創造的破壊となるイノベーション:ウーバーの事例

タクシー イノベーション

近年、創造的破壊となるイノベーションの事例が増えています。

その背景には、
技術の進歩のスピードが以前と比べても速くなっていることが挙げられます。
このことは多くのビジネスパーソンが実感されているところではないでしょうか。

また、Iot、AIといったこれまでにはなかった
技術プラットフォームが急速に発展しています。

こうしたプラットフォームは、以前であれば、
企業の一部の方が活用するに留まっていましたが、
現在では、ネットの影響などにより、
ベンチャー企業や個人も含めて、利用できる状況が整ってきました。

こうした新しいプラットフォームに多くの方が参入すれば、
それだけ新しいイノベーションが生まれる可能性が高くなります。

以前の記事では、Airbnb(エアビーアンドビー)の事例を通じて、
既存事業との対立を伴った創造的破壊について考えました。

イノベーションによる創造的破壊:Airbnb(エアビーアンドビー)の事例
新規事業やイノベーションを創造するに当たり、 「市場の未決の課題」から、出発することが重要であると 多くの方が考えていると思います。 市場の未決の課題が明確になれば、悩んでいる顧客に対して、 解決策を提示することにつながり、 顧客の存在が明...

こうしたイノベーティブな事業は、
法律的な観点も含めてゼロベースから考えることによって
生まれる場合があります。

今回、考えていきたいのはウーバーの事例です。
Airbnb(エアビーアンドビー)と同様に既存業界との対立、法的観点から
詳しく見ていきましょう。

Uber(ウーバー)はどのような企業か

Uber(ウーバー)は、
自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリのサービスです。

運営するのはアメリカのウーバー・テクノロジーズで、
現在、グローバルで70か国に展開し、450以上の都市でサービスを提供しています。

ウーバーの特徴は、既存のタクシーの配車に加えて、
一般の方が自家用車を使って、お客さんを乗車させる仕組みとなります。

ウーバーが「市場の未決の課題」と捉えたことは、
既存のタクシー業界への不満点です。

「領収書を発行しない」、「メーターを正しく使わない」、「客を見て過大な料金を請求する」
「わざと遠回りをする」といった不満が「市場の未決の課題」であったと考えられます。

これを、「乗客が運転手を評価する」そして、
「運転手も乗客を評価する」という「相互評価」を実施することで、
課題解決を図りました。

さらに、一般の自動車オーナーに、
簡単にお金を稼げる場を提供したことも大きな成功要因となっています。

既存業界からの反撃と規制

一般の車のオーナーが、乗客を乗せることができる仕組みは、
既存のタクシー業界からすれば、大きく顧客を失うこととなります。

そのため、既存のタクシー業界は、
国への陳情、直接的な訴訟も行い抵抗する構えを見せました。

こうした状況を受けて、国や地域によってはタクシーと同様の規制が課されています。
国や地方自治体が、既存の企業の側に立った判断を行う場合が多くなるのは、
法律は前例主義であることが多いためだと考えられます。

日本において、タクシー事業は
道路運送法に基づいて国土交通大臣の許可が必要です。

個人が自動車にお金をとって乗客を乗せることは違法な
「白タク」行為となることから、
現段階では「タクシーの配車」に限定したサービスを提供している形です。

グレー制度の活用

こうしたタクシー業界からの反発や、法律の壁に対して、
ウーバーは、アメリカだけでも29社250人のロビイストと契約し、
政府機関や政治家、利害関係者に自社成長を支援するよう交渉を行っています。

日本でのロビイスト活動が実際にどのように展開されているかは分かりません。

しかし、2015年10月の国家戦略特区諮問会議で、
「過疎地などで観光客の交通手段として、自家用自動車の活用を拡大する」と宣言され、
一般の自動車オーナーが、お金をもらって乗客を運ぶことを可能にする規制緩和が検討されました。

国に対する働きかけが、一定程度効果を見せていることから、
何らかのロビイスト活動が行われたことが推測されます。

ただ、対象地域が上記のように地方となり、
国家戦略特別区域に限定されているといった状況のようです。

こうしたグレー制度を利用した対応は、経営手段としては
日本では広く受け入れられないという感覚だと思います。

その是非についてはここでは論じませんが、
前回にも申し上げたように、
イノベーティブな事業を展開する際には、法律を含めてゼロベースで検討する
というのは正しい対応だと考えます。

事業展開を行うなかで、法律の壁が存在した場合、
どのように対応するかについては、
こうしたグレー制度を活用する手もあるということも
念頭に入れておくことが必要だと思います。

まとめ

近年、タクシー業界では「配車アプリ」を活用した
タクシーの手配に力を入れているという印象があります。

街を走るタクシーの側面には、配車アプリの宣伝が大々的に行われいます。
配車アプリは、自宅の近くまで、時間を指定でタクシーが来てくれるため、
実際に使うと非常に便利なものです。

道で手を挙げてタクシーを停めるということから、
アプリで呼び出すほうが主流になるのかもしれません。

こうした動きも、ウーバーのような
創造的破壊につながる企業が登場したことによって、
既存の企業も自社の立場に危機感を感じ、
新しいサービスに取り組んだ結果だとも考えられます。

イノベーションは、自社で起こせなかった場合、
既存企業は受け手にまわる形となってしまいます。

現在、自分の業界がある程度、安定していたとしても、
常にイノベーションを志向していくことが重要だと考えます。

法律も含めてゼロベースで考えたときに、
自社としては何ができるのか、現状では何か取り組むことはできないか
考えていくことが必要だということです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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