日本企業において、新規事業というと、
研究開発の方と経営企画の方が主体になって動きます。
一方で、欧米企業では、
新規事業というと、M&Aを主軸に進めるため、
経営企画部の方が主体となることが多いようです。
(近年では日本企業においてもこうした意識を持つ企業が増えてきました)
欧米企業で、M&Aを主軸とした新規事業が行われている理由は、
「時間を買う」意識が強くあるためです。
「時間を買う」という意識は、今後のグローバル競争では、
経営においても、開発戦略にといても非常に重要なものとなります。
次の章から詳しく解説します。
「時間を買う」という意識
欧米の一定規模以上の会社では
新規事業といえば、M&Aが主軸となって動いています。
たとえば、
アップルのiPhoneに搭載されているAIアシスタント「Siri(シリ)」も
もともとは2007年12月に創設された「Siri社」が開発提供を行っていたものです。
その後2010年4月にアップルがSiri社を買収します。
AIアシスタント「Siri」は、iPhoneに次いでアップルの代表的な製品だと言えますが、
自社開発ではないということです。
では、アップルが独力で「Siri」が開発できなかったか? というと、
仮に取り組んでいたとすれば、成功していたと考えられています。
しかし、「Siri」の自社開発にこだわった場合、
市場に出るまでにかなりの時間がかかったであろうことが予想されます。
自社で取り組めば成功できる目算があるにも関わらず、
M&AでSiri社を買ったのは、
「時間を買う」という意識が欧米企業には根強くあるからだと捉えています。
時間を貴重な資源と捉える
欧米における「時間を買う」を重視した意識の背景には、
経営の重要なファクターとして、時間を貴重な資源とする考え方が
共通認識としてあるからだと考えます。
日本では企業経営においては、
「人、モノ、金」の3要素に重点が置かれていますが、
欧米では
「人、モノ、金、時間」の4要素で経営が動かされています。
もちろん日本でも「時間」の大切さは指摘されています。
しかし、欧米ではより優先順位が高い要素だと捉えられており、
それを意識する必要があります。
日本企業の意識
今後、グローバル化が加速するなかで、日本企業はM&Aの対応も含めて、
「時間」についても、強く意識していく必要が出てくるように感じています。
欧米企業が時間に対して持っている意識を受け止めて、
「それならば日本企業としてどうするか」を考えていく必要があります。
日本企業の優位性は長期的な研究開発だと捉えられています。
そこに、M&Aやオープンイノベーションを活用して、
長期的な対応と、時間を強く意識した対応の両面での対応を進める必要があります。
価値観が一辺倒ではない、バランス感覚が
今後の日本企業には最も求められる要素ではないでしょうか。
まとめ
M&Aから、「時間」という価値観に対する、
欧米企業と日本企業の意識の違いを考えてきました。
違いを知ることで、自社がとるべき新しい施策が
見えてくるかもしれません。
長期的な対応と、時間を意識した対応の両面のバランスをうまくとりながら、
グローバル競争で価値残れるようになりたいものです。
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。
補足
海外企業の時間意識については、下記の記事でも述べていますので、
是非ご一読いただければ幸いです。
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