製品のパッケージデザインは、
企業にとって、極めて重要なファクターです。
その一方で、パッケージデザインの部分に
時間がかかることも多く、かといって手を抜くわけにも
いかないために、悩ましいところでもありました。
今回はAIによるパッケージデザインの自動生成が可能となった
という記事となります。
今後、AIによるデザインが、さらに幅広く活用される可能性があります。
また、この技術を支えている考え方として、
定性的なものの定量化があり、これは、他の様々な分野に応用できそうです。
プラグ、商品パッケージの「デザイン」をAIが自動生成 1000案の中からトップ100を表示
(下記転載)
2021年09月27日 08時02分「cnet」より
プラグは9月25日、AIが自動でデザインの生成と評価を繰り返し、
最適な商品パッケージデザインを提案するサービス
「パッケージデザインAI」の提供を9月30日に開始すると発表した。
同社はこれまでデザイン評価に特化していたが、
新たにデザインの自動生成も可能になった。
パッケージデザインAIは、画像素材をアップロードするだけで
AIがデザインを生成するサービス。
920万人分の消費者調査のデータを元に、
消費者が好むデザイン案をAIが選出し、
そのデザイン案を元にさらにデザインを生成。
デザイン生成と評価を繰り返すことで、
優れたデザインを作り出せるという。
デザインを評価するAIについては、
画像情報処理を専門分野とする
東京大学の山崎俊彦教授との共同研究で
精度を高めているとのこと。
最終的には1000案の中からトップ100を表示。
「おいしそう」「かわいい」「シンプル」
「高級感・上質感」など19のイメージワードでランキング表示でき、
商品のコンセプトに合致したデザインを選択できるという。
現在、ビールや飲料、菓子、調味料、日本酒、
パスタソース、医薬品、ペット用品、和日配、ビジネス書、
化粧品をはじめとする、51のカテゴリーで使用が可能だという。
また、性別や年代別のターゲティングが可能で、
消費者調査を行わないことから、
情報漏えいのリスクを大幅に軽減できるとしている。
同社によると、これまでのパッケージデザイン開発では、
最終段階で実施する消費者調査と、
その結果を元に行うデザインのブラッシュアップに
2〜3カ月ほどの期間を要していたという。
しかし、同サービスを活用することで、
これまでのデザイン開発において不可能だった
「短期間で多くのデザイン数」を創出できることから、
商品開発期間の大幅な短縮とコスト削減が見込めると説明する。
今後は、毎年春と秋の年2回、約1200商品を対象に
120万人以上の消費者調査を実施し、対応するカテゴリーを追加予定。
また、消費者のデザイントレンドを加味した評価への対応も予定する。
さらに2022年春頃に、同サービスを活用した新商品の発売を控えているという。
注目した点
デザイン分野は、人間でなくては難しい領域のひとつと
考えられていましたが、
AIが活躍する可能性も見えてきました。
プラグの取り組みとして、別の記事では下記があります。
カルビーのポテチを売上1.3倍にしたAIの正体–
プラグの「パッケージデザインAI」の実力
私自身は、
デザインは人間の「感性」の発露と考えてきました。
言葉でも「定性的」と「定量的」
という2つがあり、定性的なものは定量化ができない
という前提でものごとを考えていたように思います。
今回の記事を見ると、
定性的なものを、恐らくAIで定量化しているわけですが、
このニーズは、広い分野で応用できるようにも感じます。
たとえば、「教育効果の定量分析」という課題は、
人材育成の方を悩ませる問題です。
アンケート結果や行動変容の観察、前年との比較で
定量分析を行うのですが、人が対象であり、
どうしても定性的判断が入らざるを得ないため、
正確に数値化をするのは非常に難しい側面がありました。
プラグ社のパッケージデザインAIももともとは
デザイン評価のAIだったこともポイントかと思います。
AIによる評価が、今後社会で一般化すると、
なかなか言語化しにくいのですが、
人間の価値意識に、なんらかの変化が生じるのではないか、
とも考えます。
皆さんのお考えはいかがでしょうか。