SDGs(エスディージーズ)は
「Sustainable Development Goals」のことで、
「持続可能な開発目標」という意味します。
2015年9月の国連総会で採択され、
日本を含む国連に加盟している193カ国の共通の
国際社会目標となっています。
現在、多くの企業で、
SDGsへの取り組みが、これまでよりも強化されています。
背景には新型コロナウイルスの影響があり、
以前は当たり前であった前提が大きく見直される状況が、
SDGsの盛り上げにつながっています。
また、コロナ以前の持続可能ではない成長モデルが、
非常に脆弱であったことに多くの人が気づいたことも
SDGs取り組み強化につながっています。
SDGsというと、企業の社会貢献、イメージ戦略、
生存戦略といった側面に注目されがちで、
「受け」の印象が強い方も多いかと思います。
しかし、「攻め」の観点からSDGsを見ると、
自社の強みを、社会課題にどう生かしていくかのヒントとなり、
価値創出につながります。
今回は、SDGsの基本を押さえながら、
新規事業、価値創出にどのようにつなげていくかを解説します。
SDGsとは
SDGsは、2016年から2030年の15年間で達成すべき
「持続可能な開発目標」として設定されています。
具体的には次の17項目が掲げられています。
2)飢餓をゼロに
3)すべての人に健康と福祉を
4)質の高い教育をみんなに
5)ジェンダー平等を実現しよう
6)安全な水とトイレを世界中に
7)エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8)働きがいも経済成長も
9)産業と技術革新の基盤をつくろう
10)人や国の不平等をなくそう
11)住み続けられるまちづくりを
12)つくる責任つかう責任
13)気候変動に具体的な対策を
14)海の豊かさを守ろう
15)陸の豊かさも守ろう
16)平和と公正をすべての人に
17)パートナーシップで目標を達成しよう
冒頭で、新型コロナウイルスの影響によって
これまで当たり前であった前提が大きく見直される
ことが起きていると述べました。
端的な例として、テレワークの推進により、
「オフィスに通勤する」というこれまでの当たり前が、
大きく見直されました。
テレワークの推進に伴い、
働くとは何かを改めて考えるきっかけにもなった方も
多いのではないでしょうか。
上記に当てはめれば、
「8)働きがいも経済成長も」の取り組み
を考えるきっかけとなったと言えます。
また、「6)安全な水とトイレを世界中に」について、
日本では水もトイレも普及しているため、
自国の課題としては捉えにくかったかと思います。
しかし、新型コロナウイルスにより
手洗いやうがいの重要性を再認識することとなり、
水や衛生の大切さが実感されました。
そして、新型コロナウイルスを抑えるに当たり、
一国だけではなくグローバルでの取り組みが必要であることも、
全世界的に様々な課題に対応することのイメージへと
つながったのではないでしょうか。
こうした状況から、SDGsは、これまでの理想論ではなく、
取り組むべき課題として受け取られたことで、
重要視されるようになっています。
企業がSDGsに取り組む目的(守りの観点から)
企業がSDGsに取り組む目的として、
これまで大きなもの(守りの観点)
に次の2つがありました。
2)投資家からの評価向上
それぞれについて解説します。
1)社会的な評価向上
企業が、SDGsに取り組むことで
多くの顧客、消費者からのプラスのイメージ
へとつながります。
SDGsへの取り組みをアピールすることで
企業ブランド構築にもつながり、
価格に左右されない商品やサービスの展開、
スムーズな採用活動にもつながります。
また、自社がSDGs活動を行うなかで、
自社の社員が、社会課題の解決に取り組んでいる意識を
持つことができるようになります。
働きがいやモチベーションのアップにもつながり、
そうした社員の取り組みを、家族や周囲の関係者が理解する
ことで、さらに企業ブランドの向上、社会的な評価へと
つながる好循環を生み出すことができます。
2)投資家、取引先からの評価向上
現在、投資家はSDGsに取り組む企業の株を購入する傾向があります。
背景には、SDGsに取り組む企業は
長期的な企業価値向上(≒株価の上昇)となる可能性が高い
と考えられているためです。
このためSDGsに取り組む企業であることが浸透すると、
資金調達がより容易となります。
また、SDGsに取り組む企業とそうでない企業が
競争をした場合、取引先として、SDGsに取り組む企業が
選ばれる可能性も今後は高いと考えられます。
しかし、1)、2)の理由で企業がSDGsに取り組む根底には、
企業存続を念頭に置いた「守り」の意識があり、
社会貢献として「致し方なく」対応することを検討している
ケースがほとんどであったのではないかと思います。
言い方を変えると、SDGsへの取り組みは
多くの環境規制のように義務的に捉えられていたということです。
ところが、新型コロナウイルスの影響もあり、
SDGsが、理想論で対応するような課題ではなく、
継続的な社会課題の解決に向けて大きなヒントとなる視点
であることが見えてきました。
企業がSDGsに取り組む目的(攻めの観点から)
SDGsを義務的な社会貢献として捉えるのではなく、
取り組むべき課題のヒントと考えることは
新しい価値を提供するイノベーションにつながり、
大きなメリットがあります。
たとえば、新規事業を行うに際して、
どの分野に進むべきか課題が見えないという声が
多く聞かれました。
SDGsでは、対応すべき社会課題が列記されています。
SDGsの課題に対して、
自社の強みを生かして解決策の提供を考えることで、
自社の持続的な成長のきっかけや新規事業につながります。
SDGsへの取り組みが企業の成長戦略につながる
ということにもなります。
またSDGsを掲げることで、
企業が新しい製品やサービスを夜に送り出す際に、
ストーリーとしての競争優位性を持たせることも可能となります。
このように
攻めの観点からSDGsを事業や、成長戦略に紐づけて
活用することが非常に重要となります。
まとめ:イノベーションでSDGsの課題を解決する
SDGsの基本と企業のこれまでの取り組み姿勢、
また積極的に活用することの重要性を述べました。
SDGsで掲げられている課題は、
いずれも大きなテーマであるため
現在の自社の強みだけでは解決に結びつかないかもしれません。
しかし、自社の強みになにか新しいものを組み合わせることで
イノベーションを起こし、
新しい価値創出につながる可能性があります。
また、一社だけではなかなか対応できない課題もありますが、
SDGsという共通項によって、他社あるいは行政、NPOといった
これまであまり接点がなかった外部と
オープンイノベーション的につながっていくことも考えられます。
今後、多くの企業がSDGsにさらに積極的に取り組むと考えられますので、このタイミングで自社のSDGs対応を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
補足
SDGsのへの対応を検討する際に、トレードオフの考え方が参考になるのではないか
と考えています。下記の記事に付きましてご参考いただければ幸いです。