変化の時代における学び:ベテラン←→若手の双方向的学びの重要性

イノベーション

近年、経営学の研究において
社員同士の学びという観点から、
ベテランと若手の双方向的学びの重要性が指摘されています。

これは

①「ベテラン社員が若手社員に
技術やスキルを伝承し、若手社員がベテランに学ぶ」

ということと、

②「若手社員がキャッチアップしている情報やスキル、
世の中の動きについての考え方などをベテラン社員が学ぶ」

の2つができていることの重要性を指摘するものとなります。

この取り組みは、大きく世の中の価値観が変化する時代においては、
非常に重要だと考えていますので、
今回取り上げてみたいと思います。

日本企業の学びは一方向的

多くの日本企業において、
スキルや知見・気付きの共有という面から、

①「ベテラン社員から若手に伝え、
若手はベテランから学ぶという意識」
が強くあると思います。

もちろんベテランの方の知見やスキルを
若手に伝承することは、
企業の既存事業を継続する観点から非常に重要です。

しかし、問題となるのは、
ベテランの方がご自身のスキル・知見を
若手に伝えることだけで良しとしてしまっており、
逆に②「若手から何かを吸収する」ことについて、
意識が希薄である点です。

場合によっては、「自分はこの業務については全て知っている」
という意識が強く、若手からの情報を
無意識にシャットアウトしてしまっている場合もあります。

若手、ベテランを問わず、社員の成長がストップしてしまうことは
企業にとっては、マイナスとなることは明白です。

変化の時代には双方向的な学びが必要

既存事業が安定的な時代はそれでも十分通用していました。

ところが、現在は変化が激しく、
変化への対応が大きな経営課題となっており、
変化対応を前提に事業展開を行わなくてはなりません。

その場合、ベテラン、若手という垣根を越えて、
気づきや知見を①だけではなく②も加えて
双方向的にやり取りすることが必要です。

イノベーションを起こすことに成功している企業においては
若手の知見や意見をベテラン社員が
積極的に学ぶという風土構築の動きが出てきています。

大きな変化の時代においては、
既存の知識や経験が役に立たない局面に立たされることがあり、
変化をキーワードに新しい知見、考え方、切り口を
積極的に取り入れていく必要があります。

特にデジタル対応については、
多くのベテランがある程度の年齢になってから
デジタルへ接したのに対して、
若い世代は、ごく幼少期からデジタルが身近にあります。

その環境の差は、
考え方のプロセスに大きな影響を与えている可能性があると
脳科学の分野では指摘されています。

どちらが正しいかではなく、
特定のテーマや現象に対して、思考プロセスが
世代により大きくことなるため、
なにが違うのか、どういうできごとにキャッチアップしているのか
を双方が理解しておくことは、
変化への対応方策を考えるうえで大きな力となります。

飲食店での双方向的な学びの動き

今回の新型コロナウイルスの問題で
多くの飲食店が、店舗でのサービス提供が難しくなり、
オンラインでの販売による対策が講じられました。

この時に、力を発揮したのが、
IT系が身近であった若手世代でした。

ポータルサイトを活用した販売を
数日のうちに実行することができたというお話を
いくつかの飲食店からうかがっています。

飲食店は、職人気質のある業界で、
ある意味では、年功序列的な意識が強く残っています。

ところが、今回の若手の目覚ましいデジタル対応をきっかけに
うまくいっている飲食店では、
②「ベテランの方が若手から学ぶ」という姿勢が打ち出されるようになり、
さらにそれが好循環につながったということでした。

オンラインとリアル店舗では売れる商品が異なることや
見せ方やパッケージ、伝え方の工夫で、同じ商品でも
売り上げに差が生じます。

成功事例では、
若手の方が、顧客とのインターフェイスの調整、実行、考え方の方向性を述べ、
ベテランの方が、その考えに基づいて、商品に落とし込んでいく
ということが行われていたということでした。

このように書きますと、
若手の力の重要性だけを印象づける形となってしまいますが、
実は若手の方は、オンラインでの方向性は理解できていても
それを、具体的な商品に落とし込んでいく力が不足しています。

そこにベテランの方がこれまでの経験をもとに
実現していくということで、大きな価値を生み出すことに
つながっているのでした。

その飲食店では、コロナウイルスの問題以前と比べて
売上は減ってはいるものの、
苦境の中でも新しい販売スタイルが実現できたことに
大きな手応えを感じているということでした。

企業における双方向の学びを促す工夫

ところで、これまで学びが一方向であった企業において、
双方向的な学びを促すのは、風土改革の側面があり難しい課題です。

風土改革を行うためには、
トップが双方向の学びの重要性を方針として打ち出し、
評価軸に組み入れることが、一般的な施策となります。

オンライン状況下では難しい側面もあることは確かです。

ただ、全社的な取り組みとしなくとも、
このブログをご覧になっている方が、
主体的に、若手あるいはベテランの方から学ぶ意識をもつことが
重要ではないかと考えています。

学びの際のポイントは、
「あれ?」とか「おかしいな?」といったひっかかりを大切にして、
その気付きをそのままにせずに
情報を集めるなり、人にうかがうといった行動に移していくということです。

地道な行動ですが、こうした積み重ねが
変化の時代には大きな布石として効いてくると考えています。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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