多くの方にとって、貴金属といえば「金」つまり
「ゴールド」をイメージするかと思います。
ゴールドは宝飾品の用途が中心で、
消費量の70%が宝飾品が占めているそうですが、
それ以外にも、
美術品や伝統工芸品、建築物、通貨、地金に使わています。
また、工業用途として、スマホなどにも
金メッキが使われています。
ところで、これまで人類が採掘してきた
ゴールドの総量は約18万トンだそうです。
よく例え話で言われるのがこのゴールドの量は
「プール約3.8杯分」というものです。
地球上の全てのゴールドを集めてもそれしかない
ということで、
ゴールドは貴重であると認識がされてきました。
一方、今回、ウガンダで3100万トンの金鉱石が発見され、
そこから抽出可能な純金は総量32万トンである
という衝撃的なニュースが飛び込んできました。
エネルギー鉱物開発省のスポークスマンである
ソロモン・ムイタ氏はロイター通信に対し、
過去2年間に全国で空中探査が行われ、
続いて地球物理学的および地球化学的調査
と分析が行われたと語ったようです。
この金鉱石に関する
ウガンダ政府の発表や埋蔵量推測が正しいものだとすると
これからの世界情勢に大きな影響を与える可能性があるため、
今回、現状の整理と今後の推測を行いました。
ゴールドの価格について、現在(2022年7月25日現在)
国際的には1トロイオンス(=31.1035グラム)あたり
1,725ドルとなっています。
ゴールドの価格はこの10年間でも基本的には価格が右肩上がりとなっている
ことが下記の図表からも分かります。
ゴールドの価格が右肩上がりになる背景には、
安全資産としての根強い人気と、
希少価値が高いことがあります。
しかし、ウガンダの金鉱石の情報が正しく、
今後流通量が増えた場合、ゴールドの価格は
どうなるでしょうか。
需給関係に大きな変化が生じれば、長期的には
価格にこれまでとは異なる動きが出てくることが分かります。
ただ、金の先物が7月5日以降にあまり動いていないことを勘案すると、
こちらのニュースそのものが、
市場参加者として懐疑的なのかもしれませんし、
実際に精製が軌道に乗った段階で、
価格推移に影響が出てくるのかもしれません。
いずれにしても、ゴールドに関心がある方は、
このニュースは今後も追いかけていったほうが
良いかと思います。
ゴールド価格よりも、個人的には、
ウガンダの金鉱石が発端となって、
周辺国との経済的な摩擦が生じ、
それが大きな問題に発展するのではないかと危惧しています。
ウガンダではこのゴールドの精製について、
地元(この地元がウガンダという国の認識であるかは不明)ではなく、
外部で精製される動きも起きているようです。
これに対して、ウガンダの
ヨウェリ・ムセベニ大統領は、
発見された金の地元での精製を呼びかけ、
外部の精製所を「犯罪者」と呼んでいます。
この言葉遣いからも、すでに産出されるゴールドを巡り、
不穏な空気が流れていることが感じられます。
発見された金鉱石の経済規模は
12.8兆ドルという試算がありますが、
ウガンダは頻発する自然災害と難民流入増加により
社会的に不安定な状況が続いています。
最も懸念していることは金鉱石を巡り、
他国が介入する形で、社会不安が発展して、
なんらかの形で、戦争状態に発展してしまうことです。
仮に社会混乱が大きくなると、
難民が著しく増加し、彼らは必要に迫られて、
欧州目指すと推測されます。
2015年に「欧州難民危機」が起きていますが、
この際には、
約100万人の難民がアフリカから経済的な理由で
欧州を目指し海を渡りました。
このため、欧州でも社会的な混乱が生じることとなったのです。
2015年段階では、ドイツをはじめ
ヨーロッパ各国に、エネルギーおよび食料について
それなりの余裕がありました。
ところが2022年の現在は、
欧州はエネルギー不足が顕著で、
肥料不足に起因する農産物の価格高騰も続いています。
欧州にもともと在住している方々でも、
苦しい状況となっていることが報道されています。
仮に、この苦しい状況のなかで、
難民の流入という事態が起きた場合、
混乱はさらに大きくなり、
社会的な活動が停滞する可能性が高いと考えています。
欧州の混乱は、
世界的なサプライチェーンへも影響が出るため、
日本にも少なからぬ影響が出てくるかもしれません。
この金鉱石の精製に関連して、
すでに中国企業が、精製施設の建設に2億ドルを投資しています。
中国が経営する企業は、年末までに1日あたり約5,000kgの金を採掘して
精製を開始する予定とのことでした。
少し話が変わりますが、
スリランカが、中国からの融資を受けて返済ができず、
シーレーンの要所ハンバントタ港が2017年7月より99年間にわたり
中国国有企業・招商局港口にリースされています。
現地の通貨が安くなると、ドル建ての融資が返済できず
租借地となってしまう「債務の罠」です。
ウガンダの金鉱が、
今後どうなるのかは見えにくいのですが、
価値のある生産設備が、海外からの融資を受けたものである状況は、
ウガンダにとっては長期的にマイナス要因のほうが
大きいように思います。
ウガンダの金鉱石については、
今回発表されたような純金の産出量が
現実のものとなるのかも分かりません。
しかし、混乱が生じた場合、影響が大きいため、
これからどのような動きがあるか注意して
見ていく必要がありそうです。
ちなみに、ドイツからの輸入品で多いものは
医薬品、自動車、有機化合物、科学光学機器、
電気計測機器となります。
ドイツで有名な会社は下記があります。
・メルセデス (Mercedes) :自動車
・アディダス (Adidas) :スポーツブランド
・ニベア (Nivea) :基礎化粧品
・ヨープ! :香水、日用品
・モンブラン (Montblanc) :万年筆
各商品のイメージを持っていただくために、
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