顧客価値につながるイノベーションと、価値につながらない新しい組み合わせ

馬車イノベーション

イノベーションは「新結合」を意味し、
その組み合わせは技術に限らず、サービスや流通といった分野も含めて、
新しい価値の創造につなげることと捉えることができます。

しかし、新しい組み合わせであるならば、
全て「イノベーション」と定義できるかというと、そうではありません。
イノベーションとして定義できる条件として
組み合わせが顧客にとっての新しい価値につながること」が重要になります。

今回は価値につながらない組み合わせ(非イノベーション)と
価値につながる組み合わせ(イノベーション)の違いについて、
それぞれの事例をみながら解説していきます。

価値につながらない新しい組み合わせ(非イノベーション)の製品事例

家電において、新しい組合わではあるものの
イノベーションと定義することが難しい事例として、
「マイナスイオン放出テレビ」を紹介します。

これは薄型でやや小さめのサイズのテレビで
上部に吹出口が付いていて、そこから「マイナスイオン」が放出される
という商品です。

ターゲットを一人暮らしの女性としており、
テレビを見てリラックスしながら、肌に良いとされるマイナスイオンによって、
肌ケアを同時に行うというのが趣旨となっていました。

「マイナスイオン放出テレビ」を販売している企業は、
テレビなどの家電製品が得意で、また、イオン発生機も得意分野としている技術でした。

自社として得意な2つの技術を、新しく組み合わせているため、
一見イノベーションのように見えますが、
「マイナスイオン放出テレビ」は全く売れず、顧客にとっての価値を提供できなかった製品として
考えられるため、非イノベーションであると考えることができます。

顧客価値の重要性

「マイナスイオン放出テレビ」は、
顧客にとってどのような価値がある、あるいは、なかったのでしょうか。

まず、ターゲットから考えてみます。
テレビをご覧になる方で、美肌に関心がある方が、ターゲットとなります。
しかし、対象となる人数は、この2つの条件だけでもかなり限られると考えられます。

また、美肌に関心があり、そのためならば、なんらかの製品に
高いお金を払いたいと思う(価値があると思う)ような方は、
「ながら」といった片手間ではなく、
より専門的な製品に関心を持つのではないかとも考えられます。

次にこの製品が解決すべき「市場の課題」について考えました。
顧客や市場が、「これを解決したい」と考えていることが「市場の課題」です。

「イオン発生付きテレビ」が解決できる課題はどのようなものでしょうか。
市場の課題そのものがなかなか見えてこないように感じられます。

「イオン発生付きテレビ」は組み合わせは新しかったものの、
顧客にとっては新しい価値が見出しにくい製品(非イノベーディブな製品)であったため、
販売に苦戦するという状況につながったと考えられます。

シュンペーターによるイノベーションの定義

イノベーションをはじめて定義したとされるシュンペーターが
その著書『経済発展の理論』のなかで、イノベーションの事例として説明しているのが、
「蒸気機関車を使った郵便システム」です。

 

当時、手紙を届ける郵便の仕組みは、主に馬車が使われていました。
しかし、一度に運べる郵便の量には限界があり、
またスピードもそれほど早いものではありませんでした。

「大量の郵便物を早く運ぶ」という「市場の課題」がありました。

そこで、郵便システムと蒸気機関車と組み合わせたイノベーションにより、
郵便馬車では実現不可能なほどの分量とスピードを実現しました。

市場課題を解決することは、顧客にとって価値を提供することにつながります。
新しい組合せは顧客にとって価値を提供することではじめて、
「イノベーション」となるということです。

まとめ

イノベーションは「新結合」です。
しかし、何でも組み合わせれば良いというわけではなく、
顧客にとっての価値を提供しなくてはいけないものです。

顧客価値につなげるためには、市場から見えてくる課題を見出し、
それを解決するために、新しい組み合わせで対応することが重要です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

参考いただける記事

イノベーションについては、
シュンペーターによる5つ定義を中心に下記記事で詳細を解説しております。

イノベーションとは:イノベーションは「技術革新」ではなく「新結合」
「イノベーション」という言葉を聞くと、 多くの方が「新技術」「技術革新」と連想されないでしょうか。 しかし、本来のイノベーションという言葉は「新結合」を意味します。 実は、イノベーションは「技術である」という誤解が、 長年、日本企業...

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