製品のコモディティ化に対抗し、高い利益率を維持するためのイノベーション

太陽光パネルの隙間から咲く花 イノベーション

現在、アジア各国の技術的発展に伴い、
日本企業がある段階までグローバルで優位性を保っていた製品や技術について、
短期的にキャッチアップされて、コモディティ化してしまい
世界でのシェアが一気に低下してしまうという状況が起きています。

この状況に対応するためには、イノベーションの創出によって、
これまでにはない新しい価値を生み出していくことが必要となります。

イノベーションによる新しい価値創出ができないと
コモディティ化の波に飲み込まれてしまい企業そのものの存続が危ぶまれるリスクが生じます。

今回は、コモディティ化によって日本の優位性が低下した事例を見ながら、
イノベーションを起こしていくことの重要性について解説します。

太陽光パネルに見るイノベーションの必要性

日本企業が、コモディティ化の波に飲み込まれた事例として
太陽光パネルの業界で起きたことを振り返ってみます。

2007年段階で、太陽光パネルの世界出荷量シェアは、

「シャープ12パーセント、京セラ7パーセント、三洋電機5パーセント」で、

3社を合わせるとグローバルシェア24パーセントを誇っていました。

(続くドイツは11パーセントという数字でした)

2007年頃は、日本が太陽光パネル業界を牽引していたのです。

こうした優位性がありながら、
10年後の2017年には、ランキング上位を中国のメーカーが占め、
日本企業はランキングから外れるといった状況となってしまいました。

背景にあるのは冒頭で触れた製品のコモディティ化です。

中国の企業が、技術的にキャッチアップし、
機能性に遜色のない製品を
低価格で提供しはじめたため、価格競争が激化しました。

その結果、日本企業の太陽光パネルの
世界出荷量シェアはランキング外となったわけです。

ここで重要なポイントとなるのが、
かつて日本企業が得意としていた「コストリーダーシップ」戦略は、
グローバル化の影響により、強い競争優位性を保てる戦略ではなくなったという点です

「コストリーダーシップ」の戦略が
通用しないと言われるようになって久しいのですが、
それでも今だに事業展開の根底には根強く影響を与え続けています。

高度成長期の成功体験が強烈であったため、
方針転換がうまくできないという指摘もされています。

これに対抗するためには「コストリーダーシップ」に替わる戦略として、
新しい顧客価値につながるイノベーションを志向することが
日本企業として採るべき選択肢だと認識することが重要です。

利益率からもイノベーションの必要性が見えてくる

現在、日本の製造業の平均的な利益率は
「4パーセント」です。

一方、欧米企業の製造業の平均的な利益率は
「10パーセント」です。

この違いは煎じ詰めるとイノベーションを志向するか否かに帰着します。

かつて欧米企業は、日本企業に猛追され、
方針転換をおこなわざるを得ない状況に追い込まれました。

そして、欧米企業は、「イノベーション」を志向して、
新しい顧客価値を創造するという考え方にカジを切りました。

現在の日本企業は、グローバル化の影響もあり、
アジアの各国から猛追されています。かつての欧米企業と同じ状況なのです。

新しい価値を創造することは、難しい課題ですが、
そこに果敢に取り組んで、
コモディティ化の問題から、常に一歩抜け出ていく意識が必要です。

まとめ

グローバル化の影響で、
日本企業が激しい競争環境にさらされていることは言うまでもありません。

こうした状況で勝ち残っていくためには、
「イノベーションを創出することが重要」ということが結論です。

あらゆる施策、あらゆる場面において、企業が持続的な成長を実現するために、
イノベーションが必要だという意識を持って、展開していくことが大切です

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

イノベーションの本質について下記の記事でまとめていますので、
是非一度ご参照ください。

イノベーションとは:イノベーションは「技術革新」ではなく「新結合」
「イノベーション」という言葉を聞くと、 多くの方が「新技術」「技術革新」と連想されないでしょうか。 しかし、本来のイノベーションという言葉は「新結合」を意味します。 実は、イノベーションは「技術である」という誤解が、 長年、日本企業にとって...

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