新規事業、新商品開発でのコンサルタントとの上手な付き合い方

ディスカッションの様子 新規事業

新規事業についてコンサルタントに依頼をしたが、
結局事業化にまでは至らなかったというケースが多々あります。

その一方で、

・行うことが決まっているが社内リソースが足りず、それを補う場合
・経営判断の際の説得材料

ということを踏まえて依頼をしますと、大きな効果をもたらします。

今回はコンサルタントとの上手なお付き合いの方法について解説します。

コンサルタントの強みはなにか

新規事業を目的として、コンサルタントに依頼をする場合、
大手コンサルタントにお願いする場合と、
個人のコンサルタントにお願いする場合に、
分かれることが多いようです。

(小規模のコンサルタントに依頼されることは少ないということ)

この2つについて「強み」の観点から考えてみましょう。

大手のコンサルタント会社では、業種ごとに専門性の高いコンサルタントがおり、
業界の情報や、他社事例、あるいは成功した施策、失敗した施策の知見があります

それらを抽象化、概念化して、クライアント企業に当てはめると
何が成功確率が高いかを推測することが可能です。

個人コンサルタントの場合、
新規事業、イノベーションの分野では、大手企業で経験を積んだ方が多いことから、
新領域に取り組むにあたって、どこにリスクがあるのか、
苦労する点、社内の力学といった経験者だからこそ肌感覚で理解していること
も踏まえたアドバイスができる点に強みがあります。

新規事業、新製品開発におけるコンサルタント誤った使い方

最近はそうでもなくなりましたが、一昔前には、
コンサルタントに相談すれば、
魔法のように良いアイデアが出てくる
と錯覚している方が多くいました。

たとえば、戦略系コンサルタントに相談をすれば、
会社の新機軸を打ち出してくれるのではないかと期待し、
また、コンサルタントがある程度その期待に応えられていた時代もあったことも確かです。

1980年代に日本でコンサルタントという仕事が認識されはじめた頃は、
情報を四象限で整理したりするといったようなツールが目新しく、
欧米流のプレゼンテーションスキルも、説得力があると感じられました。

しかし、今やビジネスパーソンの方の多くが
プレゼンテーションスキルも高い水準にあり、
分析ツールについても無料で入手できるようになりました。

こうしたことから、現在ではコンサルタントの存在意義が
かつてとは異なる状況となっています。

また、新規事業やイノベーションの分野においては、
コンサルタントに相談したおかげで、大成功したという事例は
ほとんどないというのが実情です。

コンサルタントに「新しい事業や新製品について方向性の策定」を
丸投げしても、驚くような提案が出ることないというのが現状です。

どういう時にコンサルタントに依頼すべきか

では、新規事業や新製品、イノベーションにつながる事業創出の局面において
コンサルタントに相談するのが全て間違いかというとそうではありません。

次の2つの場合、コンサルタントに相談することで大きなメリットがあります。

行うべきことが明確だが、社内リソースが足りない場合

たとえば、新規事業や新製品、イノベーションの創出についてある程度、
社内で方向性が決まってきた。

そこで、進出を試みようとしている領域で詳しく、
かつ「客観的」な調査を行い、方向性についての検証を行いたいが、
時間的に自社で対応することが難しいという場合。

この場合に、コンサルタントにお願いをすると
大きな結果が得られます。

「客観的」ということが1つのポイントとなり、
自社で独自の調査を行う場合、調査のスタート段階から、誤っている可能性があり、
そうした誤りについても、認識できることが大きなメリットです。

調査スタート段階で誤りがあると、
外部の客観的な視点がなければ、なかなか気づくことができない部分です。

また、業界や市場についての知見の蓄積があり、
調査や報告についての手法も確立されているため、
要望すれば、非常に短期間に対応をしてもらえることも大きなメリットです。

経営陣の説得材料として使う場合

事業を中止する(あるいは決定する)という決断を行うことが、
プラスとなることが明らかであるにも関わらず、
社内の政治的な要因で行えないという場合において
コンサルタントに、中止(あるいは決定)を促してもらう
ことは、大きな効果が見込めます。

たとえば、
経営トップの主導で行った新事業について、失敗が濃厚であり、
傷の浅いうちに撤退を行うべきだが、
社員からはなかなか言いにくいというようなケースです。

この場合は、コンサルタントと事前の綿密な打ち合わせを行っておき、
「結論は中止とすることだ」と伝えておきます。

すると、客観的に「中止をする」ことが妥当だという資料を揃え、
プレゼンテーションもそのように進めてくれます。

社員がいくら説得しても、「社員だから」という認識で
話が通らない時に、第三者の視点を装ってコンサルタントに言わせる
ということです。

優秀なコンサルタントは
「資料から結論を導くのではなく、結論から資料を作ってくれる」と
捉えていただくのも良いかと思います。

まとめ

多くの日本企業がコンサルタントと上手なお付き合いができないために、
結果が伴わず苦労をしています。

なぜ、こうしたことが起きるのかというと、
企業側がコンサルタントに対して過度な期待を持ってしまうことと、
コンサルタントの強みや特徴に対して、
理解していないことが原因だと捉えています。

しかし、目的を明確にして、
依頼することができれば、大きな効果につなげることが可能です。

また、大手コンサルタントでも、それぞれに性格や特徴がありますので、
相談をされる場合には、事前によく調べていただく必要があります。

上手にコンサルタントを使えれば、
自社の新規事業、イノベーションにとても大きな助けとなります。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

情報整理や発送法としてのフレームワークの使い方については、
下記の記事も是非ご参考ください。

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