現在、コロナ禍のため、日本においては、
「仕事がない」ことがクローズアップされていますが、
中長期的には、人手不足が深刻化すると考えられます。
今回の記事は、グローバルでは
すでに人手不足の兆候が出ており、
今後、日本でも各企業の人材獲得競争が激しくなっていくと
考えられます。
そうした時代に備えて今何をすべきか考える必要が出てきています。
いまや10社に7社、深刻化する人材不足の背景とは
(下記転載)
2021/09/27 06:00 「フォーブス」より
企業の人材確保が世界的に厳しさを増している。
派遣大手マンパワーグループの最新調査によると、
人材不足や採用難に直面している企業の割合は世界全体で69%と、
15年ぶりの高さを記録した。
コンサルティング会社コーン・フェリーによれば、
世界の企業の人材不足数は2030年には8500万人あまりに達する見通し。
それによって失われる経済機会は8兆5000億ドル
(約934兆円)にのぼるという。
人材不足がこれほど深刻になっている原因は何なのか、
いくつかの点から簡単に検討してみたい。
●高齢労働者の退職
ピュー・リサーチ・センターによれば、
ベビーブーム世代(1946〜64年生まれ)の労働者の
退職ペースが速まってきている。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が
それに拍車をかけており、2020年第3四半期(7〜9月)の
ベビーブーム世代の退職者は2860万人と前年同期に比べ320万人増えた。
これにより、熟練労働者が想定以上に不足するようになっている。
もともとの退職時期がパンデミックにあたった労働者もいるが、
なかには失職後、新しい仕事を探すのをあきらめた人もいる。
●空白を埋められない若い世代
2030年までにベビーブーマー世代の労働者の大半が退職するが、
より若い世代の労働者は、残された仕事の多くをこなすのに
必要な経験や訓練があるとは限らない。
また、そうした経験や訓練のある労働者でも、
社内で昇進を遂げていくのが価値のあることなのか
考え直している人が少なくない。
ひとつには昇進が難しくなっているという事情がある。
ペンシルベニア大学ウォートンスクールの
ピーター・カッペリ教授によると、
昇進率は主に企業の成長率によって決まる。
過去20年には企業の成長率が鈍化してきているため、
従業員の昇進も時間がかかるようになっているというわけだ。
このほか、ミレニアル世代の労働者が疲弊していることも
関係しているだろう。
●労働者が仕事に求めることの変化
この1年で、仕事に対する人々の見方や取り組み方も変わった。
簡単に言えば、労働者はより多くを求め、
妥協はしたくないと考えるようになった。
たとえば、大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調査では、世界各国で調査した従業員の半数超(54%)が、
パンデミック後、働く場所や時間で
なんらかの柔軟性が認められなければ退職を検討すると回答している。
労働者はまた、自分がもたらす量ではなく質によって評価されることを
望むようにもなっている。
業務管理ソフト会社シトリックス・システムズの調査によると、
たんに生み出された結果である「アウトプット」よりも、
顧客にもたらされた効果や満足感などの
「アウトカム」を優先する会社で働きたいと答えた人は、
全体のじつに86%にのぼっている。
労働者はさらに、最高の仕事をするために信頼され、
自主性が認められることも望んでいるほか、
ワークライフバランスも重視している。
保険会社プルデンシャル・ファイナンシャルの調査では、
パンデミック後に新しい仕事を探すことを計画している労働者のうち、
38%はその理由としてワークライフバランスの問題を挙げている。
注目した点
本記事では「人手」不足の問題とタイトルをつけていますが、
内容をよく読むと、
人口が多いベビーブーマー世代の退職にともない、
その分、習熟した労働力の低下を
次の世代が埋めきれないということが最も大きな問題
となっています。
こうした際に出てくるのが、
DX化推進による効率化や、
これまで人が行っていた業務をAIにまかせてその穴を埋める
あるいは習熟度をDXでカバーするという考え方となります。
しかし、DXは現在まさに過渡期で、
企業側も進めてはいるものの
「すぐに」今後の人材の不足分を埋めることができるところが
実装が進んでいるかというと、まだ難しいのが現状です。
今後、こうした「習熟した労働力不足」の問題が
顕在化していく(あるいはすでに顕在化している)と思われます。
そうなりますと、とにかく人材を確保するためには、
他社よりも魅力的な会社であると思われるような施策を
打っていかなくてはいけないかもしれません。
アメリカのアマゾンでは、大学学費を全額負担をして、
従業員確保を図っていようです。
こうした取り組みを大げさと感じるか、先駆的と感じるかは
国や業界次第のところもあるのですが、
今から、試験的にでも行っていく必要はあると感じられます。