コロナの問題と経営課題:経済環境が激変した際に行うべきこと

子供が老人を引っ張り上げる 事業戦略

コロナウイルスの問題で世の中は大きく揺れ動いており、
企業経営に対しても、大きなインパクトが生じています。

これまで、リーマンショックや、311の震災など
企業経営に大きな影響を与えるできごとが起こってきました。

そうした折に、企業が行った対応で、
「長期的に見て結果的に」その後の良い影響をもたらしたもの
について思い起こしてみました。

過去の経済危機での対応が現在の危機対応でご参考いただけるかもしれません。

具体的に経営環境が悪化した状況において、自社の状況を整えること以外に
行うべきことととして、以下の2つが挙げられます。
(1)教育やネットワークの構築
(2)自社でできることで、社会や他企業を手助けする

次の章から詳しく見ていきましょう。

リーマンショックでの経験から:教育、ネットワークの構築

2007年~2008年に影響があったリーマンション。

私自身は、この頃に新規事業の担当者の方を対象とした
有料の勉強会を開催していました。

それまで約30社の方が、複数年継続して参加をされていましたが、
リーマンショックをきっかけに、翌年の継続参加が10社を割るという状況となります。

勉強会を継続して開催するかどうかの判断を問われましたが、
私自身もこの勉強会に思い入れがあり、
参加企業が少なくても継続する判断を行いました。

しかし、ふたを開けてみると、
継続参加企業こそ少なかったものの、
新たに勉強会への参加を申し込む企業が多数あり、
前年並みの参加企業するで開催することができました。

また、この年の勉強会は非常に盛り上がり、多くな成果につながりました。
同時に、参加者同士のネットワークがこれまでにないくらい強固なものとなったのです。

さて、ここで着目したいのは、企業の「教育予算」についてです。

一般的に、教育予算というものは、市場の景気と連動しやすく、
業績が落ち込むと一番先にカットを検討する費用です。
こうしたことから、継続参加をする企業の数が減少するのは当然と思われました。

一方でリーマンショックという景気の悪化の段階でも、
逆に新たに勉強会に申し込む企業も数多くありました。

今から考えますと、
こうした景気悪化の状況の時に
社外も含めた外部からの新しい知見の獲得や
それに伴うネットワーク構築を行うことは、
平時で行うよりも圧倒的に効果があったと捉えています。

経営環境が良くない状況では、
企業が対応しなくてはいけない課題が明確に見えています。
そうした課題意識をもって、勉強や知見獲得を行うと高い効果につながることは
ご想像いただけると思います。

また、経営環境が悪いなかで勉強会に参加しますと、
参加者同士での仲間意識が強く生まれます。
これは、ストレスが高い環境下におかれると、通常のストレス環境下よりも
コミュニケーションの壁が下がり、仲間意識の醸成につながるためです。

現在、コロナの問題があり、外部の勉強会には参加することは難しいと思いますが、
外部のオンラインセミナーの受講を推進するのも良いかと考えます。

教育予算の削減で、セミナー受講が難しいということであれば、
ZOOMやSkype、ハングアウトといったビデオ会議システムを活用して、
社内あるいは、できれば社外の方と、オンラインでの雑談会合などを行うことを行ってみてはいかがでしょうか。

これまで関心があったけれども、
あまり接点がなかった企業に、これを機会にアプローチしてみるのも
良いかと思います。

そうしたことが新しい知見や強固なネットワーク構築につながると考えています。

311の震災での経験から: 自社でできることで社会や他企業を助ける

子供が老人を引っ張り上げる

2011年の震災では、経済だけではなく、
人的な被害も大きく、日本中が大きな不安につつまれました。

この時は、東北方面に工場があった企業では
事業継続の観点からも大きな問題となりました。

この大震災への対応は、ひとつの企業だけでは対応に限界があり、
被災した企業を、比較的無事であった企業が助けるということが
頻繁に起きていました。

阪神淡路大震災で被災の経験、知見がある企業が、
その経験、知見をもとに対応の手助けを行う事例も多数見られました。

物資や人材の現地への派遣だけではなく、
CSRや広報、税務対応といったバックオフィスの知見共有も行われていました。

今から考えますと、こうした手助けを行ったことが
その後、強固なネットワークにつながっています。

ある企業では、状況が落ち着いた段階で、
研究所同士の交流が盛んにおこなわれるようになり、
オープンイノベーションのような動きにつながりました。

また、被害の大きかった特定の地域では、企業連合が出来上がり、
合同の新入社員研修を行うなど、特に社員教育の面での合理化につながったということでした。

ここからも分かるように、危機的な状況においては
自社ができることを、社会や他の企業に対して行うことが、
後々の大きな財産につながります。

今回のコロナの問題で考えれば、
たとえば、自社がテレワークの先進企業で導入経験があるとしたら、
そうした知見を他企業と共有するといったことを行ってみるのも良いかもしれません。

まとめ

経営環境が悪化した状況において行うべきことととして、
以下の2つをご紹介しました。

(1)教育やネットワークの構築
(2)自社でできることで、社会や他企業を手助けする

もし企業として内部留保が著しいようであれば、
関係の下請け企業を対象としたファンドの創出も考えられます。

こうしたことは、もちろん自社の経営の対応をしたうえで
プラスアルファとなることですが、
意識して行ってみることで、その後予想外の結果につながるかと思います。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

補足

コロナウイルスの問題で、企業が新規事業として取り組むことについての
考えを述べています。ご参考いただければ幸いです。

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