アマゾンの家庭用ロボット「Astro」は、顧客との共創による用途探索につながっている

スキャニング・スキャニングマテリアル

アマゾンが家庭用ロボットを発売しました。

Alexaが搭載された動く機械となりますが、
Amazon側は、具体的に何に使うかについては、
あえて指定していないようです。

プロダクトのリリースの仕方も、
今後のロボットの可能性やAIについて、
理解が深いアマゾンならではの対応と思いました。

リリース部分については、業種が異なっても、
今後の世の中の動きのなかで参考にしたいものが多くあります。

自社の製品について、顧客との関係性を構築しながら
完成させていく手法は今後注目されるかと思います。

アマゾンの家庭用ロボット「Astro」に見るAIの進歩と、 その先にある世界

2021.10.05 TUE 09:30「WIRED」より

アマゾンの家庭用ロボット「Astro」に見るAIの進歩と、その先にある世界
アマゾンが発表した家庭用ロボット「Astro」。見た目は愛らしいが現時点では用途が見えないこのロボットについて、確実なことがある。これはアマゾンのAI分野における大きな進歩を象徴すると同時に、人間のようにふるまうロボットが「Alexa」を中核とするAIシステムの“歯車”として機能する世界への布石なのだ──。『WIRED...

(下記記事要約)

アマゾンが発表した家庭用ロボット「Astro」。

見た目は愛らしいが現時点では用途が見えない
このロボットについて、確実なことがある。

これはアマゾンのAI分野における
大きな進歩を象徴すると同時に、
人間のようにふるまうロボットが「Alexa」
を中核とするAIシステムの“歯車”として機能する世界への布石なのだ

アマゾンのAstroはヴィデオ会議システムと
掃除ロボット「ルンバ」を混ぜ合わせたような製品だが、
Zoomを使うことはできないし、床の掃除もしない。

ショッピングモールにいる警官のミニ版のような感じで、
家中をうろつき回ることはできる。

ちなみにAstroの価格は、1,449.99ドル(約16万5,000円)だ。

(中略)

最終的なゴールではない

 

極端なことを言えば、いまのスタイルのAstroが
一般的な家電製品のようになるとは、まったく思わない。

おそらくアマゾンも同じ考えでいるのだろう。

だからこそ、Astroのテストに自発的に協力してくれる
家庭にAstroを配置することで、
そのエコシステムを拡大する方法を模索しているのだ。

なにしろ、初期購入なら価格は999.99ドル(約11万円)である。

この点は、アマゾンでハードウェア部門を率いる
デヴィッド・リンプが、『WIRED』US版の記事で認めている。

「このロボットならではの用途」をユーザー自身が
“発掘”するだろうとリンプは語っているのだ。
「アマゾンには学びを繰り返すだけの十分な資金力があります」
と、ブルックスは言う。

「そして実際に学習し、反復しているのです」
したがって、
今回のAstroが最終的なゴールであるとは考えないほうがいい。

いつの日か、人間のようにふるまうロボットが
家庭内にやってくる。

そして、おそらく警備のような仕事というよりも、
ベビーシッターや高齢者の介護などを担うようになるだろう。

(中略)

手綱を握るアマゾン

その機能が何であれ、人間の新しい友人となるアンドロイドが、
確実に音声アシスタント「Alexa」のシステムに
接続されるようになることなのだ。

ハグはできても魂がないこれらの未来の”生物”は、
AstroのDNAを受け継ぐことになる。

ジェフ・ベゾスの巨大なAIネットワークにおいて、
文字通り「歯車」になると考えればいいだろう。

いまのところAstroは、ペットのような存在になるだけでなく、
スポーツの試合結果を伝えたり、物語を読んだり、
祖母に連絡をとったりと、
現時点でAlexaが担っている何千種類ものタスクを
こなそうとしている。

そしてアマゾンが9月24日に発表した家庭用
ドアベルやカメラを内蔵した機器、
家庭用の警備ドローンといったデヴァイスと
文字通りタッグを組んで、
そうしたタスクを実行することになるのだ。

四足歩行ではなく、車輪走行かもしれない。

それでもAstroは介助犬のような存在である。

そして手綱を握っているのはアマゾンなのだ。

注目した点

記事の中では、
「このロボットならではの用途」をユーザー自身が
“発掘”するだろうとリンプは語っているのだ。
とあり、非常に興味深いコメントと思いました。

世の中に製品をリリースする場合、
機能や「この製品を買ってメリットになること」を
宣伝しながら売り出すことが、これまでの動きでした。

顧客が新しい使い方を発見し、
それがメーカーの想定を凌駕することもありますが、
ごくまれなケースだと考えています。

余談ですが、下記の「10分どん兵衛」はそうした
パターンかもしれません。

お詫びにまで発展!10分どん兵衛の作り方&ほかの麺での検証報告も - macaroni
日清食品がお詫びする事態にまで発展した「10分どん兵衛」についてご紹介します。5分で食べるときよりも麺がモチモチ、お揚げはジューシーで、カップ麺の常識を超えた「10分どん兵衛」。ほかの麺でやった人の感想もまとめたので、参考にしてくださいね♪

(日清食品が想定したお湯を入れて5分で食べるときよりも
 10分置いたほうが、麺がモチモチ、お揚げはジューシーとのこと)

ユーザーが使い方を発掘するという売り方は、
顧客と、製造過程を共有する「プロセスエコノミー」の
の応用とも考えられ、
今後の新製品、新事業展開において、
重要な鍵を握るかもしれないと考えています。

中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)は、
開発プロセスをファンと共有し、発売前から予約につなげ、
製品開発段階から潜在顧客開発を進めています。

リリース前から、顧客との関係性を構築する
あるいは、用途や楽しみ方を、顧客とともに考えていく対応について、
自社であればどういった展開となるのか
考えてみるのも良いかと思いました。

未来洞察の手法としての「スキャニング」の基本(1)
多くの企業では、将来的な変化を推測したり、 確からしい事実に基づいて、 自社の戦略や、新規事業のテーマ策定を行っています。 こうした将来的な変化の予測については、 メディアや専門家が「こうなるであろう」と 解説したものを活用することも多いか...
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