これまで本ブログでは、トランプ政権の再登場やホルムズ海峡の封鎖といった外的リスクに注目してきました。
しかし今回取り上げるのは、日本国内に静かに進行する“内的リスク”──人口動態の変化です。
その変化は、すでに私たちの暮らしに影を落とし始めています。
▍出生数、ついに「70万人割れ」──わずか10年で約3割減
厚生労働省の速報によると、2024年の出生数は68万6061人。
ついに、統計開始以来はじめて70万人を下回りました。
10年前の2014年の出生数は100万人超。
この10年で出生数は約3割も減少しています。
▍減る「結婚」
少子化の要因は出生数だけではありません。
婚姻件数も減少しています。
2022年:50.5万組
2023年:47.5万組(前年比-6%)
コロナ禍での人との接点減少が影響していると見られますが、今後回復するとしても、2023年段階での婚姻件数の減少は、将来的な人口減少につながります。
▍少子化の影響は「そのうち」ではなく「すでに」
少子高齢化のリスクとして、これまで以下のような懸念が指摘されてきました。
労働力不足
内需の縮小
社会保障の負担増
しかし、多くの人にとっては「そのうち影響が出てくるだろう」という漠然とした未来の話に過ぎなかったかもしれません。
ところが今、人手不足はすでに現実の問題として私たちの目の前に現れ始めています。
▍深刻化する人手不足──拡大する業界
このところ様々な業界で人手不足が顕著になっていることにお気づきのことかと思います。特に「建設」「運輸・物流」「医療・介護」の業界では、これまでも人手不足でしたが一段と深刻になっています。
加えて、「情報サービス」「飲食」といった業界でも人手不足が明らかになってきています。人手不足となっている領域が増えているといえます。
今後、こうした人手不足はあらゆる業界に広がって、深刻さを増していくと考えられています。
▍データが示す“未来の現実”
リクルートワークス研究所の『未来予測2040』では次のグラフを紹介しています。
労働力の供給不足について、2022年ではほぼ「0」となっています。しかし、その後少しずつ供給不足が生じ、2025年に「63万人」の労働力が不足すると予測されています。他のデータでは、100万人単位での労働力不足が生じているとの報告もあるのですが、
いずれにしても、グラフの推移のような「体感」で人手不足が深刻化していくことが想像できるのです。
▍「高賃金でも人が集まらない時代」が始まる
いまはまだ、賃金を引き上げればなんとか人を確保できる時代。
しかし近い将来、お金を積んでも人が雇えないという事態が日常になりそうです。その結果として、
飲食店の営業時間短縮→閉鎖
小売店舗の閉鎖
介護施設や病院が閉鎖
建設現場の停止
こうした問題が自分の暮らしに降りかかる日は、すぐそこまで来ています。
▍私たちは何をすべきか?
この深刻な状況に対して、個人や企業はどう備えるべきか──
その答えは、一朝一夕では出ません。
次回の記事では、人口減少社会を生き抜くための戦略的対応について、企業においては今からどのように対応すべきかを考えていきます。