「エネルギーショック」の現状と今後

未来予測

現在、グローバルで下記3つの問題が起きています。

相互に影響する形でからみあっており、
日本にも今後、大きな影響が出てくる可能性が高いと考えています。

①エネルギー価格の上昇
②素材、部品の生産体制が大幅に落ちている
③サプライチェーンの混乱

それぞれについて詳しく見ていきます。

①エネルギー価格の上昇

こちらの要因は複数あるのですが、
最も大きなものとしては、

パンデミックによる景気後退のよる需要減
→減産
→急速な需要回復
→生産者は増産対応が急にはできず
→供給が追いつかないあるいは、
 需要の引き締まりを警戒して増産しない
 ため価格上昇

という流れがあります。

石油については、10月4日に
OPECプラスが追加増産を見送り価格が急上昇しました。

石炭は、中国、米国、欧州各国など世界各国が
資源確保競争に発展しているため、価格があがっています。

天然ガスについても複数要因がありますが、
契約量以上を生産することが生産側にとって合理的ではないことや
天然ガスの地下貯蔵比率の低下、
欧州とロシアの政治要因、などがあり上昇しています。

②素材、部品の生産体制が大幅に落ちている

需要が伸びている一方で、
グローバルでの生産体制は、
コロナ禍による、ロックダウンに伴う
工場閉鎖、人手不足により、生産体制が機能していません。

たとえば、すでに半導体をはじめとする部品に
影響が出ています。

こちらは生産回復の目処は立っていません。

ここでもう一つの問題として、素材を組み立てて製品を作る側は、
在庫の積み増しを行っており、
その分も含めたオーダーを製造側に求めます。

しかし、仮に生産体制が戻ったとしても、
その生産機能以上の生産量は難しく、
また、対応できたとしても、在庫積み増しからの
オーダー減を恐れ、容易に増産の対応はしないと考えられます。

そのため、この問題は、長く尾を引きそうです。

③サプライチェーンの混乱

グローバルで荷物を運ぶ際に90%以上が
「船便」となります。

ところが、船便の便数も減っていることと、
港湾がコロナ禍によって閉鎖されており、
船が港に到着しても、荷物を下ろせない状況となっています。

また、輸送用コンテナが一部の国に偏っていることなどから、
空荷のコンテナの移動の必要がでてきており、
輸送コストの増大につながっています。

「海が駄目なら空で」と考え、
空輸便を試みる企業も増えていますが、
こちらも本数が減っています。

以前であれば、到着時間の指定ができたものが、
「積載量の上限に達しなければ運ぶ」といった
かなりあいまいな条件を提示されるようになってる状況。

さらに、イギリスなどの一部の国では、
海外から届いた荷物を、必要とする場所に届けるための
トラック輸送が停滞しています。

こちらは人手不足の問題が大きく影響しています。

今後起こることの推測

エネルギー価格が上昇と
製品が必要なところに届かない傾向が見られ、
これが続くと、
グローバルでのインフレとなる可能性が高いと考えています。

アメリカではインフレ懸念が、すでに本格化しています。

FRBは、2ヶ月ほど前は「短期的なもの」としていたのが、
このところ「もう少し影響は長く続く」と見方を変えています。

インフレ傾向は、もの、エネルギーの不足が要因とすると、
金融政策で対応できなくなり、一気に進む可能性があります。

日本でも、今後、海外製品の供給不足の本格化と、
電気およびガスの値上がりが急に起こるかもしれません。

インフレが起こるとどうなるかを直感的に理解する
このところ、日本においても 様々な製品、サービスが値上がりしています。 上記の記事では2021年10月から 植物油、砂糖、小麦粉 (他の記事では、加工油≒マーガリン、ラード、大豆、 そば、コーヒー、大豆、酒類、缶詰が指摘されています)が、 ...
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