ニューノーマル(新常態)を意識したロボット活用:「キャリロ」の事例

イノベーション

新型コロナウイルスが社会に大きな影響を与え続けています。

このところ「ニューノーマル(新常態)」という言葉が一般的になってきてました。

ニューノーマルには、
「もう元には戻らない新しい状況が続く」
という意味合いが含まれています。

今後については、「元に戻る」ことを前提とせず、
コロナウイルスの影響による変化が続くことを強く意識して、
変化への対応を行うことが重要だということになります。

すでにいくつかの企業では、
ニューノーマルの状況対応のための新しい動きが
加速化しています。

今回はニューノーマルへの備えと
新しい動きの方向性について考えます。

デジタル化の加速

コロナウイルスによる企業の変化で大きかったものは
「デジタル化」です。

「デジタル化」については、
テレワークはもちろんのこと、これまで考えられなかった
オンライン診療や、行政手続きのオンライン化(マイナンバーカードの取得など)
も加速的に進んでいます。

こうした動きは、仮に今コロナウイルスが終息したとしても
動きが止まることはないと考えています。

行政手続きのオンライン化やオンライン診療は
利用者側にとって便利な面が多々あるため、
サービスは継続されていくと考えています。

また、テレワークについては、業種によって
できるところとできないところがありますが、
日経新聞が5月下旬に実施した
「社長100人アンケート」では、
「全体の9割がテレワークを継続する」としていることから、
経営方針としてこの働き方は続いていくと考えられます。

背景には、オンラインでの働き方を実際に行ったところ、
リアルでの業務に遜色なく、仕事が行えたことを
経験できたことが大きいでしょう。

また、事業継続性の観点から、
今後、同様のパンデミックや、あるいは自然災害が
起こる可能性を踏まえると、
人が集まって働くよりも分散型のほうが、
リスクが押さえられると、
経営側の判断も大きいようです。

この半年の動きとしては、オフィスを解約し、
オフィスそのものをなくしたり、小規模オフィスへの移転、
シャアオフィスの活用といったことが現実化しています。

経営において、固定費の削減は常に大きな課題となっていました、
オフィスの賃料を大きく下げられることが現実に見えています。

テレワークが可能な業種では、合理的判断から
オフィスの縮小がさらに進むと考えられます。

非接触を「目的」とした、デジタル(手段)による課題解決

コロナウイルスの影響により、変化した人々の行動のなかで
今後、企業が注目すべきに「非接触」があります。

先に説明したデジタル化の背景には「非接触」があり、
逆に言えば、非接触という「目的」を実現するために、
デジタル化という「手段」が活用されたということです。

新規事業やイノベーションの観点では、
「手段」と「目的」が反対の順番で進められてしまうと
ほぼ間違いなく「失敗」へとつながります。

たとえば、IoTやAIが注目されているから、
これを使って当社でも何か行おうという思考プロセスはNG
となります。

そうではなく、
解決したい課題(目的)があって、それを解決するために、
IoTやAI(手段)を使うことが最も適切である。という場合は、
その新規事業やイノベーションは成功につながる可能性が高いといえます。

「非接触」のニーズへの対応した「キャリロ」の事例

「非接触」のニーズに対応した企業事例として、
ロボット開発を手掛ける「ZMP」での、
物流ロボ『CarriRo(キャリロ)』の事例を紹介します。

キャリロは搬送自動化ができる
車型やフォークリフト型のロボットで、
無人でも荷物を運べることから、
物流業界での効率化を目的として、
導入が推進されてきました。

それが、今回のコロナウイルスの影響により、
「人同士が接触しなくても荷物が運べる」という面がクローズアップされ、、
物流業界だけではなく、ホテルなどでも新たに活用されるようになりました。

ホテルで活用されているキャリロは
台車&パレット運送タイプで、
ホテルの従業員が、お客様の荷物に触れることなく
部屋まで運ぶことができることから使われています。

また、軽症のコロナウイルス感染者を収容するホテルでは、
患者の荷物について、職員が触れないことを目的として、
キャリロでの荷物搬送が行われるようになっています。

アマゾンでも2019年10月には
米国におけるドローン配達がサービスとして実現しました。

こちらは、配達員不足の時代に備えた対応であったのですが、
「非接触」ということで、配達員と配達先が接触しなくても
荷物の受け渡しができるため、今後もサービスが拡大されると
考えられます。

まとめ

「ニューノーマル」という考え方は、
コロナウイルスによって変化した状況は「元に戻らない」
ということが前提となっています。

企業としては、元に戻らないことを前提に
今後の事業展開を考える必要があります。

そのなかでもキーワードとなるのは、
「非接触」ということで、
これまで「効率化」=無人化をテクノロジーによって
実現化していた企業にとっては、良い風が吹いているという
事例をご紹介しました。

「非接触」というテーマは、
業種、業態は違えども、今後も多くの企業が
取り組んでいく必要があり、ニーズがあると考えられます。

自社であれば「非接触」で何ができるか考えていくことは
新規事業やイノベーション創出につながりますので、
この機会に考えてみるのが良いかと思います。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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