ステージゲート法の進め方(2):運用上の2つの課題をクリアするポイント

外に開かれたドア研究開発

前回は下記の記事でステージゲート法の基本についてお伝えしました。
(まだご覧になっておられない方は、是非ご参考ください)

ステージゲート法の進め方(1):新規事業創出を成功させるポイント
現在、多くの企業で、 新規事業創出のために「ステージゲート法」が導入されています。 「ステージゲート法」はある一定以上の規模の企業で、特に研究開発の場面で、 新規事業をマネジメントする手法としては、非常に有効で、 成果につなげている...

今回は「パート2」として、
実際に運用するなかで課題となりやすい2つの点について
その解決方法を解説します。

「ステージゲート法」を運用するなかでの2つの課題

「ステージゲート法」を実際に運用していくと、
うまく新規事業に結びつかないというケースがたびたび出てきます。

その際の課題を大別すると以下の2つに分けられます。

(1)そもそもアイデア、テーマが少ない。
(2)ゲートの通過判断が、個人によって左右されてしまう。

この2つの課題については、次の章から具体的な解決策を考えていきます。

「そもそもアイデア、テーマが少ない」という課題

ステージゲート法は、豊富なテーマから選択していく手法です。
しかし、最初の『豊富な』アイデアが出てこないというケースがあります。

もととなるタネの数が少ないと、本来ゲート通過できないようなものまで、
通してしまうことが起こり……。本末転倒となるという問題も生じることがあります。

これに対しては、「テーマを提案することが自分の仕事である」
と関係者の方、一人ひとりに理解してもらうことが鍵となります。

解決につながる具体的な方策として、
「テーマ提案を個々の業績評価項目に入れる」ことが挙げられます。

そして、CTOなどの技術系の責任者が
「テーマ提案することが重要であること」を機会を捉えて繰り返し説明し、

メンバーのお一人おひとりの仕事として、
テーマを提案する責任があることを理解してもらうことが重要です。

また、テーマ提案を行っただけでも、
(事業に結実することにつながらないとしても)
プラスの評価をすることがポイントとなります

ゲート判定でストップ(却下)となった場合において、
担当者にマイナス評価を行うことは避けることも重要です。

提案をしたほうがメリットがある(提案したほうがお得だ)と
感じてもらえるような仕組みにしていくことが大切です。

併せて、テーマ提案を促すために、
時間や費用についても、会社として認めることも大きなポイントとなります。

これらの施策を継続的に行うことによって、
「提案をすることが大切なのだ」という企業風土作りにつながります。

企業風土を醸成していくためには、どうしても時間がかかりますが、
ステージゲートの成功と、その先にある新規事業創出につながっていきますので、
上記のポイントを進めていくことが大切になります。

「ゲートの通過判断が、個人によって左右されてしまう」という課題

2つ目の課題として、同じテーマ提案であっても、
ゲート判定を行う人が異なると結果に差異が出てしまうというものがあります。
ゲート判定をする人がAさんでは通るけれども、Bさんでは通らないといった問題です。

ここでは特に通過しなかった場合の判断がどの根拠によるものか、
また通過するためにはどこを改善すれば良いのかについて、
公表していくことがポイントとなります。

公表していくことによって、判断の基準についての
共有知化が進められていきます。

ゲート判定を行う目的は、

・「市場がどういったものか」
・「競合はどう対応しているか」
・「価格についてどう捉えれば良いか」

など、一人の担当者(たとえば提案者)の視点だけではカバーできない点について、
検討をすることにあります。

仮に、そうした視点なしに、テーマが進んでしまった場合、
ある段階で失敗する形となるため、事前に失敗を防ぐ仕組みでもあります。

様々な視点での検討を行うことで、結果的な成功確率を高める手法が
ステージゲート法の特徴ですので、その点を踏まえて、
特にゲートが通過できなかったテーマについては、
通過できなかった部分がどの判断基準によるものか、
どの点を改善すればゲートが通過できるかを明確する必要があります。

テーマをスタートした段階では、不確定な要素が多いわけですが
それでもテーマとして提案をしてもらい、
挑戦を促すということが根底にあることもポイントです。

そのため、ゲートの通過を阻止することを目的とするのではなく、
テーマのどの点をクリアすれば、次に進めるのかを明確にして、
進めてもらう、後押しするにはどうすれば良いかという意識を
ゲート判定者の方に持ってもらうことが重要です。

ところで、視点を変えると
ゲート判定者の負担は大きいものがあります。

継続、中止の判断を行うという責任もかかってきますし、
場合によっては、提案者から非難を受ける場合もあるからです。

そこで、「ステージゲート法」の全体を取り仕切る事務局を判定者とは別に設定し、
ゲート判定者を補佐する役目を担ってもらうことが必要となります。

ゲート審査段階では、事務局が「複眼」を意識して、
復数のメンバーに議論に加わってもらいます。

たとえば、最初のステージ段階から、
研究開発、生産技術、調達、マーケティング、営業といった各部署の方が参加して、
各部署の立場でコメントしてもらいます。

ゲート判定者が最終の決定権はもつものの、
ゲートは「検討の場」、あるいは「議論の場」として、
参加者に認識してもらうことが重要です。

まとめ

「ステージゲート法」を運用するにあたって
多く見られる2つの課題について考えてみました。

この2つの課題に直面する場合の多くが、
「ステージゲート法」を「仕組み」として捉えていることが多いようです。

もちろん仕組みなのですが、
背景には「新しいことに取り組むことは良いことだ」
と多くの方が認識する企業風土が大きなポイントとあんります。

「ステージゲート法」は
新規事業、イノベーションにつながる有力な手法ですので、
うまく活用していきたいものです。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

追記

ステージゲートに付随して、
「ロードマップ」の策定については以下の関連記事で解説しています。
是非、ご参考にされてみてください。

ロードマップの基本と2つの活用ポイント
多くの企業で、全社方針やプロジェクトの策定、 新規事業やイノベーションを起こす際に、 ロードマップが活用されているのではないでしょうか。 ロードマップは策定することで、 現在の自社が置かれている状況、環境をどのように理解すれば良いか...

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