業界、業種を問わずイノベーションを志向することは
企業の利益率を向上させ、安定した事業継続を実現するためにも重要です。
利益率の観点において、
東証一部上場1800社余りの利益率の平均で見ると「5パーセント」となります。
一方で、欧米企業では一般的な企業が10パーセントを実現しています。
この背景には、イノベーションを志向することにより、
グローバルでのコモディティ化の状況から頭一つ抜け出し、
価格競争に巻き込まれないことを実現しているということがあります。
利益率を高くするためには、2つの方策があります。
(2)高い価格で販売する。
日本企業はこれまで「(1)製造コストを低くする。」ことで、
競争に勝ち残ってきた成功体験がありました。
しかし、「(2)高い価格で販売する。」戦略は今後その重要さをますます強めていきます。
今回は、この(1)と(2)の視点からイノベーションの大切さを考えていきます。
「(1)製造工ストを低くする」の限界
「(1)製造工ストを低くする」については、
戦後の高度成長期時代に日本が得意としてきた戦略です。
日々現場でコストダウンの取り組みが行われ、高品質、低価格の商品は世界を席巻しました。
しかし、1990年代に入るとグローバル化の影響で、
アジア各国が低い人件費を背景とした製品づくりを行います。
アジア各国の低い人件費に対抗することは現実的には難しいため、
コストダウン戦略では優位性を確保できなくなりました。
製品のコモディティ化によって、利益率は低くなり、
利益率が低下してしまう状況が続いています。
この戦略による成功体験が、現在も強く染み付いており、
経営判断に今だに大きな影響を与えています。
「(2)高い価格で販売する」こととイノベーションの重要性
「(1)製造工ストを低くする」が難しいとなると、
高い利益率を実現するためには、
「(2)高い価格で販売する」ことを行わなくてはいけません。
そのためには、安くすることよりも、価値を高めることを意識する必要があります。
高い価格で販売するためには、
他の製品にはない価値を提供する必要があります。
そのためにイノベーションを創出することが必要となります。
イノベーションの創出によって、製品、サービスのコモディティ化から、
一歩抜け出せると、そこには、コストダウン戦略によって、
浮いたコストを、利益に転化できるようになり、その利益をさらに
イノベーションにつなげるという好循環を生み出すことができるようになります。
イノベーションは新結合を意味し、新しい組み合わせによる、
価値創出を行う取り組みです。
しかし、新しい組み合わせというのは、意識的の行わなければ、
なかなか見えてこない部分があるため、
日々の業務から偶然、イノベーションが創出されることはマレであるため、
「イノベーションを創出するのだ!」と意識をして進めることが必要です。
まとめ
「高い利益率」を実現するためには、コストダウン戦略は限界を迎えており、
「高い価格で販売する」ことが必要となり
そのためにはイノベーションが必要となります。
利益率の低下は競争優位性の低下と読み替えることができます。
利益率が低くなると、企業の存続にも大きな影響を与えます。
企業の存続という観点からも
イノベーションを創出することは重要で、その第一歩として、
イノベーション創出を意識していくことが大切になるかと考えます。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
補足
コストとプライスの違いを意識することも大切だと考えています。
下記の記事をご参考いただけますと幸いです。
下記の記事では、イノベーションを志向することの大切さについて、
別の切り口で解説しています。
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