「知の探索」活動により、イノベーションの可能性を高める

水たまりで遊ぶ子供 情報収集

早稲田大学ビジネススクール准教授である入山章栄先生は
現在、大きな注目を集める経営学者の一人です。

入山先生は、
イノベーションについて「新結合」であるというシュンペーターの主張に
改めて注目し、たびたび強調しています。

入山先生の指摘する「新結合」とは、
「既存の知」と別の「既存の知」の新しい組み合わせを指します。

 

この書籍のなかで、
「イノベーションに求められる『両利きの経営』とは」
という章が非常に参考になります。

「まるで右手と左手が上手に使える人のように、
『知の探索』と『知の深化』について高い次元でバランスを取る経営」
が「両利き経営」で、
イノベーションを起こす際に重要な感覚として述べられています。

「バランスを取る」ことが難しいのですが、
多くの企業では、「知の深化」を進めることは得意な反面、
「知の探索」はあまり行われていないことも指摘されています。

「知の深化」に偏った注力されてしまい、
結果として新しい組み合わせが生み出せないという状況に陥っているということです。

今回は、企業が苦手とする「知の探索」をテーマに
情報探索活動についてお話しします。

自分から遠い領域での「知の探索」活動の重要性

入山先生によれば

知の深化に偏り、知の探索が行われなくなると中長期的なイノベーションが枯渇する。
これが「競争力のわな(Competency Trap)」と呼ばれるものだ。」

「これを脱却するためには、自分から離れた『遠くの知』を探索して、
それを自分が持っている知と組み合わせることが決定的に重要です。
これが『知の探索』(exploration)です

と指摘しています。

「知の探索」活動は、組織として行うことも大切ですが、
一方で、個人の方が独自に動くことがより重要だと感じています。

個人の方がそれぞれ、異なる領域の「知の探索」を行えば、
それだけ分野の異なる幅広い気づきにつながる可能性が高いからです。

また、どのような組み合わせが価値を持つかは、組み合わせてみないと分かりません。
組織活動として「知の探索」を行った場合、方向性が限定されることも多いため、
より自由な立場で、個々人が知の探索を行うことが重要です。

個人で取り組む「知の探索」

入山先生は、「遠い領域」での知の探索を勧めています。
たとえば、個人としてできる、知の探索は、
書店に行き自分の興味、関心とは異なる分野の書籍を購入
する
といったことが勧められています。

関心の異なる分野の書籍は、自分が現在課題と考えているテーマについて、
別のアプローチからのヒントとなる可能性もあり、
全く気が付かなかった解決の切り口が得られる場合があります。

また分野が異なると、なんらかの課題に対しての解決方法が
すでに完成されている場合があり、それを転用することで直接的な課題解決に
つながるケースもあります。

イノベーションは新結合であり、新しい組み合わせによって
新しい価値を生み出していく取り組みです。

自社の強みや、あるいは担当者の興味の範囲から、一歩関心の輪を広げていくことで、
これまでとは全く異なる新しい組み合わせにつなげる可能性を高める取り組みが重要です。

まとめ

今回は「知の探索」活動として、自社や自分の関心からは遠い領域に
足を運ぶことによって、新しい気付きにつながる可能性があることを解説しました。

新規事業やイノベーションには、
ご自身の関心を広くもつことが、組み合わせの幅を広げることにつながります。
面白がりながら、色々なことに関心を持って「行動」していいくと、
はっと気付く瞬間が訪れます。

こうした気付きをイノベーションに昇華させていきたいものです。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

補足

イノベーションへの理解について、異なるものを組み合わせる意識の重要性を
下記の記事で解説しておりますので、是非ご参考ください。

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