ピボット戦略を活用する:先の見えない時代に有効な「市場を探る」戦略

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新規事業開発やイノベーション創出を行う際に、
ご担当者の方は、
「成功するかの確証がない」「先が見えない」なかで
試行錯誤をしなくてはいけない場面が必ず出てきます。

現在はVUCAの時代ですので、何が成功するのか誰もわかりません。

そのため、まず一歩だけ進めて、PDCAを回しつつ、
顧客の反応や市場状況を探りながら、進める手法が有効となります。

そうした際に参考になる戦略がまず一歩を踏み出す「ピボット戦略」です。

「ピボット戦略」とは

「ピボット戦略」の「ピボット」とは「旋回軸」を指します。

バスケットボールでは、ボールを持ちながら片足を軸にして、
次に進む方向を探す動きをします。
バスケットボールの選手がその場で、ドリブルしながら、
回旋する動きをイメージしてください。

進むべき道を次々に踏み出すのではなく、
軸足(既存事業やコア技術)を大切にしながら、
もう片方の足で、方向性を探るのです。

進出した方向や進め方を失敗したとしても
軸足がしっかりしていますから、痛手は最小で留めることができます。

また、一歩進んだことで、見えてくる景色が変わることがあります。

進もうと思っていた道とは違う方向に
勝ち筋が見えてくることもあるかと思います。
その場合はそちらに進むという選択肢をとることができます。

ただし、その場合にも、当初行こうと考えていた方向性がどうして駄目であったのか、
また、次の方向が真に勝ち筋となるのかを
冷静に論理的に考えることが必要になります。

ピボット戦略は単純な方針転換ではない

現在、「ピボット戦略」は
企業活動の「方向転換」という意味で捉えられることが多くなってきました。

たとえば「Facebook」は、当初、大学生をターゲットとしていました。

アメリカの大学の多くに普及した段階で、
企業を対象にアカウントを開放するというピボットを行いました。

その結果、今に至る巨大なソーシャルネットサービスに
方向転換ができたのです。

結果だけを見ると、上記のような説明になりますが、
「企業を対象にアカウントを開放する」という結論に至るまでに、
Facebookは企業としての試行錯誤があったと捉えています。

「人と人をつなげる」というコアの部分を「軸足」としながら、
進むべき領域を探っていたフェイズがあったと理解できます。

このように進出先の市場ニーズと
自社戦略やコアの部分が合致しているかの確認のために、
「ピボット戦略」を活用することは、
これから新規事業を進めるうえではポイントとなります。

新規事業やイノベーションの局面では、
次に進むべき道はまだ誰にも見えていません。
しかし、一歩を踏み出さなければ、道は見えてこないことも多いのではないでしょうか。

「朝令暮改」はこれまで悪い意味で使われてきましたが、
先の見通しがつかない時代には、良い意味で受け止められるかもしれません。

まとめ

安易な「ピボット戦略」は、企業にダメージを与えると説明する方もいます。
しかしそれは、「ピボット戦略」を単なる企業方針の転換と捉えた場合です。

軸足の意識をしっかりと持ちながら、一歩新しい方向に進むことで、
その方向を確かめて、勝ち筋の確認を行うというのが「ピボット戦略」の本質となります。

ピボット戦略をうまく活用し、仮に選択した方向が失敗だったとしても、
軸足があるわけですから、失敗を「行動で行う検証」と捉え、
もう一度新しい道筋を探し、正解と思われる方向を試行錯誤しながら、
見つけ出していくことが重要です。

現代はVUCAの時代で、先の不確実性が高く、何をすればよいかというのが、
どうしても見えにくくなっています。

この時代の取り組みとして、ピボット戦略をうまく活用していきたいものです。

最期までお読みいただきましてありがとうございました。

参考となる書籍

ピポッド戦略については、下記の書籍が事例も豊富で参考になります。
「ピボット・ストラテジー―未来をつくる経営軸の定め方、動かし方」

既存事業についても大きく転換するのではなく、
新しい分野を並行的に進めていくということの重要性が理解できる一冊です。

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