフラ(宇宙関係)

ご関心のある方は、是非もとのレポートをご参考ください。

Five Things We Watched in 2022 | New Perspectives on Asia | CSIS
CSIS research interns Stephen Garrett, Maxwell Bessler, Lona Girardin, and Joseph Vaughan review what CSIS experts wrote in last year’s “Five Things to Watch in...

このなかで、1)Covid-19 経済 
が今年の振り返りとしてよくまとまっています。

振り返りですので目新しいことはありませんが、
是非ご参考いただければと思います。

(以下引用)

Covid-19 経済

【世界経済全体の動き】

世界経済は、Covid-19 パンデミックの余波と
2022年初頭段階では予想されていなかった
ロシア・ウクライナ戦争により、完全には回復しませんでした。

IMF は、2022年の世界経済成長率が当初4.9%と予測していましたが、
結果的には3.2%で終わる形です。

【インフレとその影響】

2022 年の最も大きな経済的なテーマは「インフレ」でしょう。

米国西側の都市ではものの価格は1980 年代初頭以来最も高く上昇しました。

弱体化したサプライ チェーンはすべての経済に問題をもたらしましたが、
コア インフレの主な要因は大西洋全体に広がっています。

米国では、主に耐久財に対する強い需要と
回復力のある労働市場がインフレを引き起こしました。
(補注:雇用が比較的強いということ)

物価の上昇、賃金の上昇、米国全体での雇用の増加がインフレにつながりました。

【欧州におけるインフレ】

ヨーロッパでは、インフレはパンデミックの供給ショックによって引き起こされ、
その後ウクライナでのロシアの戦争によって悪化しました。

エネルギーと食品の価格は一年中高騰し、その他の価格を押し上げました。
その結果、ヨーロッパ全体の労働市場は、
雇用が回復したとしても、賃金の伸びを促進するのに苦労しました。

これらのインフレのさまざまな要因は、
大西洋を越えて対応をめぐって政策立案者の間で意見の相違が生じた理由を
説明するのに役立ちます。

米国連邦準備制度理事会は、
経済の需要を冷やすための継続的な試みとして、
金利を 15 年間で最高の水準に引き上げました。

これにより、欧州の中央銀行は、
金利の引き上げによって賃金上昇を促進するための
政府の財政オプションが制限されているにもかかわらず、
これに従うことを余儀なくされました。

【中国におけるゼロ Covid 政策の影響】

中国では、「Zero-Covid」政策が国内の回復を妨げ、
世界的な苦境に拍車をかけました。

3 月に北京は5.5% の成長目標を発表しましたが、
OECD は現在、中国が約3.3% に達すると述べています。
産業と小売の消費は予測を下回りました。

頻繁なロックダウンは、消費とすでに弱い不動産セクターに打撃を与えています。

不動産価格は一年中下落し、10 月には急落し、
2020 年初め以来最大の下落となりました。

この 12 月の抗議と対応は、
ゼロ Covid 政策からの転換の兆候を示しました。
それでも、中国とその経済が今年の減速から回復するまでには
長い道のりがあります。

【新興国におけるインフレの影響】

新興市場では、インフレと金利の上昇により、
国内通貨に対して米ドルが上昇し、資本逃避と対外債務のコストが増加しました。

新興市場の中央銀行は、自国通貨を守るために他の市場より
先に金利を引き上げましたが、
これにより国内債務のコストも上昇しました。

インフレ、債務、経済成長に苦しんでいた新興市場の人々は、
一年中危機を恐れていました。


(引用ここまで)

2023年の展望

すでに他のシンクタンクや金融機関が述べているように
現段階においては2023年は、
景気後退の局面となる可能性が高いと考えられます。

上記のレポートからは、一部の国が経済的に課題があるというのではなく、
世界全体として、経済の動きが鈍化しており、
たとえば、以前のように中国が世界経済を牽引するといったことには
ならないということです。

インフレについては、日本は欧米と比べると
影響が「まだ」穏やかな状況です。

それは、原材料費やエネルギー価格の高騰を
企業が負担しており、価格転嫁をゆるやかに段階的に
行わざるをえない側面があるためです。

世界的な景気悪化と、今後も続く日本での製品値上げ
直近の株価や各種指標からは、米国でインフレが最悪期を過ぎたと 考えられる一方で、高止まりが続いており、 景気悪化の時期に入ったことが明確となってきました。 そうした12月7日~14日の状況を整理しました。 ダウ平均と日経平均 ダウ平均 12...

企業物価指数と消費者物価指数の開きは、
いずれ価格への転嫁という形で縮まります。

2023年2月、3月段階で値上げが予定されている製品も
すでに多くありますが、これ以後も、
値上げの発表が続いていくこととなると推測しています。

状況の改善の見込みが現段階では立ちづらいため、
もし、今買い替えや購入を検討しているものがあれば、
早めに対応するほうが良さそうです。

下記は値段推移のご参考としていただければ幸いです。

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