イノベーション視点で他部署の業務、他業界を知ることのメリット

イノベーション

先日の記事では、大きな変化の時代に対応するためには、
全社一丸となってスピード感のある対応が求められ、
そのためにも、ボトムアップで
横串を通せる人材が必要であることを述べました。

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横串を通せる人材は
複数の部署に顔が広く、業務内容についてもある程度
知っているということが重要な能力的ポイントとなります。

スムーズな協力体制を構築するために、部署ごとの特性を
十分に理解しておく必要があるからです。

今後は他の部署の業務、特性を理解することが
個々のビジネスパーソンにますます求められると説明しました。

今回の視点は、
イノベーションや新規事業のご担当の方が、
積極的に他の部署の業務の理解を深めることで
新しい組み合わせが創出できる可能性が高くなるという点です。

また、業界ごとの壁が下がってきており、
飛び地の事業展開が今後増える可能性についても述べます。

次の章から詳しく見ていきましょう。

イノベーションの本質は、新しい組み合わせを見つけること

このブログでは、何度か述べていますが、イノベーションは「新結合」を意味します。

イノベーションとは:イノベーションは「技術革新」ではなく「新結合」
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技術だけに限らず、新しい価値を生み出す新しい組み合わせを
見つけ出すことがイノベーションの本質となります。

組み合わせのもととなる、知見や知識についても
多いほうが有利に働く場合が多いと感じています。
イノベーションや新規事業をご担当される方は
意識的に、様々な知識を吸収することをされていると思います。

そうした知識について、書籍や外部からの情報も重要ですが、
自社内の、他の部署の知識、経験、課題などについて日頃から興味を持って、
見たり聞いたりしておく取り組みも非常に役立つと考えています。

他部署の知見や、あるいは悩みごとから、
その解決策を社外に広げたところビジネスとして展開したり、
当初の想定とは異なるが大きな成果につながった事例があります。

1)ハードウェアの売り切りから、サービスモデルへの転換事例

ある企業では、自社の設備管理部門の課題として、
他の企業から購入した設備機械のメンテナンスについて課題がありました。

トラブルが頻繁に起こり、そのたびに他社の技術者を呼んでいるが、
時間もかかるため、どうにかできないかというものでした。

相手企業と保守契約を結びメンテナンスを行っていたので、
月々のメンテナンスコストも負担となっていました。

ある時に、新規事業の担当者の方が、この課題に着目しました。

自社としてもこれまでハードウェアの売り切りのビジネスを展開していたが、
使う側にとって本当に必要なものはハードウェアそのものではなく、
提供する機能であるのではないかと考えたのです。

ここからの発想により、自社のハードウェアを
顧客に買い取ってもらうのではなく、
機械を貸与することで、メンテナンスも含めて面倒を見て、
サービス提供することを試みました。

これが大成功したのです。

サービスモデルは今でこそ、一般的になっていますが、
この企業は、かなり早い段階で、サービスモデルへの転換を実現しました。
同業他社に一歩先んじることができたのです。

そして、同社の業績を一気に伸ばすことにつながりました。
他の部署の悩みをヒントに、自社事業に解決策を取り入れて事業化した例です。

2)技術動画の公開による採用者増加の事例

あるb2b企業の新規事業担当者の方は
自社技術を30秒ほどの
動画でまとめることを行うようになりました。

きっかけは、研究開発部門出身の営業職担当者が、
顧客へのPRについて、初期説明がスムーズにできない
という悩みを聞いて、何かできないかということからでした。

そして、技術PR動画を作り営業担当の方にデータをおわたしし、
営業の際にタブレットで顧客にまず動画を見てもらう試みを行ってもらいました。

すると、顧客は技術について、短時間で、基本的な概念を理解することができ、
営業担当者が、もう一段詳細の説明を行ってもスムーズに
理解してもらえるようになりました。
元研究開発という知見を生かした専門的な説明がプラスに働くようになったのです。

この取り組みが好評であったことから、自社のHPで
一部の動画を公開することにしました。

そうしたところ、これまで想定していたセグメントとは異なる
顧客や研究者からの問い合わせが増えるようになりました。

同時に、b2b企業では悩ましい課題の一つである
新卒採用にも大きくプラスに働き、動画を見て関心を持った
理系の学生のエントリーが著しく増加するという価値も生み出しました。

このように、他の部署の知識や、悩みなどがヒントとなり、
新しい展開のきっかけとなることも多々あります。

意識して他部署の状況に関心を持つことは
イノベーションの観点から大切になると考えています。

業界の壁も下がってきている

話は飛躍しますが、かつては明確にあった「業界の壁」
というものが、下がってきている事実があります。

たとえば、今回のコロナウイルスの影響で、
アメリカやイギリスで、人工呼吸器が一時不足したことがありました。

そうした状況下において、
掃除機で知られる家電メーカーのダイソンは
わずか10日間で、人工呼吸器「CoVent」を開発完成させました。
しかも、迅速に大量生産ができるという特徴もありました。

(電気自動車のテスラも同じように人工呼吸器の開発生産を成功させています)

もちろんダイソンには、医療系の機械を開発設計した経験はありません。
医療系機械のメーカーではない(異業種の)ダイソンが、
一瞬で医療系機器業界に参入したということになります。

このような動きを可能にしている背景には、
ダイソンやテスラが上位の基盤となるテクノロジーの最新状況を
しっかりと自社に取り入れている面があると考えています。

上位の基盤となるテクノロジーは速いスピードで進化しています。
なおかつ、近年の上位の基盤技術は汎用性が高くなっており、
それらを展開していくことで、自分の業界以外に事業を進めることが
かつてと比べて格段に容易になっていると捉えています。

業界の壁がぐっと低くなってきているというのが個人的な印象です。

逆に言ってしまうと、上位の基盤となるテクノロジーの
最新状況を十分に理解していなければ、こうした対応ができないばかりか、
異業種が参入し、一段上の価値ある商品やサービスを提供された場合、
一気に足元をすくわれる状況が起こりかねないということです。

飛び地への事業展開という「攻め」の対応にしろ、
異業種からの参入を警戒する「守り」の対応にしろ、
上位の基盤技術については、注意する必要がでてきています。

自分の業界とは一見関係がない新しいテクノロジーについても
意識して幅広く見ておかなくてはいけないということです。

ただ、自社とは一見関係ない技術を見て、自社対応を準備することは
とても難しい対応でもあります。

飛び地となる技術の何がどう自社に影響を
与えてくるかを予測することはどうしても難しい課題です。

そこで、遠回りなようですがお勧めしたいのが、
異業種や他業界の方と「最近注目している技術」について
定期的な意見交換を行うということです。

業界が異なると同じ技術でも見方が全く異なる場合があり、
そうした切り口も、イノベーションのヒントとなります。

異業種、他業界の方との交流については
機会があれば、積極的に活用していく必要があります。

まとめ

今回は、ご自身が所属している部署以外の知識や経験、悩み
あるいは、自社とは一見関係のないテクノロジーについても
見ておくことの大切さをお伝えしました。

このようにして得られた知識や経験、悩み、技術進展を
自社の強みやご自身の専門性と組み合わせることができると
これまでにない新しい価値の創出につながります。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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