新規事業を成功させるための「定義」認識のポイント

会議室の様子 新規事業

オープンイノベーションや異業種交流会などで、
他社の新規事業ご担当の方とお話をする際に、
新規事業についての認識が自社のそれとは異なり、
「アレ、議論がかみ合わないな」ということがあります。

企業A社にとっての新規事業は「新製品開発」と認識されており、
企業B社にとっては、「M&Aも視野にいれて、新しい事業軸を創出する」
といったように認識が大きく異るという場合です。

「新製品開発」と「M&Aも使った事業軸の創出」では、
調査を行うべき内容や、進め方も全く異なってくるので、
「新規事業の進め方」について議論をしていても食い違いが生じてしまうのです。

こうしたことから、他の企業の新規事業のご担当の方とお話をする際には、
「御社にとっての『新規事業』とはどのようなものですか?」とうかがうことから、
議論をスタートすることが非常に重要となります。

新規事業の定義がなぜ異なるか

なぜ企業によって「新規事業」に定義が異なるのでしょうか。

それは、その企業がこれまで歩んできた歴史と事業展開に深い関係があるからです。

たとえば、ある素材系企業E社は、
素材Xの開発、販売によって成長してきました。

素材Xをいろいろな分野に活用展開することで、
企業規模を大きくしてきた会社です。

こうした背景から、企業E社では、
「新規事業」といえば、「素材Xのような新素材を開発すること」と定義しています。

一方で、B2Cの企業では、
「新規事業」を、「新しい領域の新商品開発」と定義している会社が多くあります。
食品の製造販売が主軸だった企業が健康食品の領域に事業展開するといったものです。

大手の飲料メーカー各所はそろって健康・ライフサイエンス分野の事業に
新規事業として参入し、成功を収めてていますが、
飲料以外の領域が「新しい領域」と捉えているわけです。

新規事業の定義が、落とし穴になる場合がある

「新規事業」は各企業の成長過程を踏まえて定義されていますが、
社員の方は、新規事業の定義について「自社の定義が当たり前」と捉えがちです。

しかし、新規事業の定義や進め方は様々な切り口があり、
「新規事業といえばこうだ!」という考えがあると、
限定的な枠の中で進めてしまい、大きな可能性を逃してしまうリスクがあります。

これまでの成功パターンを踏襲してしまう意識も
時代変化が大きな状況では、リスクといえるかと思います。

こうした「新規事業」についての、先入観をリセットする方法として、
意識的に他社の新規事業の定義を聞くというのが、お勧めの方法です。
他社の認識を聞くことで、自社の固定概念に気づくことができるからです。

社員同士でも新規事業の認識が異なる場合がある

新規事業のプロジェクトが進んでいくと、
様々な部署の方と協力、連携をしながら進めていかなくてはならない
局面が出てきます。

当初段階からプロジェクトとして進めている場合は、
メンバーの背景が異なる方々が参加するということもあるかと思います。

その際に、ミーティングの早い段階で、
新規事業についての意識のすり合わせをしておくことが重要となります。

意識のすり合わせについては、「新規事業とは」をテーマに
議論をしていくことや、「ロードマップ」を活用して、
時間軸も含めた共通認識を醸成していくことがポイントとなります。

ロードマップの基本と2つの活用ポイント
多くの企業で、全社方針やプロジェクトの策定、 新規事業やイノベーションを起こす際に、 ロードマップが活用されているのではないでしょうか。 ロードマップは策定することで、 現在の自社が置かれている状況、環境をどのように理解すれば良いか、 その...

バックグラウンドが、経営企画の方と、商品開発の方、マーケティング担当の方では、
新規事業への認識が異なっていることが多く、
プロジェクト当初段階では小さな意識のズレであったものが、
進めていくうちに大きくなってしまい
プロジェクトそのものががうまくいかなかったケースも多々あります。

「新規事業」についての認識を、関係者で話し合うことによって、
プロジェクトリーダーが知らなかった会社としての過去の経緯や、
失敗事例についての知見を得るきっかけにもつながりますので、
一度は認識を共有する会議を設定することが重要だと考えています。

まとめ

「新規事業」とひとくちに言っても、企業やその人の認識はさまざまです。

柔軟な発想を得るために他社との違いから、気づきを得ることが重要であることと、
社内では、意識の方向性をすりあわせるために、共通認識を確認することも必要です。

本記事がご自身や自社にとって「新規事業」とはなにかを
考えていただくきっかけとなれば幸いです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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