ビジネスにおける意思決定などのスピード感が
ますます早くなっていると感じています。
環境変化にすぐに対応できなければ、
企業の持続性に大きな影響を及ぼす可能性がでてきているからです。
しかし、変化への対応の必要性は理解できていても、
これまで行ったことのない対応をしなければならず、
さらに、その対応が正しいかどうかも分からないけれども
何かしなくてはいけないという極めて難しい状況だと言えます。
何か新しいこと(新規事業やイノベーション)を行う判断の際に、
「もう少し分析、議論をして、状況が見えてくるまで待とう」という
ことが頭をよぎることがあると思います。
「もう少し……」という背後に、
気持ちとして「決断を先延ばしにしよう」というものがあったとしたら、
とても危険な状況に陥る可能性があります。
今回はこうした時に、参考となる
「ビュリダンのロバ」について書いていきます。
次の章から詳しく見ていきましょう。
「ビュリダンのロバ」のお話
ビュリダンは14世紀のスコラ派のフランス人哲学者です。
ビュリダンは、意思決定理論を提唱しており、
それに対する反論の例えば話として創られたと言われています。
「ビュリダンのロバ」は次のような話です。
一匹のお腹のすいたロバがいます。
ロバの前には、2つの道があり、
右の道も、左の道も同じ距離で、
その先には同じ量、同じ質の干し草が置かれています。
どちらかに進めば、お腹いっぱい干し草を食べることができます。
このロバは非常に賢く、論理的に合った選択をすべきだと
いつも考えていました。
この時も右の道を選ぶべきか、左の道を選ぶべきか
とにかく考えたのでした。
しかし、どちらも全く同じ条件であるため、どちらかの一方を選ぶことが出来ないで、
ロバはさらにお腹がすいてしまうのでした。
論理的で理性が意思決定をするとなると、
右の道も左の道も、等しい欲求(道の距離、干し草の質と量)なので、
どちらも選べないということです。
現実にはこうしたことは起きないはずですから、たとえ話です。
選択することの大切さ
「ビュリダンのロバ」については、多くの哲学者が様々な観点から
考え方を述べていて、思考実験としても面白いテーマです。
しかし、ここでは哲学的な視点ではなく
お伝えしたいのは、「意思決定をする」ことの重要性です。
多くの企業で、何らかの決断をする際に
「もう少し調査、議論をして、状況が見えてから」という話を
よくうかがいます。
その間にロバのお腹はさらに減ってしまうわけですが、
これを自社の保有資産(キャッシュ)と捉えるとどうでしょうか。
決断を先送りしているうちに、
企業の体力はどんどん低下してしまい、
結局は、右の道へも左の道へもいくことができず餓死してしまう
かもしれません。
話はビュリダンのロバの趣旨とはずれますが、
エバが選ぶ道について、現在の状況にたとえるならば
右の道の先、左の道の先も見えません。
それでも、どちらかの道を選び、
右の道に干し草がなければ、一旦戻って左の道に行くといった
試行錯誤が必要になってくると考えています。
もし、現在このブログをお読みになっている方で、
新規事業やイノベーションに関連して、
なにかをすべきか否かお悩みでしたら、
ご自身の意思でまず一歩を踏み出してみることを強くお勧めします。
失敗したとしても、「この進め方では失敗する」という知見が得られます。
失敗を積み重ねながら、正解の道を探していくことが
新規事業やイノベーションの現場で求められることだと考えています。
まとめ
「ビュリダンのロバ」のお話と
それに付随して、とにかく意思決定をして、前に進むことの
重要性をお伝えしました。
変化が激しい時代において、
様々な舵取りが難しくなっていますが、
逆にいえば、これまでの既存の価値観や成功体験を
一旦ゼロにして考えることができるチャンスかもしれません。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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