ロシア・ウクライナ問題の長期化しています。
それのより、世界的に食料価格の高騰が続いています。
本ブログでは、食料価格高騰について述べてきました。
振り返りとなりますが、食料価格の高騰の背景については
ロシアとウクライナの両国が、世界有数の小麦の生産国であるのですが、
その生産分が世界に供給できていないことが大きな問題となっています。
両国は世界の小麦と大麦の生産量の1/3を担っており、
またヒマワリ油についても世界の1/2を占めていました。
この分が、世界に流通しないことが明らかとなったたため、
グローバルでの製品取引価格は高騰し、
他の穀物や食用油の値段も同時に上昇しています。
日本では、この2カ国からは小麦をほとんど輸入していません。
米国、カナダからの輸入が大半を占めている状況だからです。
しかし、世界規模での取引価格が高騰していることから、
この2カ国から直接小麦を輸入していなくとも、
関連する食料品の値上がりにつながっています。
直近一年で、世界の食料価格は平均して約3割上昇。
幸いなことに日本は、世界と比べると値上がりが遅い形となっていますが、
生産販売を担う企業や卸が一時的に負担していると考えられ、
いずれにしても、少なくとも3割上昇は避けられない状況です。
食料価格の値上がりは、
特に新興国に大きな影響を与え、世界的な食糧危機が間近に迫っています。
下記の記事では、国連世界食糧計画(WFP)の発表として、
ロシア・ウクライナ問題が「第2次世界大戦以来、目にしたことのない」
大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給にもたらしていると警告した、
ということを紹介しています。
ちなみに最も食糧危機のリスクが高い国は、
レバノン、エジプト、イエメン、イラン、リビア、スーダン
ということです。
すでにこれらの国では、エネルギー不足と食糧不足により、
社会的な混乱が生じているということでした。
こうした国々の社会的混乱は周辺国に広がる可能性もあり、
さらなる混乱が生じることが推測されます。
では、日本は今後どうなるでしょうか。
まず現状を整理してみましょう。
日本は食料自給率はカロリーベースで
37%(2020年)と低い水準で、
食料品については大きく海外からの輸入に頼っていることはすでにご存知の通りです。
今後も輸入品を中心に、多くの食料品が値上がりすることは
避けられない状況となっています。
国内で生産される食料品についても、輸入品が値上がりすれば、
こちらも値段はあがっていくことになります。
一方で多くの方は
「お米の自給率は100%を超えているか外国のような食糧危機は考えにくい」
と考えているかもしれません。
確かにお米については
重量ベースで国内消費仕向量に対する国内生産量の割合としては
ほぼ100%となっています。
野菜79%、魚介類52%となっており、日本人が昔から食べてきたものについては、
生産基盤や生産技術が受け継がれているなどから、高い水準なっています。
しかし、ここで問題となるのは、
「重量ベースが国内消費仕向量に対する国内生産量の割合」という点です。
「国内消費仕向量」は、1年間に国内で消費に回された食料の量
(国内市場に出回った食料の量)を表す量となります。
仮にですが、小麦製品が全てストップし、日本人がよりお米を食べるようになった場合、
お米の消費量も増えますから、値段の高騰、不足といった事態につながる可能性があります。
また、野菜については海外から輸入している肥料のお陰で、
現在の収量が保てている現実があります。
魚介にしても、船を動かすガソリンは、海外からのものとなります。
そうしたことを考えますと、
日本の食糧事情は危ういバランスのなかで維持されていることが見えてきます。
もう1つ個人的に大きなショックだったのが、
日本は、塩の自給率が12%程度
(中国88%、米国69%、インド192%、ドイツ113%、オーストラリア728%)
で、諸外国と比べ極めて低い状態であるという事実でした。
私自身は、「日本は周囲が海に囲まれているのだから、
本気になって取り組めば解決できるのでは」と安易に考えていました。
しかし、日本には岩塩がほとんどありません。
併せて雨が多く、湿度も高いために、海の水から作る天日塩の製造についても
エネルギー費用比率が約30%と、他の産業に比べ非常に高い状況です。
そのため、国産の塩もありますが、
海外のものとの値段競争には勝てず、自給率も低い状況が続いているのです。
ところが、この輸入塩も、
世界的な輸送費用、燃料価格の高騰という事情と、このところの急激な円安が収益に直撃。
安定供給のためには値上げをせざるをえない事態が近づいているということでした。
長期的に塩の輸入がストップすることは考えにくいのですが、
塩は人間の生命活動には欠かせない重要な物資ですので自給率のあり方を考えていく必要があります。
いずれにしても塩も含めて食糧費の
価格高騰はもはや避けられない状況となっています。
問題は、日本においては、価格高騰で済むのか、
食糧不足という問題にまで発展するのかというところです。
下記のニューズウイークの記事では
世界で食料品の価格が高騰の主な原因と今後の展望について記載されています。
記事のなかでは、2022年2月以前(ウクライナ攻撃以前)の段階で下記の問題があったとしています。
・移民労働力の不足
・旱魃(大豆・ブラジル)
それに追加する形で2022年2月以後(ウクライナ攻撃以後)に下記の問題が生じていると指摘されています。
・輸出禁止(パーム油・インドネシア【補足:その後2022年5月23日から輸出解禁】)
・肥料不足
これらが解消するタイミングについて
記事では、ロシア・ウクライナ問題が解決しなければ、
メドは見えてこないとしています。
ロシア・ウクライナ問題はいつ終息となるのでしょうか。
ロシアの当初の目算では2022年2月中には終わると
想定されていたことが、報道などから伺い知れます。
その後、5月9日「戦勝記念日」までには
という見方もありましたが、
結局5月末となっても今後は分からない状況となります。
ウクライナでは小麦の作付けは毎年8~9月ごろ、
収穫は翌7~8月ごろということですので、
食料の問題だけで見るならば、
7月頃までに、終息のメドが立つかが、ひとつの判断目安となりそうです。
つまり、7月頃までに終息のメドが立たなければ、
今年の冬は世界的に極めて厳しい食料事情となり、
そうなった場合、
日本では概ね4ヶ月後に本格的な影響が見える傾向があるため、
2023年春頃には多くの方が、食料が手に入らない状況に
なってしまうかもしれません。
危機意識を煽りたいわけではないのですが、
下記のコンセプトが非常に心に残っている今日このごろです。
「Two is One, One is None 」
現段階でしたら1つ余分に手元に置いておく行動は、
周囲にも迷惑をかけずに、悪くないと考えています。
いくつか備蓄に適した商品のご紹介でもとも考えたのですが、
各ご家庭のお人数や環境によって、
必要なもの、必要な量というのは大きく異なり、
食べものの嗜好もあるので、本当に役立つかはわかりません。
そこで、1つ現段階をお試し段階と捉えて、
ご自身やご家族が「好きになれそう」な長期保存が効く食品を
色々と食べてみて見極めるというのはいかがでしょうか。
というのは、先日下記の「揖保乃糸」の味比べセットを試してみて、
同じメーカーのものでも、ランクで大きく味が変わることが
よく分かりました。
個人的には素麺も少し備えておこうと思ったのですが、
味を比べて(もちろんお高いほうがお味が良いのですが)、
コストと勘案して、「黒帯」のものに絞ることにしました。
下記の味比べセットは他社製品のお値段、
グレードの参考にもなると思っていますので、
ご自身でお調べになるのが良いかと思います。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。