昨年からグローバルではインフレが起きています。
アメリカやヨーロッパ、アジアでも、
多くの製品、サービス価格が一斉に上昇しています。
アメリカの12月消費者物価指数は
7.0%上昇し、
1982年6月以来およそ39年ぶりの高い水準を記録しました。
しかし、現地の方々の感覚では、
15%程度の価格上昇、という情報もあり、
こうしたインフレ傾向は少しずつ深刻度を増しています。
同じ値段でも製品の量が減る
ステルス値上げも起きているようです。
製品値上げの背景にはコロナ禍による、製品・素材不足と
サプライチェーンの混乱、エネルギー資源の高騰があります
日本でも、下記のように、
4月までの段階でも
多くの製品、サービスで値上げが実施されます。
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【食品関係】
(小麦粉)
・日清製粉、業務用小麦粉を値上げ…12月20日納入分から
・ニップン、家庭用の小麦粉など120品目の出荷価格を約1.5〜9.5%値上げ…1月4日から
(パン、麺類)
・山崎製パン、食パンと菓子パンを平均7.3%値上げ…来年1月1日から
・フジパン、食パンを9.7%値上げ…来年1月1日から
・敷島製パン、商品を平均7%も値上げ…来年1月1日から
・東洋水産、家庭用生麺を最大13%値上げ…来年4月1日から
(油類)
・J―オイルミルズ、家庭用菜種油製品を値上げ…来年2月の納品分から
値上げ幅は1キロあたり40円以上
・キューピー、マヨネーズや食用油、ソーセージを値上げ…来年2月1日から
(冷凍食品)
・味の素、冷凍から揚げを値上げ…来年2月1日から
・味の素、ハンバーグなどの冷凍食品も最大13%値上げ…来年2月1日から
・マルハニチロ、冷凍食品を値上げ…来年2月1日から
・ニップン、個食パスタやお弁当パスタなどの家庭用冷凍食品を5〜12%値上げ…来年2月1日から
・日清フーズ…冷凍食品や小麦粉を最大9%値上げ
(肉、魚加工品)
・日本ハム、「シャウエッセン」を含むハム、ソーセージや冷凍小工品など計424品目を値上げ…来年2月1日から
・プリマハム、家庭用ハムやソーセージなど計200品目を5〜12%値上げ…来年2月1日から
・伊藤ハム、ソーセージや麺類を原料高騰により値上げ…来年3月1日納入分から
・ニッスイ、ちくわと冷凍食品を値上下…来年2月1日から
・紀文、ちくわなどを8%値上げ…来年2月28日納入分から
(調味料)
・キッコーマン、原材料高によりしょうゆを4~10%を値上げ…豆乳も来年2月16日納入分から値上げ
・ヤマサ、しょうゆを4~10%値上げ…来年3月1日から
・アヲハタ、ジャムを3~7%値上げ…来年2月1日から
【日用品】
・大王製紙、ティッシュペーパーなど家庭紙の全製品…3月22日から
・パナソニック、蛍光灯などを5〜30%値上げ…4月1日から
・キングジム、「キングファイル」50円値上げ…12月21日から
【交通、通信】
・JR東、西グリーン車を最大1410円値上げ…来春から
・JR九州、特急回数券などを値上げ…来年4月から
・日本郵便、地域指定郵便を25~28円値上げ…来年4月から
【保険】
・火災保険、5年ごと契約により実質値上げ…来年10月から
ところで、
日本の11月「企業物価指数」は前年同月比9.0%上昇、
また、11月「全国消費者物価指数」は前年同月比0.5%上昇しています。
物価指数のデータは11月のものですので、
先にご紹介した1月~4月の上昇分を考えますと、
企業物価指数が上昇し、半年程度後に、
実際の商品に価格が反映されることが実感できます。
企業物価指数を今後も見ていくことで、
その先にある、小売価格がどのくらい上昇するかが推測できそうです。
また、先日、NHKで次のニュースが報道されました。
「ハンバーグ最大50円値上げへ 輸送コスト上昇などで 静岡の会社」
静岡県内で30店舗余りを展開し、ハンバーグが人気の
「炭焼きレストランさわやか」が、
ハンバーグの価格を最大50円値上げすることを決めた、という報道です。
値上げの背景には、
①輸送コストが大幅に上昇している、
②牛肉そのものの仕入れ価格がおよそ1.5倍になっている
ことがあるとのことでした。
「炭焼きレストランさわやか」は、
独自のサプライチェーンを構築しており、
高い肉の品質を維持する強みとなっていたのですが、
独自であるがゆえに柔軟性がなく、
値上げをせざるを得ない状況であるようです。
飲食店はどちらかと言うと、客離れを恐れて、
値上げは極力避けたいと考えています。
しかし、各種材料が一斉に値上げされるなかでは、
飲食店も値上げせざるを得ない状況となっているのです。
あるいは、近隣の店舗と足並みをそろえて
値上げができるならそうしたいというのが本音かと思います。
以前の記事で、牛丼が値上げについて
述べました。
牛肉は輸入食品の最たるものですので、
海外での値上がりの影響を直接的に受けやすいため、
今後のグローバルでのインフレの傾向を判断するために
チェックをしておくと良いかもしれません。
牛丼チェーン各社は、先行して値上げをした形でしたので、
もしかしますと、今後、もう一度値上げ
という対応となりかもしれません。
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ところで、今後各種製品の値上げはどうなっていくでしょうか。
エネルギー価格の高騰、人手不足は今後も続くことが予想され、
仮にコロナ禍が収束したとしても、
インフレ傾向が解消される可能性は、低いように思います。
アメリカでは、FRBがインフレを抑え込もうと
利上げを行う発表をしていますが、
現状を見る限りでは、FRBの対応力を超えて
インフレが加速していきそうな様子です。
EUでも、インフレ傾向が強くなってきており
利上げを行おうとしていますが、
ギリシアとイタリアが経済的には疲弊しており、
利上げを行うと、この2カ国が大きなダメージを受けるため
極めて難しい舵取りが求められています。
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一方で、日本では金融緩和をストップするという
選択が今もなされてはいません。
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金融政策の失敗でトルコは、インフレが起きてしまい、
社会が今も混乱しています。
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日本でも、今後、大きなインフレが加速度的に起こり、
社会生活に混乱が生じるのではないかと考えています。
多くの企業では、こうした状況に対して、
原料、素材の在庫積み増しで対応準備を進めていますが、
もしかしますと、そうした在庫積み増しでの対応許容範囲を
超えた状況となるかもしれません。
危機状況においては、是非お勧めしたいのが、
企業同士の横のつながりの強化です。
取引のある会社様だけではなく、
同業の方々や、川上、川下の業界の方々と
今から連絡が取り合える関係を構築しておくことが
命綱となる場合があります。
情報交換をするだけでも、新しい気付きにつながりますし、
状況によっては、素材の共同購入、
不足部品について融通し合うことも視野に入れる
といった動きができるかもしれません。
この動きは、個人であったても有効です。
ご近隣の方や、ご家族、ご友人の方と、
この機会に様子伺いとして、コンタクトをして、
関係性を再構築を試みてはいかがでしょうか。
しばらく経済的には厳しい状況が続きそうです。
人と人との助け合いで、この難局を乗り越えられればと思います。