円安が急速に進み、コモディティ価格が上昇するなかで「生き残り策」を考える必要性

経済動向

世の中の動きが早く、またこれまでに経験したことがないような
状況も起きており、なかなか更新ができず申し訳ありません。

さて、3月28日にドル円が一時1ドル125円となったことを
以前の記事でご紹介いたしました。

インフレが本格化する今、企業そして個人は何をすべきか
3月28日にドル円が一時1ドル125円となりました。 日銀が指値オペを実施を発表したことで、 世界各国で、日本が円安ドル高の方向性を打ち出した と捉えられています。 日本は国全体としては たとえば自動車などの輸出でお金を稼いでいるため、 円...

現在4月22日ですが、1ドル128円~129円となっており、
急速な円安が進んでいます。

多くの企業では3月15日段階で110円~115円を想定しており、
その後、修正はされていると思いますが、
いずれにしても乖離の幅が大きくなっている状況です。

https://moneyworld.jp/news/05_00034816_news

もちろん輸出系の企業では、円安の恩恵を受けており、
たとえば、自動車系、半導体系においてはプラス要素として
働いていることかと思います。

一方で、エネルギー関係、食品、一般消費財の企業では
輸入コストが増大しており、厳しい状況だと認識しています。

一般生活への影響としては、
円安による輸入品の値上がり、電気、ガス料金の値上がりが
想定されます。

現在、日本では円安に加えて、
ロシア・ウクライナの影響により、
様々なコモディティ価格が上昇しています。

これまでもガソリン、天然ガス、小麦やトウモロコシ、
パラジウムなどの金属類の不足と値上がりが、
日本でも大きな影響を及ぼしています。

たとえばパラジウムは
歯科医での治療に使われる銀歯の材料として使われていますが、

値段が高騰しており、医療機関の経営に影響が出ています。
このため、厚生労働省は診療報酬を決める際のもとになる
材料価格を見直すことを行うということでした。

銀歯素材パラジウム合金高騰 厚労省 材料価格を臨時に見直しへ | NHK
【NHK】ロシアへの経済制裁などに伴い、歯科の治療に使われる銀歯などの素材のパラジウム合金が高騰し、医療機関の経営に影響が出ている…

これ以外にも懸念されているのが石炭です。

2020年の
世界の石炭輸出額 国別ランキングでは、
オーストラリア、インドネシア、ロシアが第3位までを占めています。

世界の石炭輸出額 国別ランキング・推移 - GLOBAL NOTE
2022年の世界の石炭 輸出額 国別比較統計・ランキングです。各国の石炭輸出額と国別順位を掲載しています。無煙炭、瀝青炭の輸出額。時系列データは1995-2022年まで収録。

日本では、4月8日に
ロシアからの石炭輸入を削減する方針を決めています。

日本政府、ロシアからの石炭輸入削減へ G7と足並み
日本政府は主要7カ国(G7)と足並みをそろえ、ウクライナに侵攻したロシアからの石炭輸入を削減する方針を決めた。すぐに代替を確保するのは難しいことから段階的に減らし、最終的には輸入しないことを目指す。

石炭は、火力発電、一般産業のボイラ燃料、
セメント製造時の燃料などに利用されています。

特に、コンクリートの材料となるセメントについては、
製造時にロシア産の石炭に頼っていたため、
切り替えを進めているようですが、他国での
代替需要も大きく増加しており、
価格高騰や輸送コストの増大が深刻化している
ということでした。

土木建築系の業界では、コンクリートの値上がりにより
大きな打撃を受けています。

Yahoo!ニュース
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論点が前後しますが、
円安状況が続いていることが加わっており、
輸入品のコモディティ価格の上昇スピードが
一段と早くなっており、今後も続くことが予想されます。

では企業としてはどのような対策をすれば良いでしょうか。

こうした値上がりは、今後も続いていくことが予想されます。
在庫の積み増しを検討されている企業も多いようです。

また、もし今後の設備投資を計画されているようであれば、
前倒しに進めていくことをご検討されたほうが良さそうです。

現在の日銀の方針では、長期金利は維持し、
円安が進むことを容認する流れとなっています。

一定段階以上の円安が進むなかで、各企業は今後
海外工場の国内回帰を検討されるでしょう。

上記のように建築業界も大きなコスト増に苦しんでおり、
状況によっては資材が不足し、想定された期間内の竣工が難しいと予想されます。

中長期の計画についても、今の段階で見直す必要がありそうです。

多くの企業ではこれまで当然のことながら「いかに稼ぐか」という視点で
経営計画が行われてきました。

しかし、今後「いかに生き残るか」を考えなくては
ならないと考えています。

こうした考え方の転換は、成功体験と真逆のものとなりますので、
本能的に既存事業の延長線でものごとを見てしまいがちですが、
そこをなんとか意識して修正しなくてはいけない時代がきたかと思います。

その一方で、ピンチは新しいチャンスを生むのが世の常です。
時代の大きな変化に伴う課題が今後いくつも出てきますが、
自社の強みと課題解決を組み合わせて、新しい価値を創出することが
極めて重要となりそうです。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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