この2ヶ月ほどの間に、世の中に急速に普及したものに
「ChatGPT」があります。
このサービスは、まるで人間とやり取りをしているような自然な会話形式で
AIとチャットでのやり取りを行い、
AIが質問に答えたり、文章やプログラムの作成を行ったりしてくれる
というものです。
ChatGPTのように
与えられた入力から新しいデータを生成することができるAI技術を
「ジェネレーティブAI」と言い、
画像、音声、文章など、様々なデータを自動的に生成するすることができます。
ChatGPTは、
2022年11月に公開され、無料で利用できるということもあり、
革新的なサービスとして、
なんと2カ月で全世界の1億人がユーザー登録を行いました。
ちなみに、1億人がユーザー登録を達成するまでのスピードとしては、
TikTokが9カ月、LINEが19カ月、Instagramが30カ月
となっており、異例の速さで世界的に普及していることがうかがえます。
ところで、ほぼ全ての業界におけるビジネスパーソンの業務の40%が
このジェネレーティブAIの影響を受けるとしています。
とくに、業界として影響を大きな影響を受けるのが、
「金融業」「保険業」「ソフトウェアおよびプラットフォーム」「証券」と言われており、
職種としては
「事務作業やアシスタント業務」「営業・販売」「コンピュータ・数学」
「事業運営/財務運営」「アート・デザイン・エンタメ・メディア」が、
これまでとは異なる仕事の進め方をしなくてはならないと言えそうです。
個人的な印象としては、一人の作業量の25%について、
ジェネレーティブAIが担う(置き換わる)のではないかと考えています。
作業量が25%も減るとなると、
「仕事がラクになる」と捉えることができるのですが、それは楽観論で、
経営側の立場で考えれば、
1/4の人員が削減され、結局現場の仕事量は変わらない
というのが、この先の未来かと思われます。
2023年1月頃から米国テック企業で大規模な人員削減が行われていますが、
「行き過ぎ人的な投資」への反動や「景気の今後の悪化予測」からのレイオフと言われていました。
しかし、ジェネレーティブAIの今後について、
GAFAMをはじめとする米テック企業の経営陣は多くの情報を持っているであろうことから、
ジェネレーティブAIの実装による人員削減を念頭に置いた動きと考えています。
少し話が飛びますが、このChatGPTの影響について、
「窓を叩いて、朝、人を起こす」仕事(ノッカーアップ)を連想しました。
この仕事は、朝になると、
契約者の家の前で、笛を吹いたり、
長い棒のようなもので、窓を叩いたりして目をさますことを促すものです。
ノッカーアップは1850年頃から登場し、
産業革命による目覚時計が安価に流通したことで、
ジョジョに減り、現在では見られなくなった仕事です。
ジェネレーティブAIによる仕事の置き換わりは、
いずれにしても起こるため、
今後、人員削減の流れは世界的に続き、
日本企業もその流れに巻き込まれていくと考えています。
しかし、日本企業では、
「新卒一括採用」「年功序列型の賃金」「終身雇用」を背景として、
人員解雇が積極的にではありません。
そのため、「リスキリング(Re-skilling:時代の変化に対応するため、
業務を進める上で必要となる新たなスキルを習得すること」の名のもとに、
自主的な退職を促す流れで続いていくのではないかと推測しています。
大くの労働者の方は、
ジェネレーティブAIを背景とした働き手の入れ替えが目前に迫っており、
それに対して何らかの準備をしなくてはならないとは考えていないかもしれません。
その一方で、現実としてゆるやかなリストラが周囲で起きることによって、
心理的な不景気が蔓延するのではないかと思われます。
日本におけるリストラの流れのなかで、世の中は「不況」と言われるようになりますが、
企業評価としては、ジェネレーティブAIを活用できるかどうかで
個別性が強くなり、同じ業種で似たような働き方でも、
業績や評価に差が出てくることになるでしょう。
現状で、今後、評価が高くなる企業を見つけるためにも、
AIの活用(実際に使うかということもあるが、
AIを活用しているという印象が与えられる)ている企業が
どこかを観察していく必要がありそうです。
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ところで、このところコモディティの値段が上昇しています。
下記の金貨と銀貨の値段について定期的にチェックするのも良いかと思います。