このところ、日本においても
様々な製品、サービスが値上がりしています。
上記の記事では2021年10月から
植物油、砂糖、小麦粉
(他の記事では、加工油≒マーガリン、ラード、大豆、
そば、コーヒー、大豆、酒類、缶詰が指摘されています)が、
2~10%値上がりするとされています。
原料高が背景にあるとしているものの、
タイトルの通り「原材料高騰か?」と疑問形で締めくくっている
あたりが、全貌が見えていないことを示しているように思われます。
また、世界的にエネルギー価格が上昇し、
インフレの足音が忍び寄っているという指摘も出てきています。
日本では、長くデフレが続いていたために、
インフレといわれてもピンとこないかもしれませんが、
直感的に理解をしておくことは、
仮に起きた場合の対応を検討する際に役立ちますので、
次の章から見ていきましょう。
インフレを直感的に理解する
インフレという言葉は、一般に馴染みがありますが、
実はその計算は、なかなか難しくて混乱しやすいものです。
(経済評論の専門家でもたまに間違っている人がいるようです)
今回、直感的に理解することを目的に簡単に説明しますと、
例えば10%のインフレが起これば、
今まで20万円で済んでいた生活費が22万円になります。
1+(10/100)=1+0.1=1.1倍
20×1.1=22
10%程度のインフレの場合は、たとえば、
お給料がそれだけ上がれば問題なさそうに思えます。
しかし、ハイパーインフレと称されるものが起きた場合、
100%を越えるインフレ率となります。
そして、ハイパーインフレというのは、1年で収束することが
ほとんどなく、数年続くことが多くなっています。
ここで、ハイパーインフレが起きた場合の事例として、
ルーマニアの1990年から2004年までの
インフレ率のデータを参考に見ていきましょう。
1990年は、 5.1%
1991年は、170.2%
1992年は、210.4%
1993年は、256.1%
1994年は、136.7%
1995年は、 32.3%
1996年は、 38.8%
1997年は、154.8%
1998年は、 59.1%
1999年は、 45.8%
2000年は、 45.7%
2001年は、 34.5%
2002年は、 22.5%
2003年は、 15.3%
2004年は、 11.9%
上記のように、
1991年のルーマニアでは170.2%のインフレが起きています。
1+(170.2/100)=1+1.702=2.702倍
20×2.702=54.04
今まで20万円で済んでいた生活費が54.04万円になってしまう
と計算できます。
あらゆるものの価格が2倍になるとこうした状況が生まれることが見えてきます。
では、翌年はどうでしょうか。
翌年の1992年は、210.4%のインフレとなっています。
1+(210.4/100)=1+2.104=3.104倍
54.04×3.104=167.74016
今まで54.04万円で済んでいた生活費が167.7万円になってしまう
と計算できます。
すでに2年目にして、もともと一ヶ月20万の生活費が
167万かかるものとなっていることが分かります。
節約という行動では、対応できないことも見えてきます。
こうした急激な値上げに対して、
従業員を雇用している側も、お給料の積み増しの対応を
(できるところは)していきますが、追いついていかないことは
想像に難くないでしょう。
もとの製品やサービスの価格についても2年で8倍ほどになる状況です。
すると、
「あれこれはいくらだったけ? いやそんなことよりも
欲しい物を手に入れなければ」と考える世の中となってしまいます。
これが数年続いたということです。
将来設計や、個人としての貯金などが
非常に難しくなることがわかるかと思います。
現在、グローバルでサプライチェーンの混乱と
生産不足、エネルギー価格の上昇が起きており、
世界的に大きな混乱につながる可能性があります。
これが日本にどの程度の影響をもたらすかは
まだ見えていませんが、
企業としても個人として、インフレが起きた社会を
イメージしておくことは、
なんらかの備えの発想につながるかもしれません。
また、備えの側面だけではなく、
インフレが起きた社会において、
自社が価値として提供できるものはなにか、
思考実験として考えていくことも必要かもしれません。