2020年3月段階で、大手通信会社が
5Gのサービス提供をスタートしました。
メディアなどでもその活用について、取り上げられていますが、
実際のところ、5Gの活用については、まだ各企業が
自社サービスとの新結合を模索している状況です。
しかし、活用の展望はなかなか見えていないというのが実情ではないでしょうか。
今回は、5Gの基本と活用の展望が見えない理由、
そしてイノベーションの視点で、各企業が活用していくための方向性について考えます。
5Gとは
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことで、
グローバルでは2019年から各地で実用化がスタートしています。
5Gの特徴は、非常に高速のデータ通信が可能となることです。
「二時間の映画が、スマホで2秒でダウンロードできる」
といった超高速のデータ通信ができるようになります。
具体的な性能としては、理論的には下記が可能となります。
(たとえば時速500キロで移動中でも安定的な通信ができる)
1万台(4G段階)から100万台の接続が可能となる。
これまでの4Gの時代には考えられなかった
超高速の通信が、日常的に使うことができる時代が間近であるということです。
具体的に考えられている活用方法
5Gの活用については、現段階で想定されているのが、
自動運転やIoTの分野です。
大量の情報を瞬時に通信、判断する必要があるものでの
活用が見込まれています(自動運転や生産設備での活用をイメージ)。
ほかに、遠隔医療での活用が想定されてます。
たとえば、入院患者の手術を、別の場所の医師が
ロボットアームを通じて行うといったことです。
医師不足が深刻化するなかで、遠隔医療対応は
今後、広がっていく可能性があります。
しかし、以前の記事でもお伝えしましたように、
自動運転は、大規模実証実験が行われるなかで、
これまで見えなかった課題が浮上してきており、
その実用化はまだまだ先のことになると考えられます。
工場設備のIoT化についても、最短で2022年頃ではないか
という予測が大半です。
遠隔医療については、同様に法律の整備も含めて、広く使われるのは
まだ先のこととなることから、
5Gを具体的に何に活用するかというのは、
見えていないというのが実際のところだと考えています。
5Gを結果的に活用したサービスを考える
こうした新しい技術を活用して、企業が新規事業やイノベーションを志向する際に、
「市場の未決の課題」→「結果的に何かの技術を活用する、組み合わせる」
といったように、課題からスタートすることがポイントとなります。
インフラ系産業は、先行投資型であるため、
通信各社がこぞって5Gに参入したことは、ある程度理解はできるのですが、
恐らく今後利用者の増加が、想定よりも伸びないのではないかと考えられています。
そのように予想されるのは次の2つの点からです。
まず、個人の5G利用を後押しするようなコンテンツがないことです。
多くの方は、動画などを見る際に、
すでに現在の4Gで大きなストレスなく視聴が可能となっています。
二時間の映画を2秒でダウンロードする必然性が、現段階ではないということです。
そのため大量のデータ通信が必要となるようなコンテンツ
(たとえば、ARについて五感全てに影響を与えるような仕組み)などが
開発されてその価値が広く認められなければ、
一般の方への普及は難しいとうことになります。
次に、IoTを生産設備などで5Gを使うことが有望視されていますが、
5Gほどの高速通信を前提とした、生産設備の開発がまだ先という状況です。
瞬時の通信が必要となるような設備の開発が、実現するまでにしばらくかかることから、
IoTでの5G活用ももう少し先のことになると考えています。
各企業での強みと気づきを5G活用に活かすには
しかし、5Gはインフラとしては、大きな可能性を秘めていることも事実です。
各企業で、本格的な活用に向けて
未決の市場の課題や気づきについて、この機会にもう一度考えてみると
良いのではないでしょうか。
市場の未決の課題について、
自社の強みと5Gを組み合わせて解決につながるものは何かという
というところから考えてみるというのも有効です。
たとえば、欧州ではファクトリーオートメーションをさらに一歩進めて、
生産するロボットなどの設備を電池式にして、
生産ラインの変更を即座にできるといった仕組みが推し進められています。
こうしたことから、さらに一歩進めて、
グローバルで最適な生産拠点を分散させながらも、
オペレーターは、バーチャルな生産設備をひとつのものとして扱える
といったことが可能となると捉えています。
その際には、高速での通信が必要となると考えられます。
5Gの活用については、各社で検討されてることかと思いますが、
サービスを導入し、使ってみながら、
市場の未決の課題に対して、有効なアプローチができるか
考えていくことが今後も必要になっていくでしょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
補足
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