テクノロジーの進化による社会・企業への影響:書籍『楽観主義者の未来予測』より

古い書籍 書籍ご紹介

2014年刊行の書籍『楽観主義者の未来予測』は、
「世界は日に日によくなっている」という
力強いメッセージが込められた一冊です。

現在、新型コロナウイルスの影響が社会に大きなインパクトを与えていますが、
本書ではそうした状況が起こることも想定されており、
それでもテクノロジーが、世の中を
少しずつ良くなっている事実がまとめられています。

現実に起きていることを、客観的に見ていくと、
テクノロジーの発展により、世界全体の生活水準は向上し、
貧困や環境問題についても解決の方向に向かっているし、
解決可能なことを
本書「楽観主義者の未来予測」では科学的な根拠とともに示してくれています。

世の中は少しずつ良くなっている具体例

本書によれば、グローバルでの生活水準は、
1900年代と比べて、はるかに「豊か」で「清潔」、長生きできる時代
となっているそうです。

電話、テレビ、水洗トイレをイメージしていただくと
わかりますが、1900年代初頭では、
最も裕福な人でも、これらの製品を持っていませんでした。

現在はこれらがごく当たり前となっていることは、
言うまでもありません。

乳児死亡率も90%減少し、人間の寿命は100%以上長くなっているそうです。

こうした「良い変化」の延長には、どのような未来があるでしょうか。
少しずつですが、世界は良くなっているのです。

「資源不足」への示唆:アルミニウムが希少金属から一般的な素材になるまで

本書で取り上げられているテーマで興味深いもののひとつが
「資源不足」の問題についてです。

アルミニウムを「潤沢さの可能性」の例示として示し、
将来的な資源不足の解消の可能性を述べられています。

かつて、アルミニウムは古代ローマからナポレオン三世の時代まで、
世界で最も高価な金属であったそうです。

その理由は、アルミニウムが酸素と結合しやすいために、
自然界で単体で存在することが極めてまれであったからです。

しかし、元素の多さという観点だけで見ると、
アルミニウムは地球上で三番目に多い元素でした。

その後、電気分解法という画期的なテクノロジーが開発されたことにより、
世界中の人々が安く大量にアルミニウムを手に入れることができるようになりました。

この例から分かることは、技術の進歩により、
希少な資源と考えられていたものでも、
大量に供給できる可能性があるということです。

水資源も解決の目処はついている

水資源不足についても技術的には解決ができているようです。
汚れた水であっても、
ヘアドライヤー1台分の電力で、
一日1000リットルの水の精製できる技術がすでにあり、
海水淡水化技術についてもフィルター性能が目覚ましい向上を遂げています。

さらにはナノテクノロジー、バイオテクノロジーの側面からも
水資源の課題は研究されていて
現在も次々に新しい技術が開発されており、
水資源の不足については、技術的な解決目処はついていることが示されています。

環境問題も改善しつつある

かつて、環境問題については、
現在よりも大きな被害が予測されていました。

たとえば、酸性雨について、
1970年代後半の予想では、2000年代には、
大災害に発展するとされていました。

しかし、現在、大気汚染は問題となっているものの、
触媒式排ガス浄化装置の導入により、
壊滅的な環境破壊はまぬがれています。

二酸化硫黄の排出量について見ても、
1980年の2600万トンから2008年には1140万トンに減少しています。
窒素酸化物の排出量も同様に減っているということでした。

もちろん、こうした化学物質の排出は
今後もさらなる低減施策が求められるところでしょうが、
1970年代に懸念されていたような大災害が生じていないのは、
テクノロジーの進歩によるところが極めて大きいのです。

本書では、このほか、
食糧やエネルギー問題、教育、医療、DIYイノベーションなど
における大幅な進歩についても述べられています。

まとめ

このブログの読者の方は、
本書で紹介されているような技術について、
すでにご存知のものも多いと思います。

私が、本書を是非お読みいただきたいと思ったのは、
新しい技術が、世の中を良くしているという視点で
本書が前向きな解説を行っているところが、
ビジネスパーソンにとって勇気づけられるものだからです。

新規事業やイノベーションを志向される方は、
「世の中を良くしたい」と考える方が多いと思います。

本書は技術の視点から、そうした動きが価値あることを改めて示してくれています。

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